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ハリス校長の助言

「あ、会長」 

 ドリームスの入り口にはルビーがいる。


「会長、どうでしたか?」

「いや、駄目だった」

 ルビーは首を横に振って答える。


「この道には人が一人も居ない。捜索はしたんだが、もう逃げられているだろうな」

「そうですか……」

 残念ながら、どちらの道にも画鋲落としの犯人は居ない。という事は、完全に逃げられたという事になる。

「な、さっき会計している時に、凄い事に気付いたんや」

「ん? なんです?」

「1620円のもん、2020円払ったら、お釣りが減るんや。凄いやろ!」

「お釣りの計算とは、そういうものです……」


「ん〜、昨日は奇妙な点がありますね」

 翌日、生徒会室にて、昨日のドリームスでの自分達の動きを反省するレイン達。

「そうだな。イチゴパフェが美味過ぎた。何故、あんなに美味いのだろう?」

「会長、それは関係ないです」

 話を戻して。


「僕達は店の中をずっと見ていました。なのに、何故、僕達は犯人の姿を見て居ないのでしょうか?」

 画鋲落としはレイン達の直ぐ近くで発生した。

 なのに何故、自分達は犯人の姿を見ては居ない?

 現行犯で捕まえても良さそうなのに。

「そうだな。店内をずっと観察していたわりには、気づくのが遅すぎた。何故、あんなに遅れてしまったのだろうな?」

「店の食べもんに集中しすぎたんちゃう?」

「いえ、貴方達はわかりませんが、僕は、ちゃんと店内見張ってましたよ」

「な、私だって店内を観察していたぞ。こういう事は、ちゃんとやる女だ」

 確かにルビー会長は、こういう事は、ちゃんとやる女性。

 その見張りから逃れるとは、何故、そんな事が出来るのだろう?


「店内は、そんなに広くはありません。二人がかりで見ていたら、犯人は直ぐに見つかるはずなんです」

 なのに察知するのに遅れた。一体何故? 

「うーん。分からへんな。それより、これ貰って来たで」

 エイデンが小さなビニール袋を取り出す。

 袋の中には、店内に落ちていた画鋲が入っていた。

「な、エイデン、それ貰って来たんですか?」

「おお、そうや。なんかの役に立つかもしれへんおもってな。ほれ、三つ分、ちゃんと分けたで」

 袋は三つあり、その中には画鋲が入っている。  

「う〜ん。貰っても困るな〜」

「まぁ、良いじゃないか。レイン。何か手がかりになるかも知れない」


「う〜ん。この画鋲、どうしよう?」

 校舎内の廊下を歩きながらレインは画鋲の入った袋を天井にかざす。

 まじまじと観察するが、この画鋲、ただの画鋲。

 この画鋲をどうしたら良いんだろう?


「あ、ハリス校長だ」

 画鋲を、どうしたら良いかと悩んでいると、向こうの方からハリス校長が歩いて来た。

 彼は片手にコンビニで売っているフライドチキンを持っている。

 そして、彼は、それを口へと運んだ。


「う〜ん。素晴しい。このチキン。大変、美味だ。最高のコンビニチキンだよ」

 いつものように美味しそうにチキンを、ほうばるハリス校長。  

 この人、いつも何か食べてるな。


「美味い! 美味過ぎる。シェフだ。シェフを呼んでくれ! 一言言いたい!」

「こんな所に、コンビニチキンのシェフは居ませよ……」

「おや、レイン君ではないか。何か悩んでいるかのような顔をしているね。一体、どうしたんだい?」

 流石は教師。生徒が悩んでいる姿には敏感だ。 

 少し画鋲落としについて相談してみるのも良いかも知れないな。

「あの、ハリス校長、ちょっと良いですか?」


「なるほど、これが、その画鋲という訳か」

「はい。そうなんです」

 事情を話し、ハリス校長に画鋲の入ったビニール袋をを手渡したレイン。


「うーん。この画鋲」

 ハリス校長は何かに気付いたみたいだ。

「魔術がかけられているね」

「え? そうなんですか?」


「あぁ、恐らく人の気配を消す魔法だ。この画鋲を持っているだけで、その人間は何処にいるか分かりにくくなるだろうね」

 人の気配を消す魔法。

 だから画鋲を落としても気付かなかったのか。


「なるほど、だから僕達は画鋲落としの犯人を見逃していたのか」

「うん。これは中々、厄介な魔法だね。まぁ、私に着いてきたまえ」

 レインはハリス校長に連れられて校舎の中にある物置部屋へと案内される。


「うーん。この辺りにあれがあったはず。うーん無いな〜」

 ハリス校長は物置の中から何かを探しているみたいだ。

 一体何を探しているのだろう?


「お、あったぞ」

 ハリス校長は物置の中からレーダー探知機を取り出してきた。

「ハリス校長、これは?」

「これは魔法を探知する機械さ」

「魔法を探知する機械?」


「別名マジックレーダー。魔法が使われた時、そのマジックレーダーがピコンピコンと音が鳴る仕組みになっている。音の強い方へ向かえば、術者の元に、たどり着く優れ者さ」

「じゃあ、これを使えば……」

「あぁ、相手が気配を消す魔法を使おうが関係ない。直ぐに画鋲落としの犯人が見つけられるさ」

 レインはハリス校長からマジックレーダーを借りた。


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