Transitus
面会の機会は速やかに整えられ、ローワンは北部リュミエール領の聖堂に赴いていた。
到着すると、言葉を発せずに神官が誘導し、聖堂の奥へと通される。
簡素な面会室に、件の女性の姿と、傍らに枢機卿、そして、リュミエール公爵の姿もある。
ローワンに気付くと、枢機卿は緩やかな所作で礼を取った。齢六十程の優しげな雰囲気の紳士だった。
「お目にかかれて光栄です、ローワン殿下。私、北方管区枢機卿のエンリケと申します。
そして彼女が——」
エンリケが傍らで俯く女性に僅かに身体を向ける。名乗ろうとして、慌てて顔を上げたとき、その瞳が大きく開かれた。
「あ、君は……」
——名を、なんと言ったか。
村の診療所でセリウスの助手をしていた娘に違いなかった。
「おや、顔見知りですか?」
「……ええ。一度、この地を訪れた際に」
ローワンの言葉に、枢機卿は僅かに目を細めた。
「では殿下はすでに知っていた、と?」
「……いいえ、なので驚いてしまって」
ローワンの素直な反応に、枢機卿も苦笑した。
「その様ですね」
が、彼はその微笑みを崩さず、今度は別の角度から尋ねる。
「殿下は知らなかったでしょうが、あの方はどうでしょう?半年ほどこの地に滞在し、この娘と行動を共にしていたと聞いています。殿下もそれはご存知でしょう?」
「……何が仰りたいので?」
「教会の保護を自ら断った男」
一拍置いて、枢機卿は続けた。
「それが、今度は同士を集めて妙な動きをしているのではないか?……今、教会ではそう囁くものが多いのです」
笑顔だが、煽るような言い方だった。
握りしめた爪先が掌に食い込む。
「猊下。それは先ほども申したが、これは私が判断を誤ったせいだ。セリウスは関与していない」
枢機卿に釘を刺したのはリュミエール公だ。言い終わると、彼女はそっと嗜める様な視線をローワンに寄越す。
(いけない、いけない……)
ローワンはすぅ、と一度息を吸う。
ゆっくりと息を吐いてから、穏やかな、だが一切の揺らぎを許さぬ声音で、ローワンは言った。
「今日ここに来たのは、そのような話をするためではありません。
彼女——国民の安否と、事件の詳細確認、そして国として再発防止を講じる必要性があると判断したためです」
きゅっと口角を上げ、枢機卿を見据える。
「彼女に話を伺っても、よろしいですか?」
握りしめた手は、もう解かれていた。
*
「……治せないって、分かってました」
ニコルは小さく首を振った。
「それでも、何もしないよりはって。触れただけで楽になることも、あるから」
先ほどの部屋で、今はローワンとニコルが卓に向かい合わせて座っている。
ローワンは口を挟まずに聞いていた。
「恋人の……お母さんだったんです。何もせずにはいられなくて」
声が、少しだけ震えた。
「お母さんは元気になりました。でも……」
そこで、言葉が途切れる。何かを思い出して、耐える様に身を縮めていた。
「……広まってしまった?」
ローワンの問いは、静かだった。彼の言葉に背を押される様にして、ニコルはコクリと頷くと、またゆっくりと話し始める。
「急に元気になれば……みんな不思議に思う事くらい、予想できたのに」
信じていた。
愛する人を、その家族を。
ただ——苦痛から解放された奇跡とその感動を心に留めおけなかっただけ。
ただ——息子の恋人を自慢しただけだっただけ。
彼らだって、そこに悪意はなかったのだろう。
けれど、こうなることを誰も想像できなかった。
ニコル本人でさえ。
「怪我もないですし……髪を少し、切られた程度なので」
ニコルの口元は歪に弧を描き、笑っているのに、その眉は寄せられている。
傷つけられたことよりも、関係が壊れてしまったことの方がよほど辛かった。
