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キュー商会の快進撃 新サロンのお披露目式 ティーパーティー

キャロラインマチルダ王妃は新たなアルベールという名でサロンドゥキューの経営に乗り出した。

新サロンの初めてのイベントは成功するのか?

ティーパーティーがいよいよ始まる。

昼下がりの強い日差しを背に受けて、招待客の馬車は続々と真新しい白亜の石造りの館の前に到着し始めていた。

挿絵(By みてみん)

まるでギリシャオリンポスの神々の住まうその宮殿を目にして、馬車から降りた招待客達はため息の波をつかずにはいられないほどサロンの建物は美しかった。


胸弾む人々は皆色とりどりの絹のストールを纏い、女性はギリシャ風のドレープのラインが美しい衣を着ていた。

腕に思考を凝らし、オリーブの枝を模ったブレスレットや髪飾りが太陽に照らされる。

天からの光の様に輝いていた。


その彼女達の隣に腕を組んでいるパートナー達はそれぞれ白のゆったりとしたシャツに、短いパンツを着て、いかにもギリシャ風の装いでエスコートしている。


腰に締めている帯はロープ状の金製で頭には各々好みのオリーブの葉を飾りをつけていた。


彼らは夫てある場合もあったが明らかに不倫相相手を伴っている者もいたが、その場の誰も皆気にも留めない。


「素晴らしいギリシャ風のサロンね」


「本当に全てが啓蒙主義のお手本の様な。サロンというよりも宮殿に相応しいわ」


「オリンポスの神々の集う宮殿ですわね」


中に入らなくても皆これからおとずれる催しに期待値は最高潮に達し、玄関口に吸い込まれる様に消えていく。

広い大理石のエントランスには多くの召使が出迎えて招待客を会場へ誘導していった。



***********************************************


白亜の大理石の円中の柱、壁に立て掛けられていたタペストリーに、床にはブルーの異国の絨毯に金のサンダルがその柔らかさを体感する。

マホガニーの重厚な調度品と陶器には唐草模様と動物の絵や彫刻されたいかにもギリシャ風だった。


テーブルと椅子はマホガニーでシンプルながらