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37.ある日、森の中

「はーい、みんなお疲れ様でした。やっと目的地に到着でーす!」


出発地点からバスで南下すること二時間半。

任務の目的地である山に囲まれたとある小さな村に無事到着した。

すっかりガイド気分の水姫に案内されながら、とりあえずバスから降りて近くにみんなで集まる。


「みんなバスから降りたところで、今回の任務についてタツチンから詳しい説明があります。じゃあタツチンよろしく〜。」


「わかったっす!えー、今回の任務はこの山奥の小さな村周辺で取れる鉱石の採取です。一番ランクが下のEランク相当の任務で危険と難易度は低い任務となりますが、気を引き締めてしっかりと皆さんで任務を遂行しましょう!」


改めて任務内容をみんなの前で説明するタツは、喋り方からみても語尾普通に戻ったりと、いささか緊張しているように見えた。

部に昇格する手続きをした時、部長をどうするかと話し合って元のギア研究会を作ったという理由で部長を任されたタツは、その初仕事をしっかりとしようと余計に緊張しているのかもしれない。


「おう、お前ら。しっかりと任務遂行してこいよ。私らはお前達の任務が終わるまで適当にそこらへんぶらついてっから!」


そう火鈴が言い終わると、水姫以外の姉妹達はどこかそれぞれ違う方向へ歩いていってしまった。

半ば無理矢理ついてきたと思ったら現地に着いた瞬間に別行動始めるとか自由すぎるだろ。


「じゃあギア研究部のメンバーは、初めにこの村の人たちに挨拶しに行くっす。」


俺たちは一生懸命先導しようとするタツの後について、村の村長の住む家まで挨拶しに行った。


***


「それじゃあ村長に挨拶も済んだことですし、早速鉱石採集を始めましょうか。」


「なぁ、ただ鉱石集めるだけじゃつまらねぇからよ。ここは何手かに分かれて、どっちが多く鉱石を集められるか勝負しねぇか?」


「上壁!貴様はそうやって大切な任務を使って遊ぼうと言うのか?なんという奴だ、けしからん。」


「なんだ武士女?お前そんなこと言って、ビリになるのが怖ぇーんじゃねぇのか?」


「なっ何を言うか!?この兵藤燕、いつ、いかなる勝負でも全力で臨むと心に決めている。その覚悟がある私に臆する勝負などありはしない!いいだろう!その勝負受けてやろう!」


「ふんっ、負けた時に吠え面かくなよ!?」


「吐かせっ!」


そう言うと、二人は走って森の中へ行ってしまった。


「大丈夫っすかね?村の人たちの話だと、最近この周辺に鉱獣がよく目撃されてるみたいなんすよね。

村の人たちも少なからず被害に遭ってるみたいですし、お二人が心配っす。」


確かに、挨拶をしに行った時に村の中を見て回ったら、怪我をしてる人をよく見かけた。

あれが鉱獣によるものなら二人だけで森の中に行かせたのは不味かったかもしれない。


「大丈夫だと思うよ。美月姉と火鈴姉に聞いた実力が本当なら下級の鉱獣がいくら出てもあの二人なら余裕だよ。そんなことより、私たちも早く鉱石探しに行こうよ。」


「水姫がそう言うなら、まぁ、大丈夫なのかな?じゃあ俺たちはどうする?」


「私は一人で探すのはちょっと怖いかも。よかったらみんなで一緒に探しに行かない?」


「自分はそっちの方が嬉しいっす。もし鉱獣と一人の時に遭遇したらたまったもんじゃないんで。」


「それじゃあこっちは四人で一緒に行こうか。」


俺たち四人は纏まって鉱石を探しに行くことに決まった。

少し森に入る準備をした後に俺たちは慎重に森の中へと入り始めた。


「ところで、今回集まる鉱石ってこの周辺でしか採れない珍しいものなの?」


「いや、今回採取するのは自分たちが住んでる地域でも比較的見つかりやすい下のランクのE〜Fランクの鉱石がメインですね。この村まで来たのは、ただ自分たちが住んでるところよりも鉱石が少しだけ見つかりやすいからだそうっす。」


「えっ!それでこんな遠くまで来たの!?」


てっきりここの地域でしか採れない特殊な鉱石があるのかと思っていた。

遠出の任務はその日の授業が免除されるため、担任に届けを出すのだが。

その時先生が、お土産期待してますからね、なんて言っていたからナメてんのかこの先生はなんて思ったのだが、これだけ一番下のランクの任務が緩いものだと知っていたからこその発言なのだと今気づいた。

まぁ、見たところ何もない普通の小さな村なのだから買って帰るようなお土産もないんだけどね。


「まぁ、自分たちが卒業したらこういった自然の中で犯罪者や鉱獣達と殺り合うことになるんですから、今のうちに優しい任務で慣れとけってことなんじゃないっすか?知りませんけど。」


俺の後ろを歩くタツは、背中に大きなリュックを背負いながら、凸凹した道を懸命についてきていた。


「そういえばタツ。さっきから気になってたんだけど、そのバカデカいリュック何が入ってるの?」


流石に気になるので聞いてみる。


「このリュックの中身っすか?色んなものが入ってますけど、大半は部室から持ってきた発明品ですね。今回の任務は危険は少ないっすけど、この山にも鉱獣やクマだって出るって言われてますから、用心に越したことはないかなって。」


「私はできればどっちにも会いたくないかな…。

でも、本当に出てきちゃったら怖いよね。」


「大丈夫っすよ。こうやっておしゃべりしながら歩いてれば、クマは寄ってきませんし。それにここら辺に出る鉱獣はそこまで危険じゃないらしいので。」


「なら大丈夫なのかな?」


二人とも…、そう言う会話をした後は大抵クマや鉱獣とエンカウントするフラグが建ってしまうものだということを知らないのだろうか?

いや、これは漫画じゃないんだからそんな物語みたいな展開はないかな。

と、そう思っていた。


ガサガサッ!!!


突如茂みが音をたてて激しく揺れた。

ほらやっぱり、こうなるんだ。

何が出てくるかわからない茂みを警戒しながら、四人は戦闘体制をとった。

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