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ヒステリー・パニック!  作者: シュガームーン
11/17

護衛の仕事には危機感を持て 陸

 連続投稿です。


またしばらく更新が止まるかもしれません。


その際は察して下さい……。

(続きが……。)


 またもう一カ所に、1人の女と2人の男がいる戦場エリアがあった。直哉達と少し離れている所だ。


 その3人の内の1人、金髪の男が喋り出した。


「やあやあ…これは美しい姫君だ。


 どうだい? 今夜、食事にでも」


「…………」


 女は無言のまま、右手を右耳に覆うように当てた。

 そして、


「貴方は今すぐ警察に連絡して」

「お前喋れたのか!?」


 見た目に伴う、凛としていて、幼さの残る声に、護衛の男はギョッとした。

 逆に金髪の男は嬉しそうだ。


「可愛い声なのにいつも出してないの? 勿体ないなぁ。………あ、もしかして僕の為に声を聞かせてくれたの? ありがとう、とても嬉しいよ」


 そう言って笑っている男に小野は


「(自己中心的……)」


 目の前の男に自分にとっての最低評価を与えていた。


「………!」


 その場に銃弾がばらまかれた。

 感づいた小野はそれよりも速く、男を掴み、横へと跳んで逃げる。改めてその男を見るも、手には銃はおろか、何も持っていなかった(・・・・・・・・・・)。地面を転がり、素早く体制を整えて、懐から銃を取り出して金髪の男に銃口を向け、


「!」


 引き金を引いた。パシュッと小さく軽い音がする。男はそれを見て違和感を覚えた。確かに彼女は引き金を引いた、それなのに、


「(弾が出ない(・・・・・)……?)」


 男は一瞬動きを止めたが、すぐにそれの正体に気付き、体を傾け避ける。チリッと髪に掠って、キンッ、キンッ、と壁に当たって地に落ちた。


「危ない危ない」


 チラリと男は後方へ目を向ける。目視しにくく、当たっても気付きにくいそれは、針。


「小さく細く、見にくい上に……何か毒でも塗ってあるのかな?」

「…………」


 彼女は敵の質問を無視して、後ろの男へと目を移した。早く連絡を、そう目で催促するが、護衛の男は何故か通報しようとせず、じりじりと後ろへ。そして背を向け、近くの扉から出て行ってしまった。


「…………」

「か弱い姫君を置いて逃げるとはねぇ。男の風上にも置けない奴だ」


 やれやれ、というように男は首を横に緩く振った。その後、男が右手の平を上にすると、そこに刀が現れた。


「僕の名は伊奈いな忠治ただはる。反乱軍の新たなる幹部となる、エリート様さ。

 よろしくね、護衛を司る姫君よ」


 顔を僅かに険しくさせる小野。伊奈は彼女をねっとりとした目で、全身をなめるようにして見た。

 2人の目が一瞬交わり、まず動いたのは小野。

 横へと駆けた。一瞬前に居た位置に銃弾がばらまかれていた。今度はすぐには止まずに小野を追う。彼女は近くにあった机を倒して盾にした。そこに勿論集中する銃弾だが、机が厚いためか中々壊れない。

 彼女はその隙に伊奈に向かって何かを投げつけた。伊奈は爆弾かと警戒して後ろへと飛び退く。


 直後、その何かは白い煙を出すように爆発した。


「煙幕……(いや毒か!?)」


 煙に包まれる前に息を止め、自由な左手を大きく振るって1回転。風が巻き起こり、煙は一瞬で払われた。晴れるとすぐに辺りを見回すが、小野の姿は見当たらない。


「どこに……」


 背後からの気配、感じると同時に右手の刀を後ろへと振り抜き、見た。

 そこには白銀の剣を振るう小野の姿。


 キィイイン!!


 鳴り響く金属音。小野の持つ剣は重量があるのか、伊奈が押し負ける。体制が悪かった事も影響しているだろう。

 よろけている伊奈に、小野はスタンガンを振るう。しかし、それは空回りした。


 突然伊奈の姿が消えたからだ。


「…………」


 辺りを見渡す小野の前に再び伊奈が現れた。彼女の油断でも、伊奈が気配を消して現れた訳でもない。存在が一瞬にして現れたような、そんな感じだ。


「……驚かないんだね?」

「…………………別に」


 ニタニタと笑う伊奈の問いかけに小野は素っ気なく返す。その様子を見て、伊奈がニイ、と笑った。


「クールなコも良いね。そんな君に種明かしをしてあげようかな? 僕の異能は……」

「貴方の異能は『浅草御蔵あさくさおくら』」

「!」


 能力を説明しようとした伊奈より先に、小野が答えた。


「貴方の作り出した亜空間に許容内のモノなら何でも入れる事が出来る、収納系の能力」


 それを見て伊奈は目を見開いた。今から言おうとしていたことを全てそのまま言われたからだ。


────小野おのの小町こまち

異能力『こころはな


 自身を中心に円状に範囲内の生物の心の中を見たり、心の声を聞いたりすることが出来る能力。


 今まで彼の攻撃から避け続けていたのは、相手の心を先読みしていたからだ。相手の行動が手に取るように、小野には分かっていた。


 伊奈は少しの間、ぽかんとしていたが、徐々にその顔が狂気に歪み、口角を吊り上げた。


「凄い、凄いじゃないか! 凄い! 素晴らしい! 最高だ! ああ! 君はどれだけステキな女性ナンだろう!!」


 そう言って笑い出した。高く、高く。


 同時に気味の悪い闘志、小野は無表情な顔を少しだけ歪ませた。


「そう! 僕の能力は『浅草御蔵あさくさおくら』!! 君の言う通り、作り出した亜空間に許容内のモノを何でも入れる事が出来る能力だ!」


 更に彼は、先程の煙を晴らした風、持っている刀、自分自身でさえ収納出来ると言う。


「(今までの銃弾……、亜空間に向かって撃って、速度を保ったまま弾を貯めた……ってことかな)」


 彼の話を聞き、更に彼の心の中にあるイメージを見て、能力を分析。小野は冷静に勝てる策を立てていく。


 伊奈の心が狂気に満たされる。

──いいなぁ、ホシイナァ

──ぐちゃぐちゃに、ばらばらになるまで

──壊して、アソビタイ


 それと同時に見えてくる、彼の心の中の、コワレタ死体ワタシ


 見ているだけで吐き気がしてくるような、悲惨な自分自身の姿を彼の心の中で見てしまう、聞いてしまう……。

 それが彼女の異能の欠点でもあった。



 伊奈はユラリと動いた。


「さあ、ダンスを続けようじゃないか!!」



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