クロス国王の罪
「うーん。この、お茶、かなり美味いな」
生徒会室にて。
レイン達はルイスの入れた、お茶に舌鼓を打っていた。
「当然ですわ。ルイスの入れたお茶は世界一ですわ」
「確かに美味しいですね」
「こんな美味い、お茶、初めて飲んだで」
ルイスの入れたお茶は、とんでもなく美味しい。
流石は専属のメイドだけの事はある。
「……ぺこり」
ルイスはぺこりとお辞儀をする。
彼女は、あまり感情を表に出すタイプではないが、嬉しかったようだ。
「所でレイン、話は変わるが、君の兄は、国王のクロスなのだろう?」
「えぇ、そうですが」
「兄の、あの疑惑は本当なのか?」
「あの、疑惑ですか……」
「あの疑惑って、なんや?」
「エイデン、ご存知無かったのですか? 私は知っておりますわよ」
「なんや、疑惑ってなんや? レイン」
「……エイデンは知らないみたいですし、一から話した方が良さそうですね」
現在、レインの兄、クロスには三つの疑惑がかけられている。
一つ、実業家から高級な贈り物を贈られきた代わりに税制を優遇したと言われている、賄賂の疑惑。
二つ、テレビ局「さくら放送」に対して、自分の政策が上手く行っていると嘘の情報を流したと言われている、報道誘導の疑惑。
三つ、ネットニュースサイト、「光新聞」に対して、自分の政策が上手く行っていると嘘の情報を流したと言われている、報道誘導の疑惑。
三つとも王国法では賄賂などの罪に問われる案件である。
警察側は証拠は出そろっていると主張しているが、クロス王家側は、これを否定している。
「以上が、兄クロスにかけられている疑惑です。僕は、もう王家を離れてから数年経っているので詳細はわかりませんが、兄ならやりかねないと思っています」
「つまり、あれか、レインの兄さんは、本来なら警察に捕まっても可笑しくない事をしているのに逃げてるって事か?」
「えぇ、残念ながら、そうです」
クロスは罪を犯しながらも、その地位を利用して、やりたい放題やっている。
それは紛れもない事実だった。
「まぁ、国王だから色々と難しい部分はあるが、一応、マッセール王国は立憲君主制の法治国家だからな。国王が法律を守らないとなると色々おかしくなるぞ」
「えぇ、会長の言う通りです。兄、クロスはなんとしても僕が退位させてみせます」
レインは決意を新たにした。
「あれ? テレビついているじゃないですか?」
翌日、生徒会室にて、テレビがついているのが気になったレイン。
「あぁ、たまにはニュースくらい見ておこうと思ってな」
どうやら会長がつけたらしい。
「テレビって、見るもの無いですわよね」
「俺も、あんまみぃひんな〜」
「まぁ、そう言うな。たまにはニュースくらいは見ておくのも悪くは無い」
スマホを見るのも悪くはないが。
どうせならとレイン達はテレビを見る事にした。
「続いてのニュースです。マキシビ小学校の子供達が職業体験を行いました」
どうやら近くの小学校で、職業体験があったらしい。
「マキシビ小学校の子供達はホストクラブで職業体験を行ったようです」
え? まさかのホストクラブで職業体験?
「その時の映像が、こちらになります」
テレビにはマキシビ小学校の職業体験の様子が写し出される。
「はい。カリオペちゃんから、シャンパン入りました〜!」
そこには確かにホストクラブが写し出されていた。
ホスト達が客からシャンパンが入ったと盛り上がっている。
「今日は、マキシビ小学校の子供達が職業体験に来ています。子供達、カモーン!」
ホストに呼ばれて大勢の子供達が店内に出て来る。
「「お姉さん。シャンパンを入れてくれて、ありがとうございます!」」
大勢の子供達がシャンパンを入れてくれた客にお礼を言っていた。
いや、駄目だろ! こんな所で、子供達働かせちゃ!
「今日は、子供達から、カリオペちゃんにお礼のシャンパンコールがあるぜ。子供達、コール頂戴〜」
子供達にシャンパンコールさせんの? 駄目だろ!
「「どんぐりころころ、どんぐりこ〜、お池にはまって、さぁ大変」」
まさかのどんぐりの歌、歌い出したぞ。子供達! それでシャンパンコールになるの?
「いぇー、ありがとう、カリオペちゃ〜ん。センキュ〜」
なんやかんやで盛り上がったらしいホストクラブ。
これで良いのだろうか?
「うーん。碌なニュースがやって無いな」
どうやら会長の、お気には召さなかったらしい。
彼女がチャンネルを変えようとした、その時だった。




