醤油フェスを周ろう
「てゆーか、醤油フェスってなんですか……」
今更だが醤油フェスってなんなんだろう。
素朴な疑問をレインは口にした。
「……醤油フェス、それはマッセール王国に古くからある伝統のフェス」
「そうなんですか。ルイス先輩」
「……古今東西、様々な醤油好きが集まり、色々な醤油製品が見られる。そんな祭りよ」
「へぇ~、そんなものあったんですね」
「……醤油フェスでしか売られていない醤油製品もあり、中には、長蛇の列が作られる屋台もあるわ」
「詳しいですね」
醤油フェスとあって、醤油、そのものが置いてあったり、醤油をかけたお餅が並んでいたりと、様々な醤油に関連する屋台が立ち並んでいる。
レイン達はそれを見て周る事にした。
「うわ、このお餅美味そうですね」
レインは、お餅が置かれた屋台に興味を示す。
「一個、買えば良いじゃないか」
「うーん。どうしましょう」
自分達は、遊びに来た訳ではない。
レインは餅を買うか悩んでいると。
「うーん。美味い。これは美味いぞ!」
聞き慣れた声がレインの耳に入って来る。
この声はハリス校長だ。
彼は屋台の前で餅を食べていた。
「あれ、ハリス校長じゃないですか」
「おやおや、レイン君ではないか。皆で醤油フェスに来たいのかい?」
「まぁ、そんな所です」
「この醤油の、かかった餅は最高だよ。是非ともシェフを呼んでもらいたいね」
「目の前にいるじゃないですか」
ハリス校長は、屋台の人に素晴しい醤油のかかった餅だと、言葉をかけている。
美味しい食べ物ある所に校長あり。
きっと校長は、この醤油フェスを満喫しに来たのだろう。
「では、僕達は、これで」
「あぁ、醤油フェス楽しみたまへ」
レイン達はハリス校長に別れを告げて別の屋台を周る事にした。
「お客様〜、醤油いかがっすか?」
一人の屋台の従業員がレイン達に声をかけてくる。
「う〜ん。美味しいんですか? その醤油」
「うちの醤油は他の醤油とは違っていましてね」
「え? どんな物なんです?」
「この醤油、フルーツにかけるんです」
「え! フルーツに醤油、合うんですか?」
「試しにかけてみましょう」
従業員がみかんに醤油をトボトボとかけ始めた。
いや、絶対合わないだろう。
「お待たせしましたりみかんの醤油がけです」
折角出された物を食べないのは、もったいない。
レインはみかんの醤油がけを一口、口へと運ぶ。
「うげ〜、マジィ」
想像を絶する不味さだった。絶対、あってない。
「そんな。コンビニで売っている醤油をみかんにかけたんですよ。絶対に美味いでしょう」
「ただの醤油をみかんにかけたの!? 絶対にあわないでしょう」
なんか特別な醤油かと思ったが、そうではない。
普通の醤油をみかんにかけただけ。
あうわけがない。
「お客様〜、みかんの醤油がけ買って下さい〜うち赤字なんです〜」
「誰が買うんですか……」
みかんの醤油がけを無視してレイン達は、屋台を進む。
「お客様〜、醤油いかがですか?」
今度は別の屋台の店員が声をかけて来た。
「なんか他の醤油と違うんですか?」
「良くぞ、聞いて下さいました! うちの醤油、食器用洗剤にもなるんです」
「醤油が!? 汚れるだけでしょう」
「そんな事はございません。お客様、ご覧下さい!」
そう言って従業員が食器を屋台のシンクで洗い始めた。
ドボドボドボ。
彼が皿にかけるのは、ただの醤油。
本当に綺麗になるのか?
「洗い終わりました。お客様、ご覧下さい!」
従業員が洗い終わった皿をレインに見せる。
そこには、醤油汚れでベトベトの皿があった。
「全然、汚れてんじゃん! 意味無いですよ。これ!」
皿は醤油まみれで、はっきり言って汚い。
普通の洗剤で洗えよ。
「あ、お客様、うち赤字なんです。醤油洗剤、買って下さい〜」
レイン達は醤油洗剤の従業員を無視して先へと進む。
「お客様、醤油いかがっすか〜」
また別の従業員が声をかけて来た。
「今度は、どんな醤油なんですか……」
「うちは醤油シャンプーです。醤油をシャンプーにして頭を洗います。醤油には抗菌作用があるんですよ」
「嫌な予感しかしない……」
今度の従業員は醤油をシャンプーにすると言い出して来た。
絶対、無理だろ。
「それでは、お客様、実際に、醤油で頭を洗ってみせましょう!」
そう言って従業員は頭にシャワーをかけ、シャンプー代わりに醤油をドボドボとかけ始めた。
「うぎゃー! 目が、目がしみるー! 助けてくれー!」
「そうなると思いましたよ! なんで醤油をシャンプーになんかしようと思ったんですか!」
従業員は醤油が目に入ったらしく悶絶している。
いいや。無視して行こう。
「お客様、目が〜、目が〜」
レイン達は従業員を無視して先に進む事にした。