そんな口ぶりだった。
「やっぱり。……初めから教会に入っていれば良かった」
その呟きは、ローワンにとってはあまりに苦く、残酷な響きだった。
「ニコル嬢……話してくれて、ありがとう」
ただそれだけを返す。みだりには微笑まなかった。憐れみや同情は、彼女に対して失礼だと思えたからだ。
「なぜ隠していたのかとは、訊かないのですね」
ローワンが立ち上がると、ニコルはポツリと言った。
いっそ責められたい——そんな含みを持っていた。
「そうしたいと思う理由が、あなたにあったからでしょう?」
少しだけ間を置く。
「それはきっと、真っ当な欲だ。——あの人が言うようにね」
視界の端で、ニコルが息を詰めた。
セリウスはきっと知っていたのだろう。
彼女はセリウスにとって、もう手の届かない憧憬のようなものだったのかもしれないし、ささやかな希望だったかもしれない。
だとしたら……セリウスはまた——
(あまり考えたくないな……)
沈みそうな心を誤魔化すように、ローワンは顔を上げた。
「お話は終わりましたか?」
タイミングを測ったように開け放たれた扉の向こうから枢機卿が姿を現した。
笑顔の圧は相変わらず強いが、ニコルに怯える様子はない。
少なくとも安全は確保されている。それだけは救いだった。
「ありがとうございました。十分です」
ローワンの返答に、枢機卿は笑顔で応じた後「ニコル、下がってよろしい」と彼女に指示をする。
ニコルは礼をとり、枢機卿の傍らにいた神官に伴われ退室した。
足音が遠のくのを確認してから、ローワンは再び枢機卿に視線を戻す。
「枢機卿」
数歩後ろでエドガーは彼の横顔を固唾を飲んで見守っている。
「一応お伝えしておきます。
あの者……セリウスはしばらく国外へ出します」
ローワンの言葉に、枢機卿は目を細める。
「ですので、猊下のご懸念は杞憂に終わるかと。
ご存知ありませんでしたら、近々教皇猊下よりお言葉がありますでしょう」
「ええ、伺っております。ですが殿下はそれでよろしいので?」
ローワンはその問いに答えなかった。
「僕は、奇跡を人のものにするつもりはありません。ただ……奇跡が人を壊さないようにしたいだけです」
代わりに口にした願いは、より一層強くなっていた。
「このところ、過去の騒動や、まことしやかで根拠のない噂が市中に流れているのも、その一策なのでしょうか」
枢機卿の問いは、慎重に言葉を選びながらも、確信のこもったものだった。
「最近では『奇跡を起こさなかった御子』などという話まであります。願っても浮かばれない……奇跡は起こらない……。そう解釈すれば、民は必ず混乱する。“神は死んだ”と、そう受け取る者も出てくるでしょう」
彼の顔から、ふっと笑みが消える。
「失敗の物語は行き過ぎではないでしょうか。……信仰そのものを壊しかねる」
声に、ほんのわずかだが熱がこもった。それは叱責ではなく、警告に近い。
彼もまた、彼の正義の名の下に自分と対峙しているのだ。
だがローワンは迷わない。
「失敗を“神の沈黙”として語ることも、信仰の一部ではありませんか」
静かに、一語一語を確かめるようなローワンの言葉に、枢機卿の眉が、僅かに動いた。
「奇跡が起きなかった理由を、人は考えます。
祈りが届かなかったのか。神が試しているのか。あるいは、答えを与えなかっただけなのか」
ローワンは、面会室の奥に置かれた像へと視線を向ける。
「“常に救われる物語”だけが信仰を支えるとは、僕は思わない」
その声は穏やかで、だからこそ強かった。
「救われなかった夜を抱えたままでも、それでも人が祈る——。だから今があるのだと、そうは思いませんか?」
「殿下」
枢機卿は小さくため息を吐き、首を横に振った。
