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63.食事(バトル)の時間だ。

〜響八サイド〜


「根津井さん? 根津井さんっ!?どうなってんだいったい…。」


櫂が根津井の居場所に単騎でいきなり攻め入ったことにより、急に根津井との連絡が途絶え、手下達は混乱していた。


「一瞬画面に上壁の野郎が映ってやがった…。何でかは知らねぇが、根津井さんの居場所が奴にバレたんだ。根津井さんが負けるとは到底思えねぇが、俺らも今直ぐ根津井さんとこ戻って加勢した方がいいんじゃねえか?」


「おいおい、何俺無視して帰ろうとしてんの?そんな寂しいことしてほしくないなぁ。」


見たところ、根津井は自分以外の戦力を均等に俺たちの元へ送り込んでいるようだ。

俺たちが集まってない序盤に複数の敵を仕向けて、数の戦力差で着実に倒していく作戦だったのだろうが。

裏を返せばこの状況はチャンスであり、俺たちの作戦(・・・・・・)にとっても都合がいい。


「フンッ、安心しな。せっかく見つけた獲物をノコノコ見逃してやるほど、こっちも馬鹿じゃねぇからよ。きっちりお前を始末してから根津井さんのところに加勢に行くとするぜ。」


サッサと戦闘を終わらそうと、敵達は武器を構えて戦闘体制を取る。


「よしっ、ちょっと思ったより早いけど、戦いの始まりだ。準備はいいか、木陽…」


「すぅ…すぅ…Zzz」


 信じられないことに、少し敵とあれやこれや話している間に、木陽は俺に抱き抱えられたまま眠りに落ちていた。


「おい木陽っ、なんか静かだと思ったら何こんな時に寝てんだよ。つか、よく眠れるなこんな状況で!」


「だって、なんか話が長いんだもん。」


「いやそんなに時間経ってないでしょ?」


「なんか〜、木陽的には2日ぐらい経ってる気がする〜。」


「何訳わからないこと言ってんだ。頼むから寝ぼけてないで、ちゃんと起きろ!」


 抱えていた木陽を降ろし、目を完全に覚まさせるために両肩を掴んで激しく揺する俺たち方へ、敵達は着実に接近していた。


「イチャイチャの次は漫才でも始めたか?余裕ぶっこきやがって。つくづくムカつく野郎だぜ。」


「違うわいっ!あぁもう、敵が直ぐそこまで来てるし…。早く起きろ木陽!!!」


「ふざけて余裕かましたまま、あの世に送ってやるぜ!」


 ついに敵達が俺たちを攻撃範囲内に捉え、三人とも武器を振り上げこちらに飛び掛かる。


「…ハッ! ごはん、ご飯の気配だっ!!」


急に何かを感じ取ったのか、木陽は眠そうな眼をカッと見開いた方思うと、いきなり能力を発動する。


「"踊る根っこ(グリーン・ウィップ)"!」


地面から突如、木陽の能力で操られた太い木の根っこが姿を表す。

その木の根はまるで生き物のようにうねうねと動いた後、急に動く速度を速め敵に巻き付いた。


「何だこりゃ!?うっ、動けねぇ。」


根津井の能力で強化された敵が巻き付いた根っこから強引に脱出しようと試みるも、それは叶わず、脱出できないと分かるや否や敵は戦意し大人しくなった。


「それじゃあ待ちに待ったごはん(・・・)、いっただっきま〜す♪」


「なっ、なんだこの感覚?力が…抜け…て…」


敵が急に違和感を訴え出したかと思うと、敵が纏っていた強いゼストがみるみる小さく少なくなってゆく。それと同時に木腹が出した根っこが光を帯びるとその光は流れるように木陽の体へと移動した。


「う〜ん、久々のご飯おっいし〜♪」


光が全部流れ終わると、木陽が纏っていたゼストがさっきよりも明らかに量が増していた。どうやら、さっきの根っこを出す技は巻き付いた相手のゼストを吸い取る技だったらしい。

さっきまで威勢の良かった敵達も、木陽にゼストを吸い尽くされた影響か、今はぐったりとうなだれている。


ドサッ。


 木の根っこは相手のゼストを吸い尽くして役目を終えると一瞬で姿を消し、巻きつかれていた敵達は地面に次々と落ちていく。


「ご馳走様〜。いや〜、餓死寸前だったから助かったよ〜。」


朝ごはん食べてまだそんなに経ってないというのに、よく言うものである。

 だが、木陽の言うご飯=ゼストだと言うのなら、このまま敵を見つけて食事(戦闘)をしてもらえれば、簡単に敵を制圧出来て作戦が楽に運びそうだ。


「木陽、まだお腹空いてる?」


「もっちろーん!まだまだお腹一割にも全然届いてないよ〜。」


「よかった。それじゃあ、これからみんなのところにいる敵(ご飯)狩りに行こうか?」


「うん行く行く!よ〜し、少し元気になったから木陽も走るぞ〜。」


「おいちょっと待って!走ったら、その…。スカートがめくれて見えちゃわない?色々と。」


張り切って自分で移動してくれるのはありがたいが、何処から中継されているかもわからないこの状況で誤って色々見えてしまっては放送事故もいいところだ。それだけは何としても阻止せねば。

 木陽本人は気にもしなさそうだが、能力を所持者であるこの俺が変な目で見られかねない。


「大丈夫だよ〜。さっきゼスト吸収したら下着も復活したから〜。」


「そうか…ならよかった。」


 木陽達姉妹はゼストのそのもので高エネルギー体のようなものだ。俺からゼストを受け取る、もしくは勝手に取って顕現する彼女達は服装も姿形も自由だ。

しかし、受け取るゼスト量によって使える能力も形取る姿形もある程度限られる。

 もっと優先すべきところはあるだろとツッコミたくはなるが、今回の対抗戦で的を多く倒すためにゼストを大量に吸収すべく、ゼストを極限まで持たないようにした結果の下着削減だったと言う訳だ。

 そう考えると、対抗戦に対して何かと木陽なりに準備して来てくれたかと思うと、ものすごくありがたい。さっきまでの奇行(わがまま)もギリギリ許せる。


 そう思っていた。


バサッ


「ほら〜、見てみて。ちゃんと両方とも着てるでしょ〜?」


木陽は俺にちゃんと下着をつけていることを伝える為、ワンピースを上の方まで急にたくしあげた。

俺の眼前には、白いワンピースと同じく汚れひとつない純白の下着セットが木陽によって突然疲労される。


「これで激しく動いても安心だね〜。」


前言撤回。やっぱり木陽(コイツ)、何も考えてない…。


「いいから…、さっさと、スカート下ろさんかーーーいっ!!!」


 まだ対抗戦は始まったばかりだか、木陽の相手をしてるだけでどっと疲れ感じる俺だった。

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