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勇者増殖  作者: T村
この先未改稿
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22/52

増殖10体目「インファイトガンナー」その2


「インファイトガンナー?」


 僕がそう聞き返すと、カフカは「ああ」と頷いた。


「俺の前の世界での戦闘スタイルだ、確か漢字で書くと【近距離高火力型戦闘】とかだったな」

「漢字で書くと滅茶苦茶分かりやすいなそれ」


 どこぞの機動戦士とは大違いだ。


「あら、銃は遠距離で使わないの?」

「え、お前銃が何かわかるの?」

「失礼ね、実際に見たことは無いけど、そういう武器があることくらいは知ってるわよ」

「えー……」


 なんだよ銃あるのかよ、この世界凄いファンタジー臭がするのに。


「言いたいことはわかるけど、史実だとこの世界は危機に陥るたびに他の世界から勇者連れてきてたらしいし、そうでなくともしょっちゅう異世界から人が飛んでくるし、その影響でしょうね」

「そ、そーなのかー」


 なんか嫌な事聞いちゃった気がするな。世界観を大事にしない奴は嫌いだ。

 と、カフカがぐいと僕の服の袖を引いた。


「むぅ……今は俺と話してたんじゃないのか……?」

「かっは……」


 そして僕は喀血した。


「ど、どうした⁉ 敵襲か⁉」

「敵襲というかフレンドリーファイアというか……悔いは無いが」


 拗ねたように上目づかいで袖を引かれることに、まさかこれほどまでの破壊力があろうとは。元プロボッチの現役チェリーボーイには刺激が強すぎたらしい。

 それを見て、キノメはふふんと笑った。


「全く、情けないわね」

「鼻血出てますよ」

「大丈夫気にしてないから」


 そこは気にしてほしいかな。つーか鼻血を垂れ流しながらカフカに触れるな穢れるだろうが。

 僕とキノメが見えない火花をバチバチと散らしていると、突如として耳をつんざく爆音が鳴り響いた。それに続くように熱風が押し寄せる。


「あっちは確か……」


 キノメが【千里眼】を発動し、火の手が上がる方角を睨んだ。


「転移門だ! 何かあったのかもしれないな……」


 僕は素早く【増殖】を発動し、『僕』を12人生み出す。この前のオーク戦でスキル熟練度が上がっていたから、増やせる人数が増えていたのだ。その分体力を持っていかれてしまったので、残りMPに気を配りつつ【初級治癒】を連続詠唱する。どうやら、熟練度が上がると回復量も上がるらしく、七回で体力は全快した。

 ………妙な視線を感じたので振り返ると、なぜかカフカが目を輝かせてこちらを見ていた。とてもかわいい。


「えっと、どうしたんだ?」

「かっこいい!」


 何が⁉ とか、何処が⁉ とか言いたいことはいろいろあったが、この笑顔の前ではそんな疑問は無意味でしたね。ええ。


「俺にもっ! 俺にも出来るようになるかな⁉ な⁉」

「うーん、それは難しいかな……」


 ああ、転移門とか正直どうでもよくなってきた。良いじゃないか別に世界とか。あのチート組がどうにかしてくれるって多分。だからこのかわいい生き物をつれて魔物の出ない湖のほとりにでも引っ越して静かに余生を―――


「んんっ!」

「はっ、僕は何を」


 いけない、どうやらあまりのかわいらしさに意識が異次元に飛んでいたようだ。

 目先の欲にとらわれて目的を見失うなんて、勇者失格だ。それに比べてキノメはすごいな。伊達にこの世界を生きているわけじゃ―――


「カフカちゃんと暮らすのは私よ!」

「一瞬でも感心した僕が馬鹿だったよ」


 というか、カフカ『ちゃん』って、どう見てもカフカは同年代だろ。

 僕はこいつがこの世界を生きている奴だということの意味をはき違えていた。この世界のやつはみんな頭おかしい。


「まあいい、とりあえずステータスを確認してから行こうか」


 僕はそうひとりごちてステータスウィンドウを開く。


『Masda Reita Orijin』


Lv:32

HP:1650/1650

MP:70/95

SP:45

攻撃:193

防御:146

魔攻:162

魔防:117

俊敏:120

幸運:53


獲得総経験値:21579

次のレベルまで:1021

所持スキル

【増殖/16】【融合/8】【交信/8】【索敵/10】【束縛/3】【回避/35】【リキャストスキル・絶対回避/4】【初級治癒/43】【リキャストスキル・中級治癒/7】【拳スキル・連掌/45】【拳スキル・筧飛車/17】【組手スキル・肩車/12】


 随分とレベルの上りが早い気もするが、多分オークの集落で相当な数倒したから経験値がいっぱいもらえたんだろう。あと見てなかったからか、SPが凄いことになってる。この機会に強そうな上位スキルを覚えておくか。


【拳スキル・羅刹】熟練度1 消費MP10

 視界にとらえる事すらあたわぬ閃撃。その無慈悲な一撃は相手の心と体をくだく。クリティカル80%。


【組手リキャストスキル・絶対拘束】熟練度1 消費MP20

 その名の通り、対象を絶対的に拘束する。拘束できる時間は熟練度とステータスによって変化、多人数でかけることによる効果重複あり。


【リキャストスキル・上級治癒】熟練度1 消費MP90

 対象一人のHPを全快させる。リキャスト時間は熟練度によって変化。


【精神統一】熟練度1 消費MP0

 戦闘行動中常に一定量MPを回復させ続けるパッシブスキル。MP回復量は熟練度によって変化。


 …………いくつかチートくさいのがあるが、気にしないでおこう。これで残りSPはちょうど10だ。今回はこのSP10を使って、スキルの強化と言うのをやってみようと思う。

 スキルの強化はその名の通り、熟練度ではなくスキル自体を強化することだ。

 聞けば、キノメの【アルテミスの矢筒】もこのスキル強化の賜物なのだとか。これは強化しない手は無いだろうというわけだ。勿論強化するのは【融合】。

 さて、どんなスキルが手に入るのか。


【統合】熟練度8 消費MP0


 おや、どうやら同じ系統のスキルとして扱うからか、熟練度は変わらないのか。まあこうでもないと派生スキルが習得出来ないことになるからな、しかたがない事だろう。

 そう思って、スキル説明に視線をずらした。


【統合】熟練度8 消費MP0

 【増殖】で生み出した増殖体を一斉にもとに戻せる。

 また、離れている増殖体も強制的に呼び戻し融合できる。

 数人単位での調節も可能。

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