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完全無欠の生徒会長

「あ~、あの不良達のせいで遅刻するじゃないか、ちくしょー」

 レインは駆け足で校門をくぐり、自分の通っている魔術学園ミラリス魔術学校へと入った。

 

 このミラリス魔術学校はマッセール王国、国内一巨大な学園で他国からの留学生も多い。

 在籍中は様々な魔法を学べ、卒業する頃には優秀な魔法使いとなる事が出来る。

 レインは、この学校を自分の隠れみのとしている。この学校、中々秘密にしている事も多く、兄クロスでも見つける事が出来ない。

 

 レインは校舎へと続く庭を進んでいく。この学校、とにかく巨大で校舎へと続く庭の中央には噴水が置かれていたりする。

 朝とあって庭にはベンチに座り、お喋りをしたり、宿題を忘れたのか落ち込んでいる生徒がいたりと様々だ。

 始業のチャイムは、まだ鳴ってはいない。レインはギリギリ間に合ったようだ。


「ふー、危ない。危ない」

 あまり遅刻するとレインは生徒の間で目立ってしまう。クロスから逃げているレインは、それは避けたかった。だからといって真面目に勉強するつもりはないが。

 レインはこの学園に入学してから、目立つ事は避けている。魔術の試験は本当は一位を取れるのだが、目立つ為、わざと手を抜いているし、筆記の点数もそこそこにしている。

 その努力のかいあってかレインは学園では中々目立たない地位を築いている。

 しかし彼は一点だけ目立つ事があった。それはーー。


「きゃー、猫が木が落ちそうだわー」

 生徒の一人が悲鳴を上げている。視線を移すと、今にも木から落ちそうな猫がいた。

「きゃー、生徒の一人が運んでいるノートの山が崩れてしまったわー」

 視線を移すと、生徒の一人が運んでいるノートの山が今にも崩れそうになっていた。

「きゃー、生徒の一人が三人のスナイパーに狙われているわー」

 視線を移すと、生徒の一人が草むらの陰に隠れている三人のスナイパーに狙われていた。

 なんで、学園にスナイパーが居るんだよ。という話は置いておくとして。

 この大ピンチでも生徒達は焦らない。何故なら、この学園には彼女が居るからだ。


「大丈夫か?」

 彼女は素早く現れ、木から落ちそうになった猫を救出し。

「ノートは全て拾ったぞ。安心して欲しい」

 崩れ落ちそうになったノートを全て拾い上げ。

「レ・ファイアブル!(炎よ。放て!)」

 魔法でスナイパーを撃退した。

「きゃー、ルビー生徒会長よ~!」

「今日も素敵~!」


 颯爽と現れ全ての問題を解決した彼女の名前はルビー・ブレイズ。

 十七歳にして、この学園の生徒会長に君臨する、いわば、この学校の女王だ。

 腰まで伸びた茶髪の髪は美しく、ルックスは彫刻のように完璧。

 ルックスだけではなく、スタイルも完璧で、胸もメロンのように大きい。


 美貌だけではなく勉強も武道も、この学園一位のまさに完璧超人。

 その完璧さから男女問わず大人気の生徒会長であった。

 そして目立つ。この学園でトップに目立つといっても過言ではない。

 出来れば、このような女性にレインは関わりたくはなかった。

 関わりたく無かったのだがーー。


「む、レインじゃないか」

 ルビーはレインを発見すると直ぐさま彼に駆け寄る。

「また遅刻寸前なのか。駄目じゃないか。生徒会の一員なのに」

「へへ、すみません」


 何故かルビーはレインの事を気に入ってしまったらしく、彼を強引に生徒会に引き入れてしまった。

 故にレインの目立たない学園生活に、ほんの少しばかり支障が出来てしまったのである。

「また、あの子だわ。レインって奴、何者?」

「生徒会長に話しかけられるとわ。羨ましすぎる~」 

 いや、ほんの少しではないかもしれない。


「か、会長。僕は授業があるので、これで~」

 このまま、ルビーと話していると、目立ってしまう。

 レインは、彼女に別れを告げる。

「放課後、生徒会活動があるぞ~」

「わ、分かってますよー」


「く~、くか~」

 授業中、レインは寝ていた。いつもの事である。寝すぎると目立つのだが、こればっかりは仕方ない。この授業中の居眠りだけは譲れなかった。


「え~、炎の魔法と水の魔法、相性はございますが、基本的には魔力が強い者が勝ち~」

 教壇ではミラリス魔法学校の教師トール先生が授業を行っている。

 しかし、そんな事はお構いなしにレインは寝ていた。

「ほほほ。私の授業は、やはり眠いですかね」

 心優しいトール先生は無理にレインを起こしたりはしない。

 その優しさにレインは甘えていた。

 


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