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最初の試練 その後

「陛下、ネイサンとテリーの始末を終えました」

 ネイサンとテリー、二人を殺したモールスはクロスに電話をかける。

「そうか。で、スライムを倒したのは誰だ?」

 スライムを倒したのはレイン王子。

 しかし、この事は黙っていた方が後々、面白くなりそうだ。

 モールスはそう直感で感じた。


「見ず知らずの一般人でございます」

「ふん、そうか使えない奴らだ。良い、とっとと帰って来い」

 そこで通話は切れる。

 モールスは帰路に着く事にした。


「乾杯〜!」  

 生徒会室にて。

 無事に怪我も治ったルビー、そしてスライム撃破を祝してレイン達はコーラで乾杯をする事にした。

 テーブルにはお菓子も広げられている。


「怪我、治って良かったですね。会長」

「うん、これくらいは問題無い」

「問題無くは無いですわ。魔法をもろに食らったのですもの」

「そういえば、レインも怪我したけど大丈夫か?」

「あぁ、僕ですか。すっかり良くなりましたね」

 お互い大した怪我も無く無事済んだ事を祝福。

 お菓子パーティーは、大いに盛り上がりを見せていた。


「しかし、ネイサンの件は驚きましたわね。まさか殺されるとは」

 ネイサンの件は暫くネットニュースを騒がせていた。  

 スライムを脱走させゾロール人を操っていたネイサン。

 彼はきちんと法で裁かれて欲しかった。  


「誰に殺されたんだろうな」

「それは、僕にも分かりませんね」 

 適当な推論なら色々言えるが、証拠が無い以上、疑ってしまうのは良くない。

 レインは言葉を控える事にした。


「……ケーキ出来上がりました」 

 ルイスがケーキを作ってくれたらしい。

「ルイスのケーキは絶品ですわよ」

 皆が、ルイスのケーキに群がっている、その時、生徒会室の扉がノックされた。

「ちょっと良いかな?」

 ハリス校長が生徒会室に入ってきた。

 そして彼の隣に白い髭を生やした五十代位の男がいる。


「貴方は……」

「始めまして、私、ゾロール大使館の大使を務めているグレードルです」

「ゾロール大使館の大使って、大使館のトップじゃないですか!」

「なんで、ここに大使館のトップがいるんですの?」

「レイン王子、貴方は私の友人の恩人です。是非とも、一度お礼を言いたくて」

「友人の恩人? そういえば会長のお父さんって大使館勤めでしたよね?」

「あぁ、そうだ。でもまさか大使と知り合いだったなんて……」

 どうやらグレードルは、ルビーの父親を救った件でレインにお礼を言いに来たらしい。 


「ありがとう、レイン王子。君のお陰で、私の友人が悪者にならずに済んだ。本当にありがとう」  

「いえ、こちらこそ、ご迷惑をおかけしました」

「レイン王子、貴方は何か望むものはありますか?」  

「望むもの?」

「えぇ、私達に出来る範囲で、何か叶えて上げたいんです」

「う〜ん」  


 レインは考えてみる。 

 彼の望むものは勿論アレだ。

 相手はゾロール大使館のトップ。

 頼んでみても良いだろう。


「グレードルさん。僕はいつか兄を倒し、この国のトップに立つつもりです」

「そうなんですか」

「えぇ、そして僕には国境を無くすという夢があります」

「国境を無くす?」

「えぇ、人間は国境を越えて何処でも自由に暮らすべきだと僕は思うんです」

「……」

「でも、僕は勿論、侵略戦争をするつもりはありません。グレードルさん、僕がこの国のトップに立った暁には条約を結びましょう」

「条約?」

「人々が自由に行交い、自由に暮らせる条約です。僕は真っ先に、この国境を無くす条約をゾロールと結びたい」


 レインの悲願は、この世界から国境を無くす事。

 これは、その第一歩だ。

「駄目ですか?」

「……分かりました。もし、貴方が、この国のトップに立ったら、その条約、私、全力でサポートしてみましょう」

「本当ですか」

「えぇ、勿論です。貴方は友人の恩人ですから」

 ゾロール大使、グレードルは、快くオッケーを出してくれた。

 レイン達は、その事を大いに喜んだ。


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