グリフォンに乗って探そう
「うーむ。これで、ネイサンとかいう奴の顔は分かったけど、この後、どうするんや?」
確かにエイデンの言う通り、今、自分達はネイサンの顔だけは分かっている状況。
しかしマッセール王国は広い。
顔だけで本人の居場所を特定する事は不可能だ。
「もし、ネイサンがミーナ(マッセール王国の首都)圏内に居るのなら居場所は特定出来るんですけどね」
「何故です? ジェシカ先輩」
「ま、私に任せ欲しいのですわ」
「ここなら人も来ませんですわ」
ジェシカに連れられ、レイン達は一通りの少ない裏路地にやって来た。
「ジェシカ、ここで一体、何をするんだ?」
「勿論、魔法を使いますわ。出でよ、グリフォン!」
ジェシカが呪文を唱えると魔法陣が出現。
その魔法陣から大鷲のグリフォンが姿を現した。
「おぉ〜、ジェシカ先輩、召喚魔法が使えたんですね」
「えぇ、私の得意な魔法は風魔法と召喚魔法ですわ。このグリフォンに乗ればネイサンという人物の居場所が分かるはずですわ」
グリフォンの大きさは丁度、車一台分。
ジェシカはグリフォンに乗り込もうとする。
「ちょっと待ってくれ。ジェシカ先輩」
「なんです? エイデン」
「そのグリフォンって、誰でも乗れるんかいな?」
「うーん。私とルイスしか乗せた事はありませんね」
「ちょっと乗ってみてもええか? 一度、グリフォンに乗ってみたかったんや」
「……まぁ、良いですわよ」
エイデンがグリフォンに乗るつもりらしい。
「エイデン、大丈夫ですか?」
「大丈夫や。任せ時」
エイデンは自信満々という様子でグリフォンに乗り込んだ。
「おぉ〜、えぇ景色やー」
「まだ飛んでないでしょう」
「では、行きますわよ。飛びなさい。グリフォン!」
ジェシカの合図でグリフォンが飛び立つかと思われた、その時。
「クェエエエ!」
グリフォンが鳴きだし暴れ始めた。
「おおおぉ〜、グリフォンなんや、しっかりせいや」
エイデンの声も虚しく、暴れるのをやめないグリフォン。
「これは、やはりジェシカが乗った方が良いのではないか?」
「どうやら、そうみたいですわね。止まりなさい、グリフォン!」
ジェシカがグリフォンを止めようとするが、グリフォンは止まらない。
「ちょ、止まりなさい、グリフォン、暴れるのをやめない!」
「おぉ〜、助けてや〜」
「はぁ、はぁ、えらい目にあったで」
「災難でしたね」
あれから数十分、なんとかグリフォンからエイデンを降ろし、今度はジェシカがグリフォンに乗った。
「さぁ、今度は私が乗りますから大丈夫ですわよ」
ジェシカはグリフォンに合図を出す。
するとグリフォンは羽を羽ばたかせて宙へと舞った。
「おぉ〜、凄いな〜」
ルビーも見上げる中、グリフォンは高度をどんどんと上昇させ空高くへと上昇。
そしてジェシカはグリフォンに乗ったままミーナ上空を巡回。
ネイサン、見つかると良いけど。
「ジェシカ先輩、どうですか?」
レインはスマホを使いジェシカに問いかける。
「……」
しかし、ジェシカからの返事はない。
一体、どうしたのだろうか?
「あれ? ジェシカ先輩、どうしたんだろう?」
「……多分、ジェシカ様は、それどころじゃ無いと思う」
「なんでです? ルイス先輩」
「……ジェシカ様は、高所恐怖症。高い所が苦手なの」
「え? じゃあ、なんで、グリフォンになんか乗ったんですか!?」
「……多分、皆の前、良いところを見せたかったんだと思う」
「そ、そうですか……」
グリフォンは空高くを飛んでいる。
高所恐怖症の人からしたらたまったものでは無いだろう。
しかし、ネイサンを見つけるには、ジェシカに頼るしかない。
レイン達は、黙って見守る事にした。
「あ、降りてくるぞ」
暫くたって、グリフォンが降りてくる。
そして地面に着地した。
「はぁ、はぁ、はぁですわ」
グリフォンには顔面蒼白のジェシカが乗っていた。
「お疲れ様です。ジェシカ先輩」
「で、ネイサンは見つかったんかいな?」
「えぇ、居ましたわ。ここから結構近いですわよ」
ジェシカに案内されレイン達は、ネイサンのいる方へと進む。
レイン達は商店街へと、やって来た。
この商店街は人通りが多く、外国人観光客も多い。
商店街にある店は、安い食べ物や飴などを販売している。
外国人観光客は、その飴や安いお菓子目当てで来るらしい。
「む、あれではないか?」
レインはルビーが指差した方へと視線を移す。
そこにはハリソンが書いた似顔絵と、そっくりの人物がいた。
「グリフォンで見たのは、あの人ですわ」
「どうすんねん? 捕まえるか?」
「いえ、捕まえた所で、僕達には、どうする事も出来ません。取り敢えず、後をつけましょう」
レイン達はネイサンと思われる人物の後を付ける事にする。
ネイサンと思われる人物は、外国人観光客の方を集中して見ている為、こちらに気付かない。
そして、ネイサンと思われる人物は商店街を抜け、小道へと入った。
「どうする? レイン」
「後を、つけましょう」
小道は段々と暗くなっている。
一本道の為、向こうが振り向けば、こちらに気付くが、向こうは、その気がないらしく、どんどんと道を進んでいく。
そして一軒の海鮮丼屋へと入った。
「なんや、昼めしかい」
「丁度、そんな時間ですわね」
「どうする、レイン」
「取り敢えず、店を出るのを待ちますか」
レインはネイサンと思われる人物が店を出るのを待つ事にした。
「うひょー、美味そうやで」
エイデンが店のメニュー看板を見ながら、言う。
「……私も食べたい」
「今は、そういう場合ではないですわ」
「でも、確かに美味しそうだな」
「そろそろ昼ご飯だから何か食べたいですね」
ネイサンと思われる人物が店を出るまでの間、暇なのでメニュー看板を見ながら、やいやい喋っていたレイン達。
その為、背後の魔法使いに気付かなかった。
「スレプトスレイム(眠りにつきなさい)」
その魔法使いは眠りの呪文を唱える。
そのままレイン達は眠りについてしまった。




