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電球を変えよう

「フォールオワワン、ワンフォアオール!」

「お前ら行くぞ~!」

 ラグビー部だ! 今度はラクビー部が集団でこちらに向かってきている。


「お前ら、柱っぽいものを見かけたらタックルだ。分かったな!」

「はい!」

 しかもラグビー部の部長が部員達に柱っぽいものを見かけたらタックルするよう呼びかけている。

 不味い! このままでは会長の脚立が狙われる。

 レインはラグビー部がタックルしてくるのを防ぐため杖を構えた。


「ロックファーム!(岩よ、転がれ)」

 レインが呪文を唱えると、空間から数個の岩が出現。そしてその岩はラクビー部目掛けて転がり始めた。

「ぎゃーー! これはなんだ?」

「助けてくれー!」


 岩に衝突したラグビー部は、そのまま転がり何処かへ行ってしまった。

 ふー、危ない。危ない。レインは、ほっとして息をつく。

「レイン、何かあったか?」

「いえ、会長、何もありません。大丈夫です」


 相撲部にラグビー部、運が悪かったが、もう大丈夫だろう。

 もうルビー会長の電球取り替えを邪魔するものは居ないはず。

 レインは、そう安心しきっていた、その時だった。


「ううむ、困りましたね~」

 レイン達の前方の廊下からトール先生が現れた。 

 なんと彼は考え事をしている。

 不味い! トール先生は考え事をしている時は周りが見えていないで有名だ。

 このままトール先生が突き進めば脚立にぶつかる。

 それはなんとしても防がないと。


「トール先生、脚立ありますから気をつけて!」

 レインがトール先生に呼びかけるが反応は無い。

 ちぃ、やるしか無いのか。

「フローラルペア(床よ、凍れ)」

 レインが呪文を唱えると廊下の床が再び凍り始めた。

 これでトール先生も転ぶはず。と思ったのだが。


「ううむ、今日は床が滑りやすいですね。清掃でもあったのでしょうか?」

 相撲部でさえ転んだ床を、トール先生はスイスイと進んでいく。

 そんな馬鹿な。この凍った床は誰もが転ぶはず。

 その鍛えぬかれた、体幹にレインは驚嘆した。


「ならばこれなら、どうだロックファーム!(岩よ、転がれ)」

 レインが呪文を唱えると、再び空間から岩が出現。そしてトール先生に向かって転がり始めた。

 これでトール先生を止める事が出来るはず。しかしーー。


「ううむ、困りましたね~」

 なんとトール先生はバリア魔法を展開していた。そのバリアに弾かれ岩が破壊される。

 なんという事だ。床を凍らせるだけでは駄目。岩で防ごうとしても駄目。

 これでは打つ手が無い。


「ううむ、どうしたものですかね~」

 レインが打つ手をこまねいている中、ゆっくりと、しかし確実にトール先生は、脚立に向かって来ている。

 ヤバイ! 早くなんとかしないと。

 しかしトール先生を止められそうな魔法をレインは持っていない。

 一体どうすれば良いんだ!


「相棒。大変そうだな。手伝ってやろうか?」

 その時レインの背後から声が聞こえてきた。振り返ってみると、そこには……

「す、相撲部部長!」

 先ほど、レインに床を凍らされ滑っていった相撲部の部長がレインに声をかけてきた。

「あなた、どうして……」

「困っている時はお互い様どすこい。あの先生を止めれば良いんだな」

 昨日の敵は今日の友。 


 なんと相撲部の部長がレインの事を手伝ってくれるらしい。

 これはチャンスだ。しかし、まだ人手が足りない。

「全く、困った奴らだぜ」

 再びレインの背後から声がした。振り返ると、そこにはーー


「ら、ラグビー部、部長!」

 ラグビー部長がいた。彼もまた腕を組み、こちらの様子を伺っている。

「あなたも手伝ってくれるんですか?」

「あぁ、ワンフォアオールオールフォアワンっていうだろう。しょうがないから手伝ってやるよ」

 なんという事だろうか。こんなに嬉しい事はない。これでトール先生を止める事が出来る。


「よし、相撲部部長にラグビー部長、トール先生を止めて下さい!」

「どすこい!」 「ワンフォア!」

 相撲部、部長がトール先生に突っ張りを。ラグビー部長、部長がタックルを決めていく、

 二人の突進は凄まじい、これならトール先生を止められるはず。レインはそう思っていた、だがーー


「ううむ、困りましたね~」

 なんという事だ。トール先生のバリア魔法は強力で二人の突進を、ものともしていない。

「うぉおおお! どすこい~!」 「ワンフォアー!」

 二人とも粘るが、トール先生にあっけなく弾かれてしまう。

 そのまま脚立に向かってくるトール先生。


「先生! 脚立があります。止まって下さい!」

 ダメ元でレインは懇願する。しかし、その声をトール先生の耳には届いては居ない。

「くそっ、こうなったらダメ元だ。うおおお!、ぎゃぁあ」

 レインもトール先生に突進するがバリア魔法に弾かれてしまう。そのまま床に倒れ込むレイン。

「か、会長、トール先生が……」


 レインが声を絞り出す、このままではルビーが脚立で事故を起こしてしまう。

 しかし、その声は届かない。一体、どうすれば……。

 レインは思考を巡らせ、考える、何か良い方法はないか。

 トール先生が脚立の直ぐ目の前に来た。会長、逃げてー!


「あ。トール先生じゃないですか? また考え事ですか?」

「おや、ルビーさんじゃないですか。いやはや、その通りでしてな」

 いや、会長の声なら気づくんかーーい!

 ルビーの声ならトール先生に届くらしい。彼女は脚立で事故を起こさずに済んだ。


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