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vsテリー

「お、もうそろそろ。特別ステージでゴードンがスピーチを始めるぞ」


 屋台から少し離れた木陰でレイン達は休んでいた。

 どうやら、ゴードンのスピーチが始まるらしい。

 特別ステージに行かないと。


「何処や。特別ステージは何処や?」

「ここから、五十メートル程、西に行った所ですわ」

 レイン達は特別ステージに向かおうとした、その時だった。

「フフフ。ここに居ましたか」

 向こう側から、一人の男が、こちらに向かってくる。

 一体、誰だろう?


「うん? どちら様ですか?」

 ルビーが、その男に問いかける。

「某は、元王国軍のテリーと言います。訳あってネイサンを護衛しているんです」

 ネイサンの護衛……。ダイアナさんを倒した奴だ。


「貴方達がネイサンを尾行しているという情報は掴んでいます。ネイサンの邪魔はさせません」

「どうやら、敵のようだな」

 レイン達は杖を構えた。


「フフフ、未熟な貴方達では某は倒せないでしょう。バレーナフレア!」

 テリーは呪文を唱える。

 するとレイン達の足元に巨大な魔法陣が出現。

 そして、レイン達を囲うようにバリアが出現する。

 そのままレイン達を閉じ込めた。


「しまった。バレーナフレナか」

「聞いた事があるのか? レイン」

 バレーナフレア。レインはその呪文を王宮にいた時に聞いた事があった。

 敵全体をバリアの箱に閉じ込め逃げなくさせる魔法。

 バリアの箱の外からは中の人は見えなくなる。

 要するにレイン達は透明の箱に閉じ込められた形となった。


「この速度でバレーナフレアを展開出来るとは、この人、かなりの手練れです」 

「フフフ。もうそろそろ、ゴードンをネイサンがゾロール人を操って、殺させるでしょう。貴方達は、それを指をくわえてみる事しか出来ないのです」 

 確かに、この透明の箱を破壊しない限り、レイン達は特別ステージにたどり着けない。

 なんとかしないと。


「レ・サンダボルト!(雷よ、放て!)」

 エイデンがバリアの壁に向かって雷魔法を唱える。

 しかし、壁はびくともしなかった。


「駄目や。破壊出来へん」

「このままでは、ゴードンが殺されてしまいますわ」

 バレーナフレアは強力なバリア魔法。

 しかし弱点が無い訳では無い。  

 レインは、この魔法の弱点を思い出す。


「このバレーナフレアは術者の背後は魔力が弱いんです」

「背後は魔力が弱い?」

「えぇ、だから、あの男の後ろの壁に魔法を当てる事が出来れば、この箱から脱出する事は出来ます」

 だが、この事は相手も熟知しているだろう。

 問題は、どうやって、あの男の背後の壁に魔法を命中させるかだ。


「あの男の背後の壁に魔法を当てたら、ええんやな。レ・サンダボルト!」

 エイデンが雷魔法をテリーの背後の壁に向かって放つ。

 しかしテリーは自分の周りにバリアを展開。

 そしてエイデンの魔法を防いでしまった。

「なっ」

「フフフ。某の魔法障壁を破れるものはおりますまい。背後の壁に魔法を当てさせませんよ」

 その後もレイン達は魔法をテリーにぶつけるが、全てテリーのバリア魔法に弾かれてしまう。  

 打つ手がない状況だった。 


「くっ、駄目ですわ。あのテリーとかいう男。全然退こうとしないですわ」

 もう特別ステージではゴードンがスピーチを始めている頃だ。

 早く行かないと、彼は殺されてしまう。

 レインの中に焦りが芽生え始める。


「…レイン、私が囮になる。その隙に背後の壁に魔法を当ててくれないか?」

「会長」

 ルビーが、そんな作戦を提案して来た。

「でも、どうやって?」

「バリア魔法は体術には弱い。私が直接あの男を殴れば、隙は作れるだろう」

「会長、それは危険すぎます!」

 相手は元王国軍。体術も、それなりに強いはず。

 そんな相手に体術勝負を挑むなんて。


「大丈夫だ。問題はない。ソードフレア!」

 ルビーは呪文を唱えた。

 すると彼女の持っている杖が炎を纏った剣へと姿を変える。

「……ルビー会長、剣を使うの?」

「あぁ、そうだな。ルイス」

「……ルビー会長は、元中学剣道マッセール一の称号を持っている人、それなりには戦えるはず」

「そうだったんですか。会長」

「あぁ、私が前に出る。後は頼んだぞ!」

 ルビーは地面を蹴ってテリーへと向かって行った。


「フフフ。私に剣術で対抗するつもりですか。面白いですね」

 テリーはほくそ笑む。

 自分がバリア魔法を使うと相手は大体最後は体術に頼ってくる。

 しかし、それこそテリーの狙い。

 テリーには自分の体術に自信があった。


「ソードアクチュア」

 テリーが呪文を唱えると彼の杖が剣に姿を変える。

 この剣で、あの女子高生を引き裂いておしまいだ。

 なんせ、こちらは歴戦をくぐり抜けた元王国軍。

 負けるはずが──。


「はぁあああ!」

 うわ、速っ!

 テリーはルビーの斬撃の速さにたじろぐ。

 この女子高生、かなり斬撃のスピードが速い。

 思わず、一歩引き下がった。


「フフフ。まぐれの一発ですか。次は……」

「はぁあああ!」

 いや、速っ!

 ルビーの斬撃の速さは凄まじく、またもやテリーは一発くらいそうになった。

 いや、そんな馬鹿な事はない。

 自分は元王国軍、剣の腕前は、それなりにあったはず。

 しかも相手は女子高生。自分が負けるはずが──。


「はぁああ!」

「ぎゃあああ!」

 今度の斬撃も、かなり速い。  

 テリーは一発食らってしまった。


「どうした? やはり体術は弱いのか。君は」

 そんなはずはない。

 こんなバリア魔法を使いながら、体術が弱いなんてなったら戦場では負ける。

 元王国軍である以上、テリーは様々な体術勝負に勝って来たはずだ。

 それを、こんな女子高生に負けるなんて──。 


「フフフ。そんなはずないでしょう。行きますよ」

 テリーは地面を蹴って前に出る。

 当たらない。当たらない。

 テリーは素早い斬撃を繰り出すがルビーは、それを素早く交わした。

 こんな女子高生、戦場で見た事がない。

 なんなんだ、こいつは。


「こうなったら本気を出すしかないようですね」

 テリーは今までで最大の力を込めて剣を振るう。

「くっ」 

 流石のルビーもテリーの本気を前に少したじろいだ様子だ。

「このまま行きますよ」

 テリーが、このまま押し切ろうした、その時。


「グレイテストキャノン!」

 いつの間にやら、レインが自分の背後に周っていた。

 そのままテリーの背後の壁に光の咆哮を放つ。

「しまった……、いつの間に」

 ルビーの斬撃に集中し過ぎていた。

 いつの間にかテリーはレインに背後を取られていたのだ。


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