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94.この島の謎

「ごっごめんくださ〜い…って言っても誰もいないんだった。勝手にお邪魔しますよっと…。」


 村に建っているいくつかの民家は、外観を一目見てわかるほどガタが来ており。土足で床に上がった瞬間からギシギシと音を立てた。

家の中を持っていた懐中電灯で照らしながらよく見ると、昔この家に住んでいたのであろう住人のものと思われる白骨死体が部屋の至る所に横たわっていた。

 俺は最初にその死体を発見した時に尻餅をつくほど驚いた後、騒がしくした事と勝手に家に上がったことを謝るついでに一応胸の前で手を合わせ、祈りを捧げた。


***


いくつか家を見て回ったがどこにも少女の姿は無く、最初に見た家とほぼ変わらず部屋の中にいくつかの人骨が横たわっているだけだった。


「何かあの子とこの島に関してわかるような手掛かりがあればよかったんだけど、これと言って手掛かりになりそうなものは無かったな…。」


『そんなことないわよ。』


 突然頭の中に誰かが語りかけてきたかと思うと。次の瞬間、先ほど指輪の中に戻って行った金恵が姿を現す。


「金恵。そんなことないわよって、何かわかったの?」


「えぇ。この島で見たものや、ここにくる前に事前に調べて得た情報から推測するに。この謎の島は、大昔に何かしらの出来事が原因で海の底に沈んだ島だってことね。」


「・・・・・・?」


いまいちピンときていない俺に、金恵は順を追って説明を始めた。

 まず、金恵はこの島に来る前にこの島がある海域のことを事前に調べていたらしい。すると、この島が出現したと騒がれる前のこの海域の衛星写真には、この島の姿は映っていなかったそうだ。


「でもなんで今いる島が海の底に沈んでたってわかるの?」


「それはこの村の至る所にある枯れた水草などの基本水中でしか生きられない生物など死骸が多くあることね。このことから、この島は全体的に海の中に沈んでいたことの証拠になるわけ。」


「なるほどね。だけど、その海の中に沈んでた島がなんで最近になって海から出てきたんだろう。しかもこんな巨大な島が、どうやっていきなり海上に?」


島が海の中にあった事は金恵の説明でわかったが、島が突如として海の上に姿を現した謎がまだ残っていた。


「それも大体察しはついてるわ。この島の土台となる奥深くの地面を見た時からね。」


「奥深い地面って、そんなのいつ見たのさ?」


「そんなの、あんたの仲間のメガネ君を砂浜に埋める時に決まってるじゃない。本当は全体的に埋めてやろうと思ったのに、砂浜の砂の部分が結構浅くてね。硬い岩掘るのがめんどくさかったから、仕方なく顔だけ出す感じで埋めたのよね。」


あの時か…。


 思いもよらないところで島の謎を解明するためのヒントを得るイベントに巻き込まれていたタツ。


 ってゆうか、普通に砂の部分が深くて掘るのが楽だったら、タツは見えなくなるまで埋められてて。偶然櫂に発見される事なくそのまま文字通り大地に還っているところだったってこと!?


 俺は無事に生還してくれたタツの悪運の強さに驚く反面。怒った金恵のあまりの容赦の無さに軽く引きつつも、金恵のする説明を聞き続けた。


「その偶然見た地面とこの島が急に現れた事とどんな関係があるの?」


「ここに来る途中、岩で出来た色んな敵と戦ったでしょ?その動く岩と私が見た島の土台と思われる岩の種類が一緒だったのよ。この意味わかる?」


「!? えっ、それってまさか…。」


金恵説明を聞き、島が急に現れたことに対するある一つの可能性に辿り着いた俺を見て。

 視線を合わせた俺を見ながら、金恵は頭の中に浮かんでいる説が自分と一緒だと言うことを確信し、静かに頷いた。


「…そうよ。この島がこの海域に突然現れたのは、あの女の子が自身の能力で沈んでた島を大地ごと海の上まで押し上げたからよ。」


「まさか…、そんなことって…。」


 にわかには信じられない。あの少女が能力を違って大地を操作し、島を浮上させるほど強力な力の持ち主であるなんて。


「もしそれが本当なら、とんでもない能力だよね…。」


「本当にね…ふふっ。」


「金恵?今笑える要素あった?」


いきなり不敵な笑みを浮かべる金恵にツッコミ入れた俺は、この状況と似たようなことがさっきもあったことを思い出した。


「さっきの美月姉さん達もそうだったけど、なんだかみんな戦闘が始まってから妙に嬉しそうにしてるよね?三人には上手い感じにはぐらかされたけど、いい加減何か企んでるなら俺にも教えてよ。」


「何だ。姉さん達誰も教えてくれなかったわけ?まぁでも、ここに来るまで確信が持てなかったし。そのせいで、伝えられなかったって言うのもあるか…。」


何だかぶつぶつ言い始めた金恵をじっと見ながら、俺が投げかけた質問の答えが返ってくるまでしばらく待った。そして、数分にわたる頭の中の整理が終わった金恵は、こちらを真剣な眼差しで見つめると。少し距離を詰めていきなり俺の両肩に手を置いき、口を開いた。


「ねぇあんた…、妹欲しくない?」


「・・・・・・へっ?」


真剣な表情をした金恵の口から出た予想だにしない一言に、俺の頭の中は一瞬でフリーズした。

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