48.はっ?今なんて?
新編突入!!
「ねぇ、あの人たちでしょ?」
「そうそう、あれが噂になってる5人組。」
任務から帰ってきてから今日までの数日間。
任務先のアクシデントで本来C〜D相当に当たる任務を見事クリアした5人組として、俺たちは少しだけ学校で注目を集めるようになっていた。
「いやー、本来日陰ものの自分が一気にクラスの注目を集めるような存在になるとは思わなかったっすよ。」
危険度が高い任務をこなして無事に帰ってきたものに向けられる羨望の眼差しに、タツはすっかり上機嫌になり、わかりやすいほど調子に乗っていた。
「本当に驚きだぜ。鉱獣をぶっ倒しまくった俺や武士女、親玉であるあのデカ熊を倒した稜はともかくとして。思い出す限りほぼ逃げ回ってた記憶しか無ぇお前が注目されるなんてなぁ。」
「また〜、カカっさんはすぐそうやって意地悪ばかり言う〜。いいじゃないっすか、理由や真実がどうあれこう言うふうに周りからちやほやされるなんて生きてるうちに一度あるかないかっすよ。それなら今この状況を楽しまなきゃ損じゃないっすか。」
「でも、私もそこまであの任務で役に立ててたとは思えないのに、登校時や学校の中にいるだけで注目されるのはなんだか恥ずかしいな。」
「何を言っているのだ侑。あの任務での戦いは、ここにいる5人の誰か一人でも欠けていたら成し得ぬほどの戦いだったのだ。侑も充分私たちの支えとなっていた。だからそんな縮こまらずに、どーんと胸を張って堂々としていればいいのだ。」
「うん、そうだね。ありがとう、燕ちゃん。」
「うむ。」
出会ってからますます仲良くなっている二人時に支え合い、しっかりと互いを認め合ってるといった様子だった。
櫂とタツも見た目からして正反対といった感じなのだが、任務で共に死線をくぐってからというもの。
互いの印象が変わったり、実力を認めたりなど、それなりにいい交友関係を気づけているようだ。
「それで、今回の任務で一番の大物を仕留めたMVPであらせられますヒービー様は、今回のこの状況をどう思うっすか?」
タツがおれに質問するのと同時に、俺の答えを聞くために全員が俺の方を向くと、俺の顔を見た途端全員が固まった。
「う"っ…う"ぅ"…。」
「ひっ、ヒービーっ!?なんで泣いてるんすか!?」
「だってよ…。今まで俺…、姉さん達のせいで浮気野郎とか、女たらしとか、散々誤解されて酷い噂ばかり流れてたから…。こんなふうにすごい奴みたいに噂されるのがなんだかすごく嬉しくて…。」
変なことで涙ぐんでいる俺を見て、他の四人はどんな言葉をかけていいか思い悩んでいた。
「そっ、そういえば、もうすぐ中間試験だね。みんな勉強してる?」
変な空気感を変えようと、瀬川さんが気を遣って話題を変えた。
「そうなんだ、全然知らなかった。高校に入って初めてのテストだから、少しは勉強しとかないとまずいかな?」
「そうだな。まぁ、日頃の授業を真面目に受け、個人の予習復習をしっかりとしていれば、そこまで心配することはないだろう。」
「私もできることはやってるけど、響八君と同じように高校に入って初めてのテストはやっぱり不安に感じるよね。」
世間一般的な高校の初テストに対しての考えを言い合う3人をよそに。
「けっ。ただの学力を測るテストなんて、この腕っぷしが全ての学園にとっちゃ大したもんじゃねぇだろ。」
「そうっすよ。それに今回のテストでいい点取れなくたって、こないだの任務で手に入れた大量の鉱石で充分ポイントを手に入れられましたし。
あとはテストの後にあるクラス対抗戦にさえ出られれば、なんも文句ないっすよ。」
テストはどうでもいいと言わんばかりの態度を見せる櫂&タツペア。
その考え方が二人の近い将来、何かしらの困難を産まないと良いのだが。
そんなことを考えていると、高校生にとっての朝一番の社交の時間とも言えるホームルーム前のひと時の終わりを告げる鐘が鳴り響いた。
「皆さーん、おはようございまーす。今日も今日とて輪國先生ですよ〜。
さてと、いつものように朝のホームルームに先生との楽しいトークタイム開催と行きたいところですが、今週は忙しいので、ちゃちゃっとお知らせだけしちゃいますね。」
いつも長ったらしく先生の身の回りで起きたことや愚痴などをホームルーム終了ギリギリまで話していたので、今回のように教師としての仕事をちゃんとする輪國先生は非常に珍しい。
「今日からテスト1週間前となりますので、部活動はその間お休みとなります。
みなさん初めてのテストですよね。
不安なことがあったら先生相談に乗りますので、遠慮せず職員室まで来てくださいね。」
いつになく真面目な先生のようなことを言うので、どうしてしまったんだろうと逆に不安になる。
テスト問題を作ったりする手間がいつもよりかかるからか、疲れが溜まってふざける余裕がないのだろうか?
テストの関係の連絡の後、他の細かい連絡を挟み、ホームルームは終了時刻間際となる。
「それじゃあ今日最後の連絡です。
テストの後に行われる予定のクラス対抗戦ですが…、我がG組からは、響八君、瀬川さん。それから、兵藤さん、上壁君、伊月君の5名が代表として参加することになりました。みなさん拍手〜。」
「「「「「・・・・・・はっ?」」」」」」
クラスのみんなが拍手をする中で、俺たち5人はいまだに状況が飲み込めず、完全に呆気に取られたままの状態でその日のホームルームは終わりを迎えた。
五月病なのか、昼夜の寒暖差が激しいからか、だるくて頭回りませんわ。
これでこの後梅雨に入ってくのかと思うと、気分撃沈コースまっしぐらっすわ。




