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86.砂浜にて Ⅱ

「あら稜君。こんな所で一人座って何をやっているんですか?みんなと一緒に遊んでくればいいのに。」


金恵が去ったと思ったら、今度は何処からともなく美月が俺の前に現れた。

 俺の前に現れた美月はいつもの見慣れた和服とは違い、肌面積マシマシの水着姿に腰元にパレオを巻いており、そこから覗く長くサラッとした足がとてもセクシーに見えた。


「いや何だか体に力が入りにくくて。さっきの戦闘のせいで力を使いすぎちゃったかなって。」


「そうなんですか? おかしいですね…。確かにさっきの戦闘でみんな結構大技使ってましたけど、今の稜君のゼスト量を考えるとそこまで疲労するほど使ってないはずなんですけどね…。」


不思議に思う美月が首を傾げていると、その後ろからまた一人別の人物がこちらにやってきていた


「おーい、稜、美月姉。二人ともこんな所で何やってんだよ。せっかくの海なのに遊ばなねぇの?」


 少し布面積が少なめの黒ビキニ姿で登場したのは、褐色がかった肌がいかにも夏の似合う女感を醸し出している火鈴だった。


「火鈴姉さん。いやそれが体に力が(以下略)ってなわけで、ここで休んでるんだよ。」


「ったくだらしねぇなぁ。あっそうだ、おい稜!そんなに暇なら私にサンオイル塗ってくれよ。」


 いつ暇だって言ったよ…。休んでるって言ったよね?


「あら、火鈴だけずるいですよ。稜君、私には日焼け止め塗ってくれますか?」


火鈴の頼み事に便乗して美月は後ろ髪を胸の前に持ってくると、そのまま上のビキニの紐を解いて敷いてあったレジャーシートに火鈴と共にうつ伏せになった。


「ちょっと、まだやるって言ってないのにいきなり脱がないでよ。」


「なんだ照れてんのか?」


「て、照れてないよ。ただ、姉さん達ゼスト体なのに日焼け止めとかサンオイル塗る意味ってあるの?」


「そこはほら、気分ですよ気分。まぁ稜君はただ私たちの手の届かない背中に適当に日焼け止めとサンオイルを塗ってくれればいいですから。」


俺を挟んだ状態で二人はうつ伏せになりながらこちらに顔を向け、早く塗れと視線を送ってくる。

ここまで準備万端なのに今更やっぱり恥ずかしいから無理なんて言おうものなら、今後事あるごとにこの時のことをイジられ続けるのは目に見えている。

 そうならないためにも俺は腹を括り、緊張を悟られる前にすぐさま頼まれた液体を手に出し、そのままの勢いで二人の背中に塗り始めた。


「ひゃっ///、ちょっと稜君…。液体が冷たいのと、そんないきなり触られたらびっくりしちゃいますよ…。」


「ふふっ、稜。そんなに焦んなよ…。女の肌に触れる時はな、もっと丁寧に優しく触れるもんなんだぜ。」


火鈴に言われたようになるべくゆっくりと時間をかけて二人の背中全体に液体を馴染ませていく。


「そっそうだ…、うまくなってきたぞ…、稜。」


「あっ!稜君…。私…、背中が感じやすいのでもう少しゆっくりと…。」


背中に触れた俺の手が動くたびに背中のくすぐったいのを我慢してる中で不意に漏れる大人の女性の吐息混じりの艶やかな声が、ただ日焼け止めやオイルを塗っているだけなのにまるでいけないことをしている気分にさせた。


「ちょっと、何やってんのよあんたら…。」


「うおっ、金恵!?帰ってきたの?いやこれは、姉さん達に頼まれて…。」


そういう俺をまるでさっきタツを連れていった時同様に女の敵を見るような軽蔑の眼差しで俺を見る金恵。本当にただ日焼け止め塗ってただけなのに、なんでこんなゴミを見るような目で見られなければならないのか…。


「なんだ金恵。さてはお前、稜に日焼け止め塗ってもらってる私たちが羨ましいんだろ?」


「はぁ?何をどう考えたら私が稜に日焼け止め塗ってもらいたいなんて思える訳?ってゆうか日焼け止めぐらい自分で塗れるし。」


やっぱり金恵も日焼け止め塗るんだ…。


「背中ぐらい塗ってもらえって。それとも…。胸が小さすぎて、稜の前で水着姿なるのが恥ずかしいんだろ!?こんなクソ暑い島に来てんのに、いまだに上着着たまんまだもんなお前w」


ピクッ


 いつもの火鈴セクハラ発言を聞いて怒り出すかと思った金恵だが。当の本人は珍しく火鈴に怒る素振りは見せず、黙ったまま自分の着ているパーカーのファスナーに手をかける。


「誰が恥ずかしがってるですって!?上等じゃない。日焼け止めぐらい体の何処だろうと、好きに塗らせてあげるわよ。」


金恵は着ていたパーカーを豪快に脱ぎ捨てると、胸元に大きなフリルがついた水着を外し、美月と火鈴の間に川の字になるようにうつ伏せに寝そべった。


「本当にやるの金恵?」


「私に二言はないわ。とっととやって頂戴!」


 火鈴から受けた煽り乗ってしまったせいで引っ込みがつかなくなり少し暴走気味の金恵は、水着を脱いで上半身裸の状態になったことを今更自覚したのか、顔は見えないがこちらの角度からかろうじて見える金恵の耳が真っ赤に染まっていた。

 俺は少しでも早く終わらして、水着を着させてやろうと急いで日焼け止めを金恵の背中に塗りたくってゆく。


「あっ///、ちょっ///待って…。これ…ヤバい…。」


さっきの二人同様金恵も俺のおぼつかない手が背中に触れるのがこそばゆいのか、さっきから俺の手が動くたびに女性特有の高い声を上げ続けた。

※日焼け止め塗ってるだけです。

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