「仮にそうだとしても——殿下のなさっていることは、神の上に王を置く行為に他なりません。赦されるはずがない」
「僕は、何一つ命じていません」
ローワンは静かに言った。
「奇跡を起こせとも、起こすなとも」
一歩、また一歩。
距離を詰めながら、茜の瞳は枢機卿をまっすぐに捉えている。
「枢機卿。お気づきですか」
声は低く、落ち着いていた。
「この国の信仰は——すでに、壊れ始めています」
過激だと分かっていた。
だが、それでも引くことは出来なかった。
*
『エドガー。……少し聞きたいことがある』
——あの日、アルヴェル王弟殿下はあくまで落ち着いていた。
「役目を終えたベアラーはどうなるのだ?」
端的に訊ねる声に、焦りや恐れは感じなかった。
だが彼がわざわざ自分を呼び出しているこの状況こそ、殿下は何かを危惧しているのだと分かってしまう。
「……王宮御子のことでしたら、殿下の方がよくご存知では?」
エドガーははぐらかすようにして言った。
教会に探りを入れるつもりであるならば、とうに接触してきたはずだからだ。自ら王宮を去り、国政から離れたはずの王弟が、今更何を知る必要があるのか。
「だったら、そなたをわざわざ呼び出したりせん」
さして苛立つこともなく、アルヴェルは淡々と続ける。
「教会のベアラーは有事でもなければ能力を酷使されることはない。であれば、寿命を全うするまで癒しの力は衰えることはないのか、それとも——」
エドガーは固唾を飲んだ。
(これはまるで……)
「——力が枯れればその命さえ潰えるのか」
まるで、事実を確認するような問いだった。
「……なぜ、そのような」
「近年——」
殿下はひとつ咳払いをして、声を一段落とした。
「近年、ベアラーの数は減少傾向にある。……当然知っているだろう?」
「……なぜそれを」
「調べれば分かることだ」
王宮は御子を手放した。新たな御子を迎える気もない。ならばそんな事をする理由も、必要もない。
(つまり、殿下は"敢えて"調べたのか……)
「ああ、だからと言って干渉する意図はない」
エドガーの反応に、彼は小さく笑う。
「大水から三十年余り経つ。若い頃に経験したのなら、いま丁度そなたくらいの年齢だろう。私の調べでは……その層のベアラーがほぼ存在しないんだよ」
「そっ——」
そんなはずはない、と言い掛けて止まる。
王宮に出仕して五年。その頃既にベアラーは減少傾向にあった。半ば間者のような立ち位置ではあったが、王宮にその身を置いてからは教会側の状況をエドガー自身が知ることは難しくなった。
「つ……通常は、泉が枯れればただの人間に戻るのみです。その後はただの修道士として、あるいは御子のメンターとなります。保護対象ではなくなるため、教会の外で生活することも可能ですが、その時点でご高齢ですので……皆、最期まで教会に身を置いておりました」
「……では、有事を経験し激しく力を消耗した者は?」
「先ほど申し上げた通りです。緩やかに泉は枯れ、彼らもまた一般修道士として今も——」
「もういい」
アルヴェルは首を横に振った。
自分からは得るものがなかったのだろう。露骨な落胆の色が見えた。
「……何を、危惧しているのですか?」
きっと答えてはくれないだろう。それでも思わずそう問うていた。
「いや、個人的なことだ」
アルヴェルは薄く笑う。案の定、答えてはくれなかった。
「足労を掛けたな。
それと……これはもう私の手を離れたものだから、そなたの主人にでも渡せ」
すぐにノエルドが動き、エドガーに書類束を差し出した。
受け取り、すぐに中身を確認する。
「これは、先ほどの……?」
「昨年までの動向を纏めたものだ。使い道があるかは分からんがな」
記録は、ローワンが王宮に戻るずっと以前から付けられていた。
*
