表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/92

54.そんなこんなで今日から一つ屋根の下

「はーい、お待たせしました。引越し蕎麦が茹であがりましたよ。」


美月が大皿に山のように盛られた蕎麦を部屋のちゃぶ台に運んでくる。


俺と姉妹たちも手伝い、越してきた全員分の引越し作業が終了した後、みんなが用意していた六部屋分×四人前の大量の蕎麦をみんなで昼食がわりに俺の部屋で食べることになった。


「いや〜、みんな一人暮らしってだけあって、荷物も少ないから思ったより早く荷解きが終わって良かったっすね。」


「ああ、稜のご家族も手伝ってくださったので、とても助かりました。」


「ほら美咲、兄ちゃんがそば取り分けてやるから器貸しな。」


「うん、ありがとうお兄ちゃん。」


「あっ、お兄ちゃん。そこにある七味取ってもらってもいいっすかw」


「誰がにいちゃんだコラ!次言ったら殺すぞハゲ!」


「ふふっ、なんだかみんなでこうやってご飯食べてると学校のお昼休みみたいでなんだか面白いね。」


瀬川さんがそう言って微笑みかけてくるので、俺はそうだねとあまり関心を持ってないことが丸わかりな返事をした。


あれっ?この状況が今もおかしいと思い続けてるのもしかして俺だけ?

だってありえないでしょ。

同じ日に同じクラスの四人が同じアパートに引っ越してきたんだよ。

他の人に言っても信じてもらえないレベルのありえない偶然だよこれ。


「みんな、あのさ…」


俺は持っていた箸を置き、何故そうもこの状況下でそこまで驚かず平然としていられるのか尋ねた。

そしたら四人とも顔を見合わせて、不思議そうな顔をした後四人ともこちらを向いてこう言った。


「「「「えっ?もしかして何も知らないの?」」」」


その言葉を聞いて、この状況を知らないのは俺だけだったとすぐにわかった。


みんなに詳しい話を聞いていくと、みんなは最初それぞれ俺の姉妹の一人一人に俺のアパートに越して来ないかと誘われていたという。

誘われた理由、誘いを受けた決め手は各々違うが。すぐ近くで常に特訓なり相談なりを受けれることだったり、櫂に至っては前に聞いたアパートの取り壊しが迫っていて、家賃が安くて住めるならどこでもいいという考えで誘いを受けたそうだ。


「ちょっと姉さん達!なんでそれならそうと、前もって教えてくれなかったのさ?」


すると姉妹達は両手をピースサインの形にして、ムカつくほど微笑んでいた。

水姫に至ってはサプライズ大成功と書かれたプラカードを堂々と掲げている始末だった。


これを受けて俺は黙っていられた怒りを通り越して、あまりの姉妹達の行動力に、逆に呆れ果ててしまった。


「はぁ…、もうなんだかいちいち姉さん達の突拍子もない行動に驚くのも疲れてきちゃったよ。もうこの際、みんながこの状況に不満を持ってないなら俺はそれでいいよ。」


「不満なんてとんでもないっすよ。俺たちここに引越してきてとても助かることだらけなんすから。」


「というと?」


聞けば、みんなの引越しにかかる費用と家賃は全部金恵持ちということが判明し、さらに俺を驚かせた。


「実は大分前からなんだけど、このアパート丸々私が前のオーナーから買い取ったのよ。だから、稜の仲間達限定で、ここの家賃はタダよ。

まぁ、合宿とかしたりする時に施設借りたり、誰かの家に行く時に交通費かかるって考えたらこっちの方が断然楽でしょ?」


時々金恵が使うお金はどこから出ているんだろうと不思議でたまらないのだが、今はそんなことよりも聞かなければならないことがある。


「それでさ、俺が姉さん達に一番聞きたいのは、みんなをこのアパートに引越しさせてまでして何をやろうとしてるかなんだけど。」


「なんだ、そんなことですか。」


「そりゃお前決まってるだろ。」


「そーだよ、稜ちん。」


「うんうん。」


「そうね。」


そう言った後、姉妹達は声を揃えて、


「「「「「特訓よ!」」」」」


と一言。

まぁ、そうだよね。わかってた。

水姫が言って計画はみんなを対抗戦に勝たせるための特訓をしやすくするために、みんなを一纏めにここに引っ越しさせることも含まれてたんだね。


わかりました。

もうぐだぐだ言ったりしません。

文句ばっかり言ってたらこの物語は進みませんからね。


***


「ごちそうさまでした。」


あんなにあった蕎麦をあっという間にみんなで平らげ、俺たちは本題の対抗戦の特訓内容に関する話し合いを始めた。

説明してくれるのは、姉妹随一の真面目人の金恵だ。


「あんた達も実際見たように、今回の戦いにおいて1番の脅威になるのは間違いなくあの根津井よ。」


ファミレスで櫂を瞬殺した根津井の強さと能力のヤバさはみんな周知の事実だ。

それがわかっているからか、根津井の名前が出た瞬間、みんなの顔がより一層真剣さを増した。


「ざっと根津井について説明すると、あいつの家は指定暴力団根津井組組長の次男坊で、幼少から能力を使い方を仕込まれて、実力主義の世界で生きてきた男よ。

これからあんた達がやる能力理解とゼスト操作技術はおそらくあっちの方が上でしょうね。」


指定暴力団やら技術面では負けてるやら、俺たちに対しては負の情報だらけで今度はみんなの表情が明らかに曇りだした。


「そんな心配そうにすんじゃないわよ。私たちの特訓について来れれば、根津井の実力なんて目じゃないくらい強くしてあげるわよ。」


そう豪語する金恵にみんなの表情は少し緊張が和らいだように見える。


「あんた達が私の色々な話を聞いてその度にコロコロ表情変えるから面白いんだけど、遊んでばかりもいられないから本題いくわね。」


金恵の雰囲気が変わり、いよいよ特訓に関する最初の指示が下されようとしていた。


「まずあんた達が対抗戦のために最初にやらなくちゃいけないことは…。」


「やらなくちゃいけないことは…?」


みんな金恵の口からどんな厳しい特訓が言い渡されるのかと、金恵の方をじっと見つめる。

そして、とうとう金恵の口から言い渡された最初の指示は…。


「勉強よ。」


「べっ、勉強?」


「普通の勉強ですか?ギアの扱い方とか、ゼストの扱い方とかではなく普通の?」


「そうよ。こういうのはまず、やらなくちゃいけないことを段階的にクリアしてかなきゃいけないの。

だから、最初は対抗戦に確実に参加できるようにみんなで赤点を回避できる学力をつけなさい。」


どんな無茶苦茶な特訓させられるのかとヒヤヒヤしたが、言い渡された指示は至極普通のものでなんだか拍子抜けしてしまった。


「あんた達、まさかたかが勉強なんて思ってないでしょうね?」


ギクッ!


「そんな気持ちでどうするの?腕っぷしだけで生きていけるほど世の中そんなに甘くないわよ。

それに、勉強にも本気(マジ)になれない奴が特訓にも本当の意味で真剣に取り組めると思うなよ!

わかったらとっとと勉強しなさい!!!」


「「「「「サー、イエッサー。」」」」」


お説教モードに入った金恵の凄みにあてられて、俺たちはすぐさま勉強にとりかかった。


こうして、俺たちの対抗戦に向けての共同生活特訓は幕を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