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67.激化必死

「なんの目的があって上壁君が時間稼ぎしようとしてるかはこの際どうでもええわ。どうせこのまま時間が経ってワイの手下が全部倒されようが、能力で貸してたゼストが戻ってくる限り、ワイの一人でお前ら五人相手にして勝つなんてわけないからのぅ!」


 根津井は能力で回収したゼストを上乗せした分身体能力が上がり、先程よりも早い初速で動き出した。ゼスト量が増えたことにより、その分反比例して心に驕りが出ているのか、フェイントなどは挟まず真っ直ぐに櫂に近づいてゆく。


「余裕こきやがって!馬鹿正直に真っ直ぐ向かってくるなんて、殴ってくださいって言ってるようなもんだろうが!!!」


 櫂は根津井の動き出すのに合わせてすぐに構えを取ると、接近する根津井がパンチの射程に入るのにタイミングを合わせてジャブを放つ。


「おっと!さっきよりもスピード上がったのにまだ動きについてこれるんか?すごいなぁ。」


 仕留めるつもりで顔面に狙いをつけて放ったジャブは軽々と避けられる。

まだ互いに動きの速度に大した差はないがそれ故に、触れたら一発でゲームオーバーの根津井の左手を避けながら、その他のアイツの攻撃プラスそれに混ぜてくるフェイントを予測しながらすんでのところで躱すのは正直しんどい。


「ほれほれっ!まだまだ行くでぇっ!」


その後よりスピード感を増した攻防がしばらく続く。頭を使いながらいかに左手に触れられないかを考えて動き続けるが故、普通に動くよりも体力の消耗が早い。息は少しずつ切れてゆき、相手以外の注意も散漫になってくる。


 ガタッ。


「しまっ…」


戦いで至る所に散らばってる部屋の備品やその壊れた破片が飛び散っていてそれに意識が回らず、ソファに足が取られそのままの勢いで、ソファに腰掛けてしまう。


「油断大敵やで上壁ぇ。これでお前は終いや!」


「…くっ!」


目と鼻の先まで根津井の左手が迫る。

その後少しというところで部屋の外から誰かの声が聞こえてくる。


「兵藤流地式(ちしき)、"羽ばたき"!」


応接室前の廊下から放たれたであろう斬撃が壁を切り裂いて、内側へと侵入してくる。

床に垂直に切り進んでくるその斬撃は、櫂と根津井二人の本の少し空いた空間を分断するように通り過ぎだ。

斬撃を目視した根津井は櫂にタッチするのを中断し、バックステップでそれを回避した。


「なんや、今の?」


「チッ、余計なことしやがって…。」


櫂が今のが誰の仕業か気づいて少し不機嫌になる中、そうとも知らずその斬撃を飛ばした張本人はすぐに応接室の壁を四角く切り抜いて入ってくる。


「聞こえているぞ不良男!何やら危ないところを助けてやってのだ、感謝の一つでもしたらどうだ。」


「誰が危なかったって?勝手なこと言ってんじゃねぇよ。全然俺一人でも余裕だったわ。お前こそ、ここに来るまで結構時間かかったじゃねぇか。俺はてっきり敵の誰かにやられちまったのかと思ったぜ。」


「そんなわけないだろう、私の方も敵を倒すのに時間はさしてかかっておらんわ。ただ転送された位置がここから遠かったのと、他にすることがあったから少しだけ出遅れただけだ。」


「ちょっとお二人さん?あんまワイのこと無視してイチャイチャするの辞めてくれます?」


「「してねぇよ・してないわ!!」」


息ぴったりのタイミングで根津井の方を向き否定する二人は、その瞬間、根津井のゼスト量がさっきよりも増えたのを感じとる。


「あっ、バレた?二人が言い合ってる隙に、兵藤さんが倒したいうワイの手下からゼスト回収したんや。」


 さらに大きくなった根津井の纏うゼストに二人は先ほどより一層気を引き締める。


「すべきことはわかっているだろうな、不良男?」


「ったりめぇだろ。お前こそ、足引っ張んなよ。」


「さてと、一人ご新規さんが来たところで、ここからが第二ラウンドってところやな…。」


三人の間に緊張が走る。しばしの沈黙が場を包んだかに思えたが、戦いで傷ついてボロボロになった壁の一部が大きく欠けて、破片が床に落ちた音を合図に三人は一斉に動き出した。

いつもより短くてすみません

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