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93.また何かを企む姉達

「いよっしゃあっ!面白そうな相手が来たじゃねえか!暴れてやるぜぇ。」


「火鈴。張り切るのはいいですけど、張り切りすぎて森の中を火事にしないでくださいね。」


「いいね〜。突如出現した謎の島で未知との遭遇。動画回したら再生回数エグそうw」


「眠い…。」


「このレベルの相手なら全員いらないでしょ?木陽ももう限界っぽいし、私と木陽は指輪(ギア)の中に戻ってるから後よろしくね。」


普通なら敵に囲まれてピンチ的な状況のはずなのだが、ウチのとんでもシスターズにとってはこんな状況は危機でもなんでもないらしく。いつも通り自分の考えで自由に動き出していた。


「それじゃあ行くぜっ!」


 火鈴掛け声と共についに森の中で戦闘が開始される。岩の獣達は向かってくる俺たちに向かってまるで威嚇でもしているかのように、口を大きく開けながら岩でできた尻尾を天高く逆立てた。


「そんなんでアタシたちがビビるとでも思ってんのかよっ!」


「はあぁっ!」


「ビュビュといっちゃうよーっ!」


獣に対して放たれる拳、斬撃、凄まじい勢いの水銃が敵を最も簡単に砕き、切り裂き、貫きながらどんどん倒してゆく。

 気づいたら周りに複数いた敵はすでに全滅しており。俺の出る幕は無く、再び何事もなかったかのように少女の後を追いかけ始めた。

 しかし、少し走ったところでまた俺たちの行方を阻むように別の形をした岩でできた獣が出現した。


「今度は猪のようですね。さっきの個体よりも大きいですが、だからと言ってなんてことありませんがね。」


現れた猪型も、美月、火鈴、水姫の攻撃によってすぐさま全滅。

 二度あることは三度あるとはよくいったもので、倒してもまたしばらく進むと、さっきとは違う形の敵が出現する。


「今度はクマちゃんだよ。稜ちん達が戦った熊型よりは少し小ぶりだけど、さっきの猪よりは大きいね。でも私達にかかればこんなの時間通り朝飯前だよー。」


これもまた瞬殺。何だか結構図体がデカくて強そうな相手が来ているのに、こんなにサクサク倒して進んでいては、恐怖どころか次はどんな形の相手が出てくるかのワクワクの方が大きくなりつつあった。


「いろんな形の敵を作り出させる緻密なゼスト操作。ゲリラ戦向けの複数体同時出現可能な便利な能力。おまけに島を囲むほど大きな壁を作り出せる圧倒的な広範囲型の力、これはとんでもない逸材ですね。」


「急にどうしたの美月姉さん?」


いきなり少女のものであろう能力をベタ褒めし出した美月に俺は何だか違和感を覚えた。


「あぁ、こんな汎用性の塊みたいな属性系の能力、是非欲しいよな。」


「火鈴姉さんまでどうしたのさ?」


「でもさぁ、さっきから少しおかしくない?あの子に近づく連れて敵はどんどん大きく怖そうな見た目になってる気はするけど。

今で会った子達、私達を威嚇するだけ威嚇して、一回も襲ってきてないよね?まるで脅かすだけ脅かして、私たちを追い返したいみたい。」


「あの、勝手にシリアスな雰囲気にして俺抜きで話進めないでくれる?この感じ前にも覚えがあるぞ!?この島に行くって話した時にもうすでに荷造り済んでたのも気になるし。また俺抜きでなんかみんなで企んでない!?」


既視感のある状況に疑問の声を上げた俺だったが。それに反応してか否か、姉三人は走りながら俺の方を向き何故かニヤニヤと笑い出した。


 何々、ちょっと怖いんだけど!?いったい今度は何企んでんのさっ!


 俺が心の中で三人の不気味な笑顔に恐怖していた時、走っていた森の先が急に開けたかと思うと。ボロボロになった家のようなものが建ち並ぶ、小さな村のような場所に行き着いた。


「ここは…、村?なのか?でも、この島に人はいない筈じゃ…。」


「見た感じ家はボロボロだし…。辺りを見渡しても、もう大分昔から人が生活してる気配がないよ。」


「だけどよぉ。こんだけはっきり人がいた形跡があって、こっちに向かってさっきのチビが逃げてったってゆうなら。この村は、あのチビとなんかしら関係があるって言う方向で考えて良さそうだな。」


もしかしたらここはあの少女の住んでいた村なのかもしれない。そう思うと、この絶海の上陸不可能な島で一人でどれだけの時間を過ごしていたのだろう。それを考えると、なんだかとても寂しい気分になった。


「とにかく、さっさとあのチビ探そうぜ。うちの木陽(チビ)にさっさとアイツの居場所聞いてよぉ。」


「そうだね。おい木陽聞こえる?さっきの女の子の居場所教えて欲しいんだけど?」


『・・・・・・。』


あれ?


「木陽さん?おーい。」


『・・・・・・Zzz』


まさか、寝てるのか?


心の中からも何度も呼びかけているが、一向に返答がない。ってゆうかなんか微かに寝息のようなものが聞こえる気がする。


「こんな大切な時に何熟睡してんだ!いいから叩き起こせっ!」


「無理ですよ火鈴。木陽は一度寝たら自分から起きるまで何をやっても目を覚ましません。こうなったら、みんなで手分けしてこの辺を地道に探すとしましょう。」


「賛成〜。なんか廃墟探索と肝試しがいっぺんにできらみたいで超テンションアガる〜。」


こうして俺たち、手分けして村の周囲を散策することにした。

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