エイデンの処遇
それから一週間の月日が流れた。
「で、エイデンは、どうなるんでしょうか?」
生徒会室にて、レインがルビーに問いかける。
「今は処分決定の為の謹慎期間らしい。まぁ、全てはハリス校長次第だな」
エイデンはテストにおいてカンニングをしようとしていた。
その処分は、退学も考えられる。
一体、彼はどうなるのだろうか?
「やぁ、君達、ちょっと良いかい?」
エイデンの処分について思いを巡らせている時、生徒会室の扉が開き、ハリス校長が入って来た。
「ハリス校長。それにエイデン!」
背後にはエイデンも居る。
「実は君達に頼みたい事があるんだ」
「「エイデンを生徒会の雑用係にですか?」」
ハリス校長の突然の提案に驚くレインとルビー。
「そう。彼には少し自由以外の事を学んでもらいたくてね。君達に任せるのが一番だと判断したんだ」
どうやらハリス校長はエイデンを生徒会の雑用係として雇わせる事で、手をうつつもりらしい。
「と、いう事はエイデンの退学はなしという事ですか?」
「うん。まぁ今後の彼の反省態度次第という事になりだね」
なんと、ハリス校長は寛大な処置をして下さった。
「良かったじゃないですか。エイデン」
「あぁ、そやな」
とりあえずエイデンの退学が免れた事を喜ぶレイン。
「では、ルビー君、任せても大丈夫かい?」
「えぇ、任せて下さい。必ずエイデンを更生させてみせます」
ルビー会長からもOKが出た。
エイデン、彼は生徒会に雑用係として入る事になる。
「エイデン君」
「は、はい!」
「今回の措置は、はっきり言って甘い、パンケーキに砂糖と蜂蜜をかけた位甘いものだ」
「は、はい」
「でも、君は、まだ若い、若さとは、それだけで価値があるものなのだよ」
「……」
「君が、その価値を正しい事に使ってくれる事を私は願っている。そのための措置だと思ってくれ」
「……分かったで!」
「では、私は、これで後は頼んだよ。二人共」
「と、いう訳で、今日から俺は雑用係や。宜しく頼むで、二人共」
新しく生徒会の雑用係に就任したエイデン。
「宜しく頼みます」
「あぁ、宜しく頼むぞ」
エイデンの事を暖かく迎える二人。
「とりあえず、窓掃除や。ここの窓、ピッカピカにしたる!」
どうやら、彼はやる気マックスらしい。
よし、この男になら、話しても平気かも知れない。
レインは覚悟を決めた。
「あぁ、エイデン、ちょっと良いですか?」
「うん? なんや。レイン」
「うん? レイン。あの事を、エイデンに喋るのか?」
「ええ、彼になら喋っても大丈夫。僕の直感が、そう働いてます」
「そうか。なら私は何も言うまい」
「うん? なんや。なんの事や?」
レインは、エイデンに、あの夢について語る事にした。
「エイデン、一緒に国境を無くしませんか?」
「なんや? 急に?」
「僕達は、この世界から国境を無くすという夢を持っています。その夢を貴方共、共有したいんです」
「国境を無くす? そんな事出来るんかいな?」
「国境をなくす事じたいは人間の覚悟さえあれば出来ます。僕の夢に協力してくれませんか?」
「……」
エイデンは何やら考えている様子。
「俺は、アンドリューの件でな」
そしておもむろに口を開いた。
「自由とは、なんなのか。もう一度考え直す事にしたんや。自分勝手な自由は終わりや。俺は、俺なりの自由を探す」
「はい」
「あんたの夢についていけば、その答え見つかるんかいな?」
「……自由とは難しいですね。でも僕は国境を無くす事、それが真の自由に繋がる、そう考えています」
「真の自由……」
「勿論、平坦な道ではありません。しかし、進む事に意味がある道です。どうですか? エイデン、一緒に進んではくれませんか?」
エイデンは少しの間をおいて、そして口を開く。
「……よし、決めた。俺はあんたに着いて行く!」
「エイデン……」
「俺もあんたの言う真の自由に興味がある。国境、無くそうやないか!」
良かった。思いが通じたみたいだ。
「では、宜しくお願いしますね。エイデン」
「おう、こちらこそ。頼むで!」
レインとエイデン、二人は固い握手を交わした。




