社長令嬢ですわ!
怠惰な王子と社長令嬢。
「ほう。レイン、あんた王子だったんかいな〜」
エイデンの雑用係も、すっかり板について来た頃。
レインは自分の正体を彼に明かした。
「えぇ、まぁ、半端な王子ですけど」
「でも、王子って事は、王様になる確率があるって事やろ?」
「えぇ、兄が死んだり、王を続けられない何かが発生した場合。王国法では、王位継承権は、僕にあります」
「それは、凄いな〜、王様になったら何かしたいことあるんかいな?」
「先ずは、傾きつつある、この国を立て直す事。そして、ゆくゆくは、世界から国境を無くす事。それが僕の夢です」
「そうやったな。俺は、あんたに着いて行くで〜。真の自由をゲットするんや!」
どうやらエイデンは真の自由という言葉を気に入っている様子。
まぁ、いっか。
「所で、エイデン、窓拭き掃除は終わったのか?」
と、ルビー会長。
「おぉ、バッチリや! 完璧にピカピカにしたで〜」
「そうか。なら一旦確認するか」
ルビーは自分の席から立ち上がり窓を確認する。
とはいえ、エイデンのやった事。
何か問題が発生しても可笑しくはないはず。
せめて、こちらで対処出来る問題であって欲しい……。
「な、凄い! これは完璧な窓拭きだ」
窓を確認したルビーが驚いている。
え? エイデンが窓拭きという単純作業を完璧にこなしたって?
そんな馬鹿な。気になったレインも窓を確認した。
「本当だ。ピカピカになっている……」
レインは窓を見て驚愕する。
エイデンの拭いた窓は、まるで業者がやったみたいにピカピカになっていた。
「俺は改心したんや。窓は完璧に拭いた。どんな雑用でも、完璧にこなしたる」
どうやら彼は本当に自分の行いを反省したらしい。
今の所、授業をサボったりしている様子もないし、本当に良かった。
「凄いじゃないか。エイデン。この調子ならテストでも赤点を回避出来るな」
「任せといてや。窓拭き問題は完璧や」
「テストで、窓拭き問題なんて出ないでしょ……」
「所で、レイン。具体的に、どうやって国境を無くすんや?」
エイデンが雑用を終えて暇なのかレインに問いかけて来た。
「具体的に、ですか?」
「そうや。国境を無くすと言ったって色々やる事あるやろ」
「そうだな。確かに、それは私も気になっていた所だ」
ルビーも割って入ってくる。
「そうですね。先ず僕は国境を無くす為に侵略戦争をするつもりはありません」
「ほうほう」
「先ずは、国境を無くしマッセール王国の人達が他国に自由に出入りしたり、また他国からもマッセール王国に自由に出入り出来る条約を結ぶ、そういう所からですかね」
「なるほどな」
「後は、この王国を先ずは頭の良い学者達が住み易い環境にし、どうやったら世界から国境を無くせるか自由な議論を……」
レインは国境を無くす方法について、ルビー達と談義を交わしている。その時だった。
「その話、聞かせてもらいましたわ〜」
突如、生徒会室に響き渡る女性の声。
そして、次の瞬間。生徒会室の扉が思い切り開いた。
「な、誰だ?」
レイン達の前に二人の女性が姿を現す。
一人は銀髪を腰元まで伸ばした気品のある美しい女性。
もう一人はメイド服姿で、髪は肩まで伸ばしたショートカット。こちらも容姿は可愛かった。
「初めまして、私、ジェシカ・ローズ。そして、こちらがルイス。私の召使いですわ」
メイド服の女性、ルイスは、ペコリとお辞儀をした。
「……宜しくお願いします」
「ルイスは、ちょっと無口な所があるけど、優秀な女性ですわ。宜しくどうぞ」
「なるほど、宜しく頼む。じゃない! 急に生徒会室の扉を開けてなんなんだ。ジェシカ」
当然の突っ込みを入れるルビー。
「おほん。自己紹介は終わらせた所ですし、本題に入りましょう。そこの少年」
「え、僕ですか?」
「立ち聞きさせてもらいましたけど、貴方、国境を無くすつもりなのですわね?」
「え、えぇ、そうですけど」
「その夢、私達にも協力させてもらわないかしら?」
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