クロス国王の正体
「クロス国王陛下、こんにちは〜」
マッセール王国、現国王、クロス・ヴィシュタルトは王国内にある、お金の無い子供達に、ご飯を食べさせてくれる施設。
いわゆる『子供食堂』を訪れていた。
「あぁ、こんにちは」
クロスは満面の笑みで子供達に挨拶を返す。
といっても心から笑っている訳ではない。
彼の本心は、ドス黒い闇に包まれている。
「きゃ〜、クロス国王陛下と子供達の絡みは、素晴しいものだわ〜」
「下がりかけていた支持率も上がるだろうな」
そうとは、分からず周囲のマスコミやクロスの関係者は彼を持て囃すばかり。
勿論、クロスの計算である。
彼は自分の支持率を上げる為、子供達を利用しているだけであった。
「クロス国王陛下、この手紙、読んで下さい」
子供食堂に来ていた一人の子供がクロスに声をかけてきた。
「君、クロス様に声をかける時は私達を通して……」
「いや、構わないよ」
予想外の行動を取る子供に怪訝な顔つきを見せるSP達。
そんな彼らを制止してクロスは子供に寄り添う。
「この手紙はなんだい?」
「景気が良くなって、私達がお腹いっぱいご飯を食べられるように書いたの〜」
「へ〜、そうなのか」
クロスは子供からの手紙を受け取る。
「この手紙はちゃんと読ませてもらうよ」
「うん。お願いします!」
「きゃあ〜、子供に優しい国王陛下、素敵だわ〜!」
「俺達は、やっぱり国王陛下に着いていくべきなんなんだ〜!」
「先程の手紙、どうしますか、クロス様」
子供食堂の視察を終えたクロスは自分専用の公用車へと戻る。
そこで専属秘書であるモールスに話しかけられた。
「うん? そんな手紙、貰ったか?」
「こちらでございます」
モールスはクロスに子供が書いた大事な手紙を渡す。
「ふん、汚らわしい」
クロスは誰も見てない事を良い事に、その手紙をビリビリに引き裂いた。
「馬鹿でカスの国民は、黙って私に従っていれば良いのだ。私に意見をするなど、あってはならない。そうだろ。モールス」
「……左様でございます」
「さっさと車を出せ。こんな場所、とっとと立ち去りたい。後、増税の件、さっさと国民に発表しろ」
「畏まりました」
クロスを乗せた車は速やかに子供食堂を去る為、発進した。
子供の気持ちをなんとも思わない。国民を自分の権力の為の道具としか思わない。
それが、この国のトップの姿であった。
怠惰な王子とヤンキー
エイデン・ウォーカー、彼は不良であった。
彼は授業にはろくにでない。自分が気に入らない事があると直ぐに喧嘩にはしる。
そんな男であった。
「おい、そこどかんかい」
彼は川原にいた。そこでたむろしている別の不良集団に臆する事無く声をかける。
「ああぁん! 誰でてめぇ!」
相手も不良集団。売られた喧嘩は買うが如く、エイデンにメンチを切ってくる。
「俺は、今、その川原で寝たいんや。俺の自由、奪わんといてや」
エイデンも負けずに応対する。
「無理に決まってるだろ! ここは俺達が、おままごとしてんだ! 見たら分かるだろ!」
不良集団は、川原でブルーシートを広げ、人形を使って、おままごとをしていた。
なんで、いい歳こいた不良集団がおままごとをしているんだろう?
「今、夕飯の支度をしている最中だ! とっとと消えな!」
「そういう訳にははいかんのう。俺は、今、そこの川原で昼寝がしたいんや」
「ちっ、なら力づくで奪ってみろよ! 返り討ちにしてやる!」
「ほな行くで〜」
彼らを止める者は誰も居ない。
エイデンは、待ってましたとばかりに不良集団達と喧嘩になった。
そして五分後。
「ふぅ、これでようやく寝れるわ〜」
不良集団との勝負に圧勝し見事川原をゲットしたエイデン。
彼は川原の草むらに寝転がり昼寝を楽しんでいた。
「くそっ、俺達のおままごとスポットがっ!」
「兄貴、どうしましょう?」
「まだ、ミッチー(人形の名前)に夕飯を食べさせてね〜、別の場所に行くぞ!」
「はいっ!」
敗者である不良集団達は川原を立ち去るしか無い。
「ううん。ほな、おやすみ〜」
エイデンは川原で寝る事にした。