「現に、ベアラーは減っている。教会が守り続けてきた“癒しの力”は、いずれ失われます」
兄殿下と同じ色の瞳を見開いて、ローワンは断言した。
バトンが渡った、とエドガーは思った。
「——そうなった時、人々は次を疑い始めるでしょう。次の御子を。次の奇跡を」
「殿下……なんということを」
枢機卿が堪らず声量を上げるが、ローワンは被せる様にして言い切った。
「いま必要なのは、延命ではありません。ここまで膨張させてしまったものは、爆ぜる前に軟着陸させるより他ないんです」
神話を、爆死させないために。
「崩れることを前提に、なお信仰が残る形を用意しなければならない。
——私たちは、もうその段階に来ている」
「……殿下は、神の時代の“その後”を生きるおつもりですか」
「僕だけではありませんよ、猊下。それに……僕の描いている制度は、永遠のものではありません」
先ほどまで、冷ややかな拒絶の色を帯びていた枢機卿の空気が、わずかに緩むのを感じ取り、ローワンは歩みを緩め、ふっと笑った。
「近い未来、この国は——ベアラーが存在する“最後の時代”を迎えるでしょう」
まるで予言。
穏やかな声音のまま、言葉は重い。
「そのとき、“終わらせる役割”を担うのは王ではない。猊下方……教会であるべきです」
沈黙が落ちるが、ローワンは視線は逸らさない。
「信仰が、より良い形で引き継がれるように。
僕は——神と人が、距離を取り直すための、仮の橋を架けます。そう、決めました」
枢機卿は、エルメリアの像を見上げたまま、しばし黙していた。
やがて——くすくす、と可笑しそうな笑いが零れる。
予想外の状況に、ローワンは思わず息を詰めた。
「いやはや……」
枢機卿は肩を震わせながらゆっくりと振り返ると、笑みを残したまま視線をローワンに向ける。
「こんな話を……聖下より先に、私が聞いてしまってよろしかったのでしょうか、ローワン殿下」
その声に、咎める色はない。
あるのは、半ば呆れ、半ば感心した年長者の、どうしようもない可笑しみだった。
「人から聞いた方が、あの方はきっと興味を持って下さるでしょう?」
にっこりとそう言い返すローワンに、枢機卿は「違いない」と肩を揺らして笑った。
その横で、エドガーは無言で胃のあたりを押さえる。
「——して、エドガー」
不意に名を呼ばれ、エドガーの肩が跳ねた。
「き、気付いておいででしたか……猊下」
「当然だろう。可愛い弟弟子だもの」
枢機卿は愉快そうに目を細める。
「しかし、すっかり侍従らしくなって」
「はは……」
実は自らも主人と面白がって企てたのだとは口が裂けても言えず、エドガーは乾いた笑いで誤魔化した。
「殿下の意思は理解した。だが、承諾したわけではない」
枢機卿は一歩引き、声の調子を改めると、そう言って、その視線が今度は確かにエドガーを射抜く。
「よいか。ちゃんと手綱を握っておれよ」
エドガーがほっと息を吐くその傍らで、ローワンは小さく笑った。
*
聖堂を出たところで、リュミエール公爵が待ち構えていた。
「この様な事態になり、申し訳ない」
彼女は静かに頭を下げた。
「僕に謝罪するのは違いますよ、公爵」
ローワンの言葉に「それもそうか」と公爵は顔を上げた。キリリとした眉と、漆黒の髪が兄アルヴェルに少し似ている。
長く国境を守り続けてきた、厳格で気高い女性。
その彼女がベアラーの存在を知りながら、その事実を黙っていたことがローワンの胸に妙に引っかかっていた。
「驚かせたな」
「なぜ……教会に知らせなかったのですか?」
「さあ。……何かを変えてみたくなったのかも知れないな」
意外だな、とローワンは思った。顔に出ていたのだろう、公爵は笑って「お前が言うか、と思うだろう?」とローワンに投げかけた。
