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81.不穏な呼び出し

「はぁ!?理事長が俺のこと呼んでるですって?」


唐突に告げられたこの学園のトップからの呼び出し宣告に俺だけでなく、一緒にいた四人もとてつもなく驚いた。


「そうなんですよ〜。朝の職員室でのミーティング後にいきなり校長先生から言われたのを響八君に伝えるのをすっかり忘れてまして〜。」


本当にこんな大事なことを人に伝えるのをよく毎回忘れられるものである。


「ってか、なんで俺が理事長に呼ばれるんですか?俺、理事長に呼ばれるようなことした覚えないですけど?」


「私もただ校長が理事長室に響八君を寄越すように理事長から言われただけらしくて、詳しいことは何も聞いてないないんです。」


「なんですかそれ…。」


この学園のトップからの突然の呼び出し?しかも呼ばれた理由が不明って、そんなの怖すぎるでしょ。


「これって行かないって言う選択肢はない感じですかね?」


「だっ、ダメですよ!もし正当な理由もなしに理事長の呼び出しをすっぽかしたりなんてしたら、響八君だけじゃなく、対抗戦のお陰でD組についてこれた私まで何かしらの罰を受けるかもしれないじゃないですかー!ただでさえ今の理事長になって体制が変わってから激務続きなのに、その上理事長に目をつけられるようなことになったらと思うと…。」


途中俺より自分のことを心配しているようにも聞こえてならなかったが、あの自由奔放で能天気な性格の先生をここまで怯えさせる理事長って、どんだけ恐ろしいんだ…。

 益々会いたくなくなった。


「こればっかりは仕方ないな。稜、郷に入っては郷に従えと言うことわざもある。ここは素直に理事長の呼び出しを受けた方が一番無難なのではないか?」


「男らしく堂々と行ってこいよ。なんも悪いことしてねぇんだから。」


「そうっすよヒービー。俺たちのことは気にしなくていいですから、気兼ねなく理事長の呼び出しに応じてください。」


「みんななんだか妙に俺を早く理事長のとこに行かせようとしてない?まさか…、この暑さの中これ以上ぐだぐだやってる俺に付き合うのがしんどくなって早く涼めるところ行きたいから、早く理事長のところ行かせようとしてるんじゃないよね?」


「「「・・・・・・。」」」


みんなワザと俺と目を合わせようとせず、全然関係ない方を見つめていた。


「やっぱりそうじゃん!俺がこんなに行きたくなくて悩んでるって言うのに、みんなはこんな俺をほっといて何処か涼しくて快適な場所でくつろごうとしてるんだぁ。この薄情もの〜。」


「お願いしますよ響八君!!素直に理事長の呼び出しに応じてください、この通りです。一緒に一夜を過ごした中じゃないですか!?」


「どさくさに紛れて誤解を生むようなこと言わないでくださいよ!あれはウチに来て酔い潰れた先生が俺の寝室に入って来て、勝手に眠ってただけでしょうが!」


しかも二日酔いのせいで朝気持ち悪いとか言った瞬間、俺の布団に盛大に吐きまくったこと今でも怒ってるんですからね!?


 腰に纏わりついて来て半泣きで懇願してくる先生とのやりとりを見て、何事だと気づかぬうちに生徒たちが周りに集まってくる。その様子を見て、燕達は私たちは関係ありませんと言わんばかりに静かに俺と先生から離れ始めていた。


「あっ、ちょっとみんな!」


「すまん、稜。もうこの暑さ限界だから俺たちは先行ってるわ。」


去っていくみんなはまるで俺の武運を祈っているかのように、天高く親指を突き上げながら廊下を歩いてゆく。


「他人事だと思いやがってよ〜。酷いよみんな〜…。」


「大丈夫…?」


みんなに裏切られたように感じその場にへたり込む俺に、まだ側に一人だけ残ってくれていた侑が心配して声をかけてくれた。


「そんなに一人で行きたくないなら、私も一緒に…。」


そう優しい言葉をかけてくれてありがたい限りだが。侑の顔をよく見ると、緊張して血色が悪くなってる俺なんかよりも何故か苦しげな表情をしており、様子がおかしかった。


 理事長に呼ばれてるって聞いた時も驚いた後みんなと違って黙ってたし、どうしちゃったんだ?

 まさか…、この暑さで熱中症になっちゃたのでは!?

 本当にそうだとしたら、こんな暑いところに長居せずに一刻も早くもっと涼しい場所に行ってもらわなければ…。

 俺がダダをこねたせいで、大切な仲間を熱中症にして命を危険に晒すわけにはいかない!


「だっ大丈夫だよ!よく考えてみれば会ったこともない人をそんなに怖がるのも馬鹿みたいな話だし、ちゃちゃっと話聞いてみんなと楽しい夏休みの計画を立てる為にすぐ戻ってくるから、侑はみんなと一緒に先に行ってて?」


「えっ、でも、私…。」


「その気遣いだけで十分だよ。本当に俺は大丈夫だから!さっ、輪國先生!早いとこ理事長のいるところまで案内してください!!」


今思い返すと、ただ心配しているようには見えなかった侑が見送る中。俺は未だに腰にしがみついてる輪國先生ごと移動するような形で、普段滅多に走らない廊下を全速力で駆けて行った。

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