面接
「うーん。やはり中々良い人材が居ないな」
ルビー会長はタブレットの資料を見ながら考える。
彼女が面接を行う事を張り紙してから結構沢山の生徒が生徒会室の門を叩いた。
しかし、まだ彼女が一緒に生徒会活動を行おうと思う人材は居ない。
面接は難航していた。
「では、次の方どうぞ」
ルビーの合図で一人の学生が生徒会室に入って来る。
「始めまして、俺、ノルモンと言います」
その学生は自分の事をノルモンと名乗った。
「では、ノルモン、なぜ、この生徒会に入りたいと思ったんだ?」
ルビーがノルモンに問いかける。
「俺は、この学校の制服は可笑しいと思います。もっと素晴らしいものになるはずなんです。俺は、この学校の制服を変えたくて、生徒会活動を頑張りたいんです」
制服を変える為に生徒会活動を頑張る。
中々珍しい志望動機だが、確かに生徒会活動を頑張れば、ある程度の支持は得られるだろう。
「具体的に、制服をどう変えたいんだ?」
ミラリス魔法学校の制服は可もなく不可もなくといった感じで取り分け珍しい訳では無い。 一体、この制服のどこを変えたいんだ?
「クマの着ぐるみにするべきだと思うんです」
「え、制服をか?」
「えぇ、そうです。このイラストご覧下さい」
ノルモンはルビーにイラストを見せる。
そこにはクマの着ぐるみを着たミラリス魔法学園の生徒が描かれていた。
「いや、辞めた方が良いだろう。動き辛いぞ。これ」
「でもクマの着ぐるみはめっちゃ可愛いんです。人気出ますよ」
「いや、人気出ないと思うぞ」
それどころか生徒から苦情が来るだろう。
「更に見てください。このクマの着ぐるみ、他とは違うんです」
「違うとは?」
「背中の部分に天使の羽が生えているんです」
「いや、だから、なんなのだ……」
流石にクマの着ぐるみを制服にされては困る。
ルビーはノルモンを丁重に、お断りした。
「では、次の方どうぞ〜」
ルビーは次の生徒を呼び込む。
今度こそ、役員に相応しい人材であってくれ。
「宜しくお願いしま~す」
「うむ。座ってくれ」
ルビーに促され一人の男子生徒がルビーの目の前に座った。
「俺、一年のカリムっす。宜しくお願いします」
「あぁ、カリムか、宜しく頼む」
ルビーは早速、カリムに最初の質問をする事にした。
「カリム、なぜ、生徒会に入ろうと思ったんだ?」
「俺は、俺の歌を世界中に届けたくて生徒会に入る事にしました」
「え? この学校を変えたいとか、そういう思いは無いのか?」
「無いです! 俺は俺の歌を届ける為に生徒会に入ります!」
「いや、生徒会じゃなくても良いと思うんだが……」
カリムはギターらしきものを背負っている。
恐らく、そのギターを使って歌をを歌うのだろう。
「では、会長、聞いて下さい。『俺の存在証明』」
そう言ってカリムはギターを弾いて歌を歌い始めた。
「あぁ〜、俺はミジンコさ。ミミズさ。岩の裏の名前も知らない虫さ〜!」
「なんで、そんな自分を卑下するんだ」
「俺は、生ゴミさ。馬の餌さ。鳥の糞さ〜!」
「辞めろ! そんなに自分を卑下するな! もう聞きたくない!」
「あぁ、でも俺には夢があるのさ〜」
そしてカリムはサビに入る。
「なるべく綺麗なオネェさんから配っているティッシュが欲しい〜!」
「どんなサビ? 今時見ないぞ。ティッシュ配りのオネエさん」
カリムには悪いが、生徒会で、ずっと歌を歌われても困る。
ルビーは、カリムを丁重に断る事にした。
「うーん。中々人材が居ないな」
面接を開始してから一時間が経過した。
そろそろ面接の人も最後の一人になる。
頼むから、まともな役員候補が来てくれ。
ルビーは、そう願い次の人を呼ぶ。
「次の方、どうぞ〜」
「シュコー、シュコー、シュコー」
次の男子生徒らしき人物は何故かガスマスクをつけていた。
正直言って会話すら出来ない。
「いや、なんで、ガスマスクを付けているんだ!? 会話出来ないだろ」
「シュコー、シュコー」
男子生徒は名前すら分からない。
これは、どうやって面接すれば良い?
「いや、君、名前は?」
「シュコー」
「何故、生徒会に入ろうと思ったんだ?」
「シュコー」
「いや、やっぱり無理だろ。これ! 名前すら分からないぞ」
シュコー、シュコーばかりでガスマスクとは会話が出来ない。
生徒会入りは、断り帰っていただこう。
「シュコー」
ガスマスクは机に置かれたノートを指差している。
「まさか。このノートを使えば、会話が出来ると、そう言いたいのか?」
ガスマスクは静かに頷く。
なるほど、その手があったか。
ルビーはガスマスクにノートを手渡し手記で会話をする事を試みてみた。
「では、君、名前は?」
「我が名は、ノーム」
「我が名はとか言うタイプなのか。では何故、生徒会に入ろうと思ったんだ?」
「この地球は汚染されている直に滅ぶだろう」
「いや、それは分からないだろう」
「我が夢は、植物のみと過ごす帝国、ナース帝国の復活。そのためには、先ず、この学校を滅ぼす所から始めたい」
「いや、学校、滅ぼしちゃ駄目だろ。却下だ!」
ルビーはノームを丁重に断る事にした。




