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25.参上!

見つけた!

連れて行かれた上壁は体育館裏の広場で、多人数に囲まれていた。

ざっと数えても、20人前後はいる。

その光景はまるで不良映画によくあるワンシーンのようだ。

急に出ていくのも何なので、少し物陰から様子を伺う。


「おめーか?F組の奴らボコったって言う上壁ってヤローは?」


囲みの中から一歩前に出たリーダーとおぼしき生徒が上壁に話しかける。


「そう言うお前は、大勢じゃないと喧嘩も売れねぇ腰抜けの親玉ってところか?」


「親玉か…。まぁそんなところだ。」


会話を聞いて、集団が不敵に笑い始める。


「ここにいるのはある計画で集まったE組とお前が襲撃した時に運良くいなかったF組の残りを合わせた総勢25名。

こんだけいりゃ、いかにお前が化け物じみた強さしてても流石にヤベェだろ?」


G組襲撃計画(仮)はE組とF組が手を組んで行われたことがったのか。

どおりでここ数日でG組の生徒がごっそり減ったり、今いる敵の人数が馬鹿みたいに大勢なわけだ。


「しかし、お前もつくづく馬鹿な奴だな。

入学したばっかで、しかも昨日初登校したばかりなのに同じクラスの奴のためにここまでやるなんてよ。」


やはり俺が思ったとおり、上壁は俺たちG組のために…。


「クラスのやつのため?お前、なんか勘違いしてねーか?

俺があいつらボコってたのは、弱い奴いじめていきがってたのになんか腹が立ったからで。

F組に行ったのは、どうせこれから襲ってくるのがわかってるなら手っ取り早く元を叩いたほうが効率的だと思っただけだ。」


強者だからこそのとんでも理論ととんでもムーブ。

俺的には、G組を素直に助けたことを悟られないための照れ隠しだと思いたい。


「あっそ、まぁなんでもいいわ。どうせお前はここで終わりだし。」


あとは合図を待つだけと言わんばかりに、周りの生徒達はさらに殺気立つ。


「御託はいい、サッさとかかって来い。」


上壁はそう言うと前髪を上げ、ファイティングポーズを取る。


「…()れ。」


リーダー格の生徒が合図すると、周りを取り囲んでいた生徒達が各々叫び声を上げながら四方八方から襲いかかった。

生徒達の手にはバッドや鉄パイプ、能力で出した剣などの様々な武器を装備している。

明らかに上壁に勝ち目はない。


「今すぐ助けに行かないと!」


「稜、ちょっと待て。」


「火鈴姉さん!?なんで止めるの!?早く助けに行かないと!」


「まぁ少し落ち着けって。ほら、よく見てみろ。」


火鈴の指差した方を見ると、襲いかかって行った生徒が逆方向へとぶっ飛んでった。


「何あれ?人ってどうしたらあんなにぶっ飛ぶの?」


「あれはおそらくあのにいちゃんの能力だ。ほら、あの腕につけたアームレットが多分そうだな。」


戦う前に上着を脱ぎ捨てて顕になった上壁の右腕に、銀色のアクセサリーが光を浴びているのが見える。


「"戦威(バトルアッパー)"って呼ばれてる身体能力強化のギアの一種だ。あれを使ってゼストをパワーに変えてるからあんな芸当ができるんだよ。」


確かに、相手の攻撃を交わしつつ、人数差などお構いなしと言わんばかりに一人、また一人と相手を得意のボクシングで倒していく。


「ねぇ、火鈴姉さん。これ、俺の助け要らなくない?」


「いや、そうとも言い切れないぞ。ほら。」


集団の少し外から様子を伺っているリーダーが、また合図を出す。


「砲撃始め!」


すると、中心でやり合う連中から距離を取っていた生徒が、一斉に火の玉やエネルギー弾と言った類の攻撃を放った。


「くっ!」


放たれた攻撃はなんと味方を巻き込みながら、ついに上壁を捉え始める。


「あいつ、味方ごと!」


「胸糞悪りぃ戦い方すんなぁ。あれだといかに防御力も上がってるっていっても、最終的にはやられちまうぜ。」


火鈴の言った通り、砲撃を受け続けて動きが鈍った隙に、今度は打撃も当たるようになってきた。

流石の上壁もさっきまでとは違って表情が険しくなっている。


「火鈴姉さん、俺たちも行こう。じゃないと…」


「おう、そーだな。いっちょアタシも美月姉見たく派手に暴れるとすっか!!!」



***



「ちくしょう、あの野郎…」


集団の外からこちら側の様子を見て笑みを浮かべるリーダーを睨みつつ、周囲にも視線を配る。


戦いずらいったらありゃしねぇ。

群がってくる武器持ちの連中に加えて、予測もあったもんじゃねぇ広範囲の無差別の弾幕。

このままじゃジリ貧だ。


攻撃が当たり始め、徐々にダメージのせいで体がいうことをきかなくなっていく。

その刹那、過去の記憶が脳裏によぎる。

拒絶され、信じてもらえず、一人になった。

そして今度はこちらが相手に対して同じことをするようになった。


拒絶されるなら最初から誰も頼らねぇ。

信じてもらえねぇのなら誰も信じねぇ。

これからは一人でなんだってやってやる。

そう思っていた。


だが実際はどうだ?


現に一人でした行動のせいで窮地に陥っている。

笑える話だろう?

結局俺一人の力なんてこんなもんだ。


前方に今までよりも大きな砲撃が迫る。


「これで終わりだっ!」


「済まねえ…、美咲…。」


直撃する…その瞬間だった。


「ちょーっとまったあぁぁぁー!!!」


どこからか放たれた大きな火炎が、上壁に向かっていた砲弾を掻き消した。


「なん…だ…。」


場は突如起こった謎の攻撃に対して膠着する。


「誰だ!どいつがやった!!!」


「こっちだ!クソ野郎ども!!!」


声のする方向を皆が一斉に見る。そこには全身に炎を纏った男が一人。


「あいつ…。」


男はゆっくりと集団の方へと歩く。


「誰だテメェは!?」


リーダーの男がそう尋ねる。


「俺は1年G組響八 稜!! そこにいる、上壁 櫂の友達(ダチ)だぁーーー!!!」


俺は集団へと突っ込んだ。

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