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紅の御簾とき  作者: 鈴のたぬき
第六章 決断
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同行

 父様の部屋で判明した事実に溜め息をつき続けながら、わたしたち四人は雲風と菻明、黎蘿(レイラ)のいる部屋へと向かった。わたしたちと一緒に央都に戻るか、この楽団に残るかを訊くためだ。まあ、菻明以外は央都に戻ると言わないか。黎蘿は楽団の中で生まれたし、雲風は元盗賊で、通り掛かる馬車を兄と一緒に襲っていたのだから。ちなみにわたしは昨日の夜のことでまだフラッフラで、樹衣に姫様抱っこをされている。子供たちはわたしを哀れみの目で見ながら樹衣の左右を歩いている。そういえば。

「樹衣、雲風の兄の盗賊の男はどうなったのですか?」

わたしが気になって腕の中で尋ねると、樹衣はなんてことないように答えた。

「あの男は故郷に帰した。年老いた母親がいるようだからな。何度か部下を監視のために遣ったが、真面目に母の世話をしながら農業をしていたらしい」

「とても意外です。雲風に知らせなくては」

わたしが目の前(上?)の顔を見て言うと、樹衣は頷いた。

「あの男の消息が気になっていただろうからな。お前が知らせてやれ。交流のない俺が伝えるよりも良いだろう」

「はい。最初からそのつもりです。あ、そこ右です」

樹衣が廊下の角を左に進んだため、わたしが方向指示をする。樹衣は菻明たちの部屋を知らないからだ。

「三人は央都に一緒に来ると言いますかね?」

わたしが尋ねると、樹衣は分からないと言うように首を振った。

「できられば一緒に来て欲しいとは思いますけど、三人の意思を一番に尊重するつもりです」

第一、三人はわたしたちに付いてくる義理などないのだから、過ごし慣れた楽団の中にいたいと思う可能性はかなり大きいのだ。強制するつもりはない。そんなことを考えていると、樹衣がまた曲がる角を間違えた。

「そこ、真っ直ぐです、樹衣。そうしたら奥から二番目の右の部屋が三人の部屋です」

わたしが指示した通りに樹衣は動いてくれる。これではまるで忠犬だ(失礼)。菻明たちの部屋の前で、わたしは床に立たせてもらった。フラフラしているが、何とか立てた。わたしが戸を叩くと、中から雲風が戸を開けた。

「菁凛様。どのようなご用ですか?」

「もう美美で良いのよ。少し話し合いたいことがあって。中に入れてもらえる?」

わたしがそう問うと、雲風はわたしの後ろに立っている樹衣と子供たちを見て頷いた。


〇〇〇


 部屋の中に入れてもらったわたしたちは、案内された通りに長椅子に座った。

「お姉様、樹衣さまがいらっしゃるということは、央都にお帰りになるのですね」

菻明の言葉に、わたしは首を縦に振った。

「ええ。それでね、あなたたちが付いてくるかを聞きたくて」

わたしが言うと、菻明は隣に座った雲風と目を見合わせた。

「央都に、私たちが?まあ、確かにお母様の顔も見たいし、私は一緒に帰ります。雲風は?あなたがここに留まるんだったら私はお母様の顔を見てすぐに帰ってくるわ」

菻明がそう言うと、雲風は首を振った。

「僕も一緒に行くよ。黎蘿を育てるのも、央都の方が良いだろう」

話が纏まったようだ。

「お姉様、私たちも共に央都に戻ります」

わたしは微笑んで頷いた。

「分かったわ。帰る日程が決まったらまた教えるわ。それと、雲風に少し話があるの」

わたしが言うと、雲風は不思議そうな顔をする。

「なんでしょうか、美美様」

「あなたのお兄さんのことよ。今は地元に戻って母の世話をしながら真面目に農作業をしているそうよ」

わたしの言葉に、雲風の顔が綻んだ。

「良かったです。教えてくださってありがとうございます、美美様」

わたしは雲風に微笑みかけて立ち上がった。

「今日はここでお暇するわ。樹衣、樹徒、鈴桜、帰りましょう」

わたしは部屋を出てまたフラフラしだしたので、また姫様抱っこをされて部屋に戻る羽目になった。

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