ダイアナVS
女性刑事ダイアナは、エリート刑事であった。
彼女が担当した事件は百発百中で解決する。
その魔法の腕前は確かなもので皆からの信頼も厚い女性だった。
「本当に、あのレインって子、王家の人間なんすかね?」
彼の後輩がダイアナに問いかける。
「そんな訳ないでしょう。レイン様は死んだのよ」
ダイアナはスマホを弄りながら答えた。
「でも、同じ名前なんっすよ?」
「レインという名前は珍しくはないわ。同姓同名よ」
と言いつつも、あの魔力。
もしかしたらレインは生きているのかもしれない。
今度、レインが死んだ事故の記録を調べてみよう。
ダイアナは、そう思った。
「やったわ! ジトンのバック、ゲットしたわ!」
「先輩、ブランドもの好きっすよね……」
ダイアナと後輩は現在、ネイサンの後を付けている。
何故ならネイサンは操心の呪文を使った可能性があり、その事は重大な罪になるからだ。
これ以上被害が出る前に捕まえないと。
「む、ネイサンに動きがありましたよ」
ネイサンはゾロール人らしき男性に声をかけている。
「グリーン。ネイサンが操心の呪文を使ったと確認したら、直ぐに現行犯で逮捕するわよ」
「はい。分かりました」
ダイアナと部下のグリーン、二人はネイサンを捕まえる為、息を殺してひっそりと隠れる。
「いやはや、勝手に人の事を尾行するとは、あまり良い事ではないな」
その背後から声がかかる。
「誰!?」
気配を察知したダイアナは直ぐ様、声がした方に振り返る。
「某、テリーと申します。以後お見知りおきを」
テリーと名乗った男は年齢は五十近く、右手に杖を構えていた。
「テリーさん。今は捜査中よ。下がりなさい」
ダイアナは警察手帳を見せ、テリーに下がるように命じる。
「それは出来ません。グレイテストキャノン!」
突如、テリーは呪文を唱えた。
巨大な光の咆哮がダイアナ達を襲う。
直ぐ様、ダイアナはバリアを展開、これを防いだ。
「先輩!」
「えぇ、敵よ。応戦するわよ!」
ダイアナは杖を構えて呪文を唱えた。
「レ・ファイアブル!(炎よ、放て!)」
ダイアナの杖から炎が放たれる。
テリーは、それをバリアを張って防いだ。
「フフフ。某の魔法障壁は特別製、中々、破壊出来るものではありませんよ」
確かに、彼の言う通り、こっちの魔法障壁は、今にも壊れそうなのに、向こうの魔法障壁はびくともしない。
このままでは、やられる。そう思った、ダイアナはバリアを解き、地面を蹴って光の咆哮を避けた。
「フフフ、いつまで持ちますかな?」
テリーは光の咆哮を撃ち続ける。それを避けるダイアナ。
グリーンも魔法で応戦してはいるが、テリーの魔法障壁を崩せないでいる。
「グリーン! 少しの間だけ、こいつの魔法を防いで。私は、その隙に最大火力の魔法を撃ち込むわ」
「分かりました!」
グリーンはダイアナとの間に入り、魔法障壁を展開。
テリーの光の咆哮を防いだ。
ダイアナは、その隙に魔力を練り上げる。
そして、最大火力の火炎魔法を放った。
「ファイアブルドラゴン!」
炎は龍の姿へと形を変えて、テリーを飲み込もうとする。
しかし、テリーはその場を動かない。
「フフフ、最大火力で、この程度ですか。そんなものでは、某の魔法障壁は崩せませんよ」
炎のドラゴンを持ってしてもテリーの魔法障壁は崩せない。
そのまま、バリアに破れ炎のドラゴンは崩れ落ちてしまった。
「そんな……私の最大火力魔法が……」
「では、とどめです。グレイテストキャノン!」
テリーの光の咆哮にダイアナ達は、防ぎ切ろうとするが、魔力が足りない。
そのまま敗北してしまった。
「ふぁ〜、お早うございま〜す」
生徒会室にて、いつものようにレインは欠伸をしながら入ってくる。
「お早うですわ。レイン」
ジェシカはソファーでルイスの淹れたお茶を飲んでいる。
エイデンは窓拭きをしていた。
「はいはい、分かりました」
最奥の机でルビーが電話をしていた。
彼女は何処か神妙な面持ちで少し心配になる。
しかし、電話の内容はプライバシーに関わるから聞きづらい。
レインは、取り敢えず彼女の電話が終わってから声をかけようと思った。
「ほほほ。ちょっと宜しいですか?」
「あれ?トール先生じゃないですか、何か用ですか?」
「いえ、実はレイン、貴方に電話が、かかってきてまして」
「電話? 一体、誰から?」
「警視庁のダイアナ、という刑事さんからです。貴方、何かしました?」
ダイアナ! それはレインの事を捕まえネイサンを尾行していた刑事の名前だ。
「いえ、僕は何もしていないんですが……」
「何か伝えたい事があるから、ミーナ病院まで来て欲しいとの事でしたよ」
「病院? ダイアナさんは病院にいるんですか?」
「結構、酷い怪我をしているとか、お見舞いに行った方が良いでしょうね」
ダイアナが病院に居る。
という事は彼女に何かがあったに違いない。
レインは胸の奥のざわつきを感じた。
「では、私は、これで」
「はい、ありがとうございました。トール先生」
トール先生が生徒会室を去っていく。
丁度、その時、ルビーの電話が終わった。
「ルビー、貴方、どうしたのですか? なんだか神妙な面持ちですわよ」
「いや、父が行方不明なんだ……」
「行方不明!? それってどういう事ですか?」
「父はゾロール大使館で働いているのだが、昨日は職場にも来ていないらしい。今まで、こんな事無かったのだがな……」
「なんでや。ルビー会長のお父さんは何処に行ってしまったんや?」
この事はダイアナに聞いた方が良さそうだ。
「会長、僕、先日あった刑事に呼び出されています。一緒に病院に行きましょう」
レイン達はダイアナがいるミーナ病院にいく事にした。




