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キュー商会の快進撃 新サロンのお披露目式 ティーパーティーⅡ

新サロンのお披露目式を兼ねたティーパーティーが開催される。

キュー商会の新たなビジネスが始まろうとしている。


確かに美人ではない。

いや残念ながら人目を奪う容姿は持ち合わせていない。

そう認めざるを得ない。

自分でも思う。

だけど……。いいえ…。

そう私の価値は他にあるはず。

少なくともこの姿である限り私は私ではない。

そう違う自分になれる。

だから大丈夫今だけは。


だって今はアルベールよ。

キャロンの双子の弟。

イギリスの王族でなく、デンマークの王妃でもない。

1人の商人だから…。


大きく息を吸い込むと会場中に匂わせたティーツリーと檜の香りが鼻をくすぐる。

自然の香りは今回のコンセプトの一つで五感で味わえる啓蒙主義をコンセプトにして取り入れた。


ラファイエルが私の姿を見つけると、柔らかな微笑みを湛えて私を壇上の中央へと手招きする。


私は招待客の期待に胸膨らませる全ての眼差しの輝きを受け止める。


「この度は新生サロンドゥキューの初めての主催ティーパーティーにお越しくださり誠にありがとうございます。

 皆様のご支援とご愛顧のおかげで今日新サロンのお披露目を行える事になりました。

 私は当サロンのオーナーにして、キュー商会の代表キャロンキューの双子の弟アルベール・ザハッドワグナーと申します。

 長くイギリスに滞在していましたが、姉の要望により暫くの間、姉キャロンの替わりに新オーナーの職務を代行いたします。

 まずは皆様の変わらぬ御贔屓とご支援を切にお願い申し上げます。

 尚本日現在は着席頂いておりますが、後に御立席いただき、多くの方とこのパーティーで縁を繋いでいただければと存じます。

 又皆様のテーブルにご用意しましたテーブルウェア―はシノワズリの磁器を我が商会が特別に依頼して東洋の地で焼成した品々です。

 もし気に入っていただければ注文も可能でございます。

 現在これらの特別な磁器は入手困難でございますが、当会では手に入れやすい価格でご提供を可能でございます。

 是非ご検討をくださいませ。

 では暫くの間ご歓談をお楽しみくださいませ。

 皆様のご多幸とご健勝を神に願い末永く我が商会と共に。

 今日は存分にお楽しみくださいませ。

 皆様に幸あれ!」


私は深々と礼をすると、惜しまない拍手の波が海のそれと同じように続々と波打った。


一安心だ。

にっこりと微笑む胸の奥で静かに撫でおろした。

腰を上げた瞬間にラファイエルの笑顔が映像の様にぱっと映し出された。


恥ずかしい~~~なんだか~~~。


壇上で2人は握手を交わした後、招待客に軽く礼をし、幕下へと消えていく。

挿絵(By みてみん)

招待客達は再びテーブルに置かれた美術品のようななみなみと注がれた紅茶のカップを手にスイーツ、チョコや果実が盛られた皿をとり、ゆっくりと口に運ぶ。


「なんて美味しいケーキかしら?」


「後からお願いしてレシピをいただけないかしら?」


「本当に」


「このホットショコラも濃厚でまるでナッツのような香ばしさ」


「貴族の方でさえなかなかこんな美味しいスイーツをいただけませんわよ。

 きっと。」


「ところでこのテーブルウェアーと紅茶是非いただきたいわ」


「私も絶対ティーパーティで注目されましてよ」


「私も」


「私も」


「わたくしも」


それを幕下で眺めているとなんだかほっとする。

人々が私のサロンで楽しみ喜んでくれる。

達成感と充実感が身体中を駆け巡る。

だから止められないかも……。

お金儲けじゃない。


このパーティー中ですら、ほとんどの招待客は受注を依頼してきた。

キュー商会は巨大な利益を確保する事に成功したの。

しかも今日の料理の数々を再現出来るようにプロ向けに講習会やレシピ本も出版予定よ。さらなる利益をもたらすのは間違いわ。


「流石はアルベール殿。

 このパーティーだけの利益だけでなく。

 その先まで考えられるなんて。

 いや参りました」

にっこりと微笑むラファイエルの顔に思わず恥ずかしくなって、視線を落として小さな声で答える。


「いいえ。

 姉の助言もありました。

 1人では到底考えも浮かびませんでした」


「そんな事はないよ。

 僕はキューオーナーに会った事はないから知らないが。

 君は十分に才能があるよ。

 君は君じゃないか。

 素晴らしい経営の才能の持ち主だよ」


「そぅ言ってくれると……。

 そんな事より気球から助けてくれてありがとうございます。

 あんな、失礼な態度とったのに助けてくれて」


「サンジェルマン伯爵に事前に緊急対策をしてもらっていたんだ。

 なにが起こるかわからないからね。

 パラシュートっていうんだそうだ。

 帆船で使う帆を縄で繋ぎ合わせ、フックを外すと開く仕掛けだそうだよ。

 伯爵はすごいね。

 本当に貴重で楽しい体験だったよ」


「本当にありがとうございました」


「そんな事よりこちらもしっかり利益は貰うから。

 今回のティーパーティーで使った紅茶。

 さっき部下に聞いたらすでに半分は受注済だそうだよ。

 招待されていない富裕層がわんさとキュー商会に詰めかけるだろう。

 早速追加発注しないと。

 こちらこそありがとうございます」


「クスッ…クス」


「ハハッ!!」






キュー商会の磁器の販売とラファイエルの紅茶の販売は大成功して大きな利益をもたらした。

次話新たな展開へ。

遂にストレーエンセとアルベールとして出会う。


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