「私は、セリウスがたった一人で生きているのは、ベアラーの自由が可能だと証明しているのだと思っていた」
公爵はまた笑う。悲しいような、困ったような微笑みだった。
「だが違った。
結局は、私がそう思いたかっただけだ。あれには逆に釘を刺されたよ。『自分は判断する立場ではない』と」
あの時、教会への報告を取り止めた。
まだ力を発現したばかりの娘が、自由に生きられるほど市井が安全ではないことくらい、分かっていた。
それでも——。
女であろうと、貧しかろうと、余所者であろうと、ここリュミエールでは安心して暮らせるように。
公爵として、それを可能にしてみたかった。
もしかしたら、それはセリウスに対する贖罪にもなるのではないか。
そんな都合のいい考えが、結局はニコルを傷つける結果になってしまった。
それでも、まだ終わってはいない。
「なあ、殿下。さっき枢機卿には随分と過激な発言をしていたが——もしやるって言うなら仲間が必要じゃないか?」
「……それは、そうですが」
ローワンは少しだけ眉を寄せた。
「公爵まで教会を敵に回すようなことになれば、さすがに——」
「敵に回す?」
ビアトリスが、意外そうに笑った。
「そうはならんさ」
「え?」
「実はな。以前から、ある司祭に相談を受けていた」
ローワンが目を瞬く。
「……何をです?」
「役目を終えたベアラーの、その後についてだ」
ビアトリスは腕を組み、遠くを見るように続けた。
「教会に入ること自体は、本人が望んだわけではない者もいる。力を得たからこそ、家族も故郷も捨てて、あの中で生きるしかなかった者たちだ」
「……」
「ならば、力を失った後くらいは、故郷へ戻りたい者もいるだろう。そういう者が、教会の外で暮らすための支援ができないか——とな」
「そんな話が……」
「まだ話し合いの段階だ。だが、私は悪くないと思った」
そこでビアトリスは、ふっと笑った。
「だから、少しだけニコルのことを話した」
「ニコルを?」
「名は出していない。ベアラーが教会の外で暮らすというのが、本当に不可能なのか。もしそれを望む者がいるなら、どうすべきなのか、と」
ローワンは黙った。
「あの司祭なら、今回の娘の件も枢機卿に伝えていたはずだ。……少なくとも、そうでなければ私は糾弾されていただろうから」
ビアトリスは瞳をきゅっと細め、そう言った。目尻の年輪が、彼女のこれまで培ってきた経験と覚悟を物語っている。
「……では、公爵は」
「私も乗る、と言っている」
ビアトリスは、今度こそはっきりと笑った。
「今日
「神と人が、距離を取り直すための、仮の橋を架ける、だったか?そのために、私を使え。
それに彼らも聖人ではない。教会の存続には金が……」
そこまで言って、公爵は立てた人差し指を唇に当てにこりと笑った。
「弟殿下には刺激が強かったか」
ははっと笑って、公爵は立ち尽くすローワンをそのままに、軽やかに鐙へ足をかけると、迷いなく馬に跨った。
「また連絡しよう」
馬上から見下ろす彼女の顔は晴れやかだ。
「ええ、僕も連絡しますね」
馬蹄の音が遠ざかっていく。風が抜け、聖堂の尖塔を揺らした。
「……エドガー」
ビアトリスを見送った後、ローワンは視線を後方に立つ侍従へと移す。
「枢機卿とは随分親しそうだったね」
「少々語弊があります」
エドガーはそう前置きをしてから、視線を聖堂の奥へと向けた。
「ですが、そうですね……。彼と共に多くのものを見てきました。殉職したベアラーを共に荼毘に伏せ、その功績を共に記録し、救いを求める民が彼らの墓を掘り起こさぬよう共に見張りました」
あのときから、既に——
「あんな感じですが、悪い人ではないんですよ」
——少しずつ、世界は動き始めていたのかも知れない。




