秘密兵器を使ってみよう
「と、いう事でハリス校長からマジックレーダー、借りて来ました〜!」
ドリームスの店舗にて、マジックレーダーをハリス校長から借りてきた事を皆に報告するレイン。
ちなみに、お店は画鋲落としを捕まえたい為、全面協力してくれるらしい。
これで捕まえられるぞ。画鋲落とし。
「お〜、凄いじゃないか。レイン」
「で、どうやって使うんや?」
レインはマジックレーダーのスイッチを入れる。
ピコンピコン。
早速、マジックレーダーに反応があった。
「これは、厨房の方で何らかの魔法が使われている反応ですね」
マジックレーダーによると厨房の方で何らかの魔法が使われているらしい。
「見に行った方が良いか? レイン」
「えぇ、見ましょう」
厨房の方に画鋲落としの犯人が居ないとも限らない。
店の人に許可を取り、レイン達は厨房を覗き見る。
厨房は戦場。お客様に様々な料理を出す為、色々な美味しそうな匂いを漂わせながら、シェフ達が急ピッチで作業を進めている。
「ここか? レイン」
「うーん。もうちょっと端っこですね」
マジックレーダーによると、厨房の端っこの方で魔法が使われているみたいだ。
レイン達は厨房の端っこを覗いた。
「いっひひ。今から、お前に魔法をかけてやるぞ」
厨房の端っこでは一人の男が椅子に縛られて拘束され、その目の前で杖を持った男が魔法をかけようとしている。
「や、辞めてくれ〜、俺は、まだ死にたくない!」
椅子に拘束されている男は杖を持った男に懇願している。
この杖を持った男が画鋲落としの犯人?
レインはじっと男の事を観察した。
「いっひひ、今から、お前に目玉焼きは、醤油じゃなくてソースをかける派になる魔法をかけてやる。覚悟するんだな」
あ、違った。
この男、目玉焼きにソースをかける派になる魔法をかけるだけの人だ。
「や、辞めてくれ。俺の家は代々、目玉焼きには醤油って決まってるんだ。頼む、勘弁してくれ」
椅子に拘束された男は必死に懇願している。
てゆーか、何。目玉焼きにソースをかけたくなる魔法って。
「駄目だ! 目玉焼きにはソースだと決まっているんだ。大人しくソース派になれ!」
「く、くそっ、誰か助けてくれ、頼む!」
椅子に拘束された男の必死の懇願。
それを嘲笑うかのように、男は目玉焼きの呪文を唱えようとした、その時だった。
「待ちなさい!」
女の声がして二人は振り返る。
「お前は、ローラ!」
「無理矢理、目玉焼きにソースをかける派にするなんて間違っているわ!」
ソース魔法をかけようとする男に正論を言うローラという女性。
「ふん、お前もソース派にしてやる。ソースプリツェ!」
その女性に男は目玉焼きにソースをかける派になる呪文を唱えた。
「きゃああ!」
ローラは男の呪文をもろに食らってしまう。
彼女はソース派になってしまったのだろうか?
「さぁ、お前も今日からソース派だ。さぁ、この目玉焼きにソースをかけろ!」
男はローラに皿に乗せられた目玉焼きを差し出す。
このまま彼女はソースをかけるのだろうか?
「私、負けない……」
なんと彼女はソース派になる事を必死に拒んでいる。
その右手は、ソースでは無く醤油に伸びようとしていた。
「な、馬鹿な! 呪文はちゃんとかけたはず、何故?」
ローラが醤油に手を伸ばそうとするのを見てたじろぐ、呪文をかけた男。
「ソース派、貴方は弱い。目玉焼きに何をかけるかなんて、人は自由なのよ!」
ローラはソース派の呪文を振り切り、醤油へと手を伸ばした。
そして、その醤油を目玉焼きへとかける。
「ウォオオオオ、ローラ、やったぞ。お前は根っこからの醤油派だ〜」
ローラが醤油に手を伸ばしたのを見て嬉しそうに歓声を上げる椅子に拘束された男。
「くっ、私の負けだ。目玉焼きには何をかけても自由にしろ」
素直に負けを認めたソース派の男。
「おい! お前ら、この目玉焼きは、お客様に出す奴だぞ。何、醤油かけてんだ!」
どうやら、この目玉焼きは客に出す予定だったらしい。
三人は厨房のシェフに、こっぴどく怒られた。
「うーん。厨房の方の魔法は、画鋲落としでは無かったみたいですね」
厨房の方の魔法が、目玉焼きにソースをかける派になる魔法だと分かって店内に戻ってきたレイン達。
「諦めずに、捜索を続行しよう。少なくても、この機械は本物だぞ」
「それもそうですね」
このマジックレーダーが魔法に反応するというのは、どうやら本当らしい。
レインは再び、マジックレーダーをじっと観察する。
「あ、また反応がありました!」
マジックレーダーに再び反応があった。
「む、次は何処だ?」
「この反応、店裏かな?」
どうやらマジックレーダーは店裏に反応を示しているらしい。
レイン達は、こっそりと店裏へと回った。
「やっぱり、この場の反応が強いです」
店裏に行くに連れて反応が強くなっている。
この場所で魔術が使われる事に間違いはないだろう。
「う、うわぁー、や、辞めてくれ!」
店の裏の道の真ん中で、椅子に拘束されている男がいる。
そして、その目の前に杖を構えた、もう一人の男がいた。
さっき見たな、この光景。
「いっひひ。今から、お前に魔術をかけてやる。観念するんだな」
杖を構えた男は、椅子に拘束された男に魔術をかけるつもりらしい。
今度こそ、画鋲落としの犯人か?
「今から、お前にレジ袋が二度と使えなくなる魔法を掛けてやる。いひっひ。楽しみだな」
違う。この人、エコに気を使っている人だ。
「辞めろ。エコというのは、個人の意思が尊重されることだ。無理矢理やっても意味がないだろう!」
椅子に拘束された男が正論をいう。
「黙れ! そんなんだから地球温暖化が止まらないんだ。これからは無理矢理エコをする時代だ」
それに反論するエコな男。
どうやら彼は相当エコに、お熱らしい。
「良いか。俺はエコの為なら鬼にもなってやる。それが未来の子供達の為なんだ!」
す、凄い覚悟だ。
てゆーか、レジ袋を使えなくする魔法って何?
「食らえ! エコーチェンバー!」
エコ派の男が、呪文を唱え、椅子に拘束された男が呪文を食らう。
「ぐ、ぐわぁあああ!」
「どうだ。エコバックを使う気になったか?」 エコ派の男が問いかける。
一体、椅子に拘束された男は、どうなったのだろうか?
「うーん。エコーー!」
椅子に拘束された男は、そう叫びながら自分を縛っている縄を、ぶち破る。
「目覚めたか」
「あぁ、お陰で、俺は完全にエコに目覚めた。これからはエコバックを使うし二酸化炭素を出さない為、呼吸はしないよ」
いや、どうやって生きるんだよ。
「ありがとう」
「こちらこそ」
エコ派の男とエコに目覚めた男は握手を交わした。
そして、そのまま店の裏から去って行った。




