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特別編 根津井広鬼という男

 広域指定暴力団、根津井組。その組をたった一代で築き上げた組長、根津井 玄龍の次男として根津井広鬼はこの世に性を受けた。

 組長の息子というだけで、周りの構成員は自分の言うことはなんでも聞き、街で出会う人々は全員彼を恐れた。

当の本人も、出会う人皆自分に畏怖し、自分の思い通りに人が動くこの状況に快感を感じていた。

しかし、順風満帆とも言えるこの状況にある日を境に変化が訪れる。

 根津井が興味本位で入った組の武器庫にあったギアを手に取り、発動させようとした時のことだ。

 手に取ったギアはいくら力を発動させようとしても、うんともすんとも言わなかった。


 たまたまだ。ただ、まだ幼い自分の纏うゼストが少ないからギア発動しないのだ。


彼はそう思った。


 翌日、歳の近い兄が昨日広鬼が入った武器庫に親父と入っていくのを見かけた。

広鬼はそっと二人の後をつけ、わずかに開いていた扉の隙間から、中を覗いた。

するとそこには、軽々と手に取ったギアを発動させる兄の姿があった。


後に広鬼は知った。自分はゼストを使えない、才能がない人間であると…。


 長い年月が経ち、中学生になった兄はメキメキとその頭角を表し。様々な抗争や取引などの場で、功績を上げていた。

一方広鬼は、どんどん実力が開いていく兄に負い目を感じていた。そんな最中、彼の耳に組の中である噂話を耳にする。


 広鬼は組長の正妻の産んだ子ではなく、愛人が産んだ子であると。

 その話を聞いた広鬼は、組長に直接話を聞きにいった。しかし、組長は彼の問いに一言も答えずただ…


「そんなことは、どうでもいいことだ。」


そう、親父は広鬼に言った。


 彼の中で何かが崩れる音がした。

親父は才能のない俺のことなんて、どうでもいいのか?正妻の産んだ子で、才能のある次期跡取りの兄貴の方が大切なのか…。


 彼の中に、親父と兄への言い表すことのできない感情が芽生え始める。


 認めさせてやる…。どんな手を使っても…。


 彼は組の情報網を使い、一人の男と接触する。

その男はフードを被り、全身をマントで覆ったいかにも怪しい人物だった。


「あんたが彫り師(マーカー)か?」


男は黙って頷く。


「要件は依頼した通りや、すぐに始めてくれ。やけど、本当に出来るんか?変にええ加減な仕事したらその場で殺すで?」


その後男に導かれ、その男の作業部屋と思われる場所で根津井はある施術を受ける。


「ほう…これが情報にあった刺青型(マーク)のギアかいな。」


部屋の照明に手をかざし、新たに手に入れた力自分の力を見て根津井は笑みを浮かべた。


その後、手に入れた能力で数多くの人間に能力を使い、向かったから敵を返り討ちにしてきた根津井。

これで親父は少しは自分のことを見直すだろうと思ったが、さして親父の態度は変わらなかった。


 それなら、お前の大切な長男(兄貴)を倒して、ワイの認めさせてやる。


男は高校生になり、兄が進学したAHDへと入学した。

全ては自分に興味を示さない親父への復讐のため。

そして、真の意味で誰もが恐れ、全てを支配下に置くような貫目のある男になるために。男は学園の門をくぐった。


 しかし、万全の準備を整え、下の者から着実に支配下に置こうとする根津井に、響八という壁が立ちはだかる。

 その壁に阻まれ、彼の記念すべき野望の第一歩は、対抗戦敗北という記憶と共に消え去った…。

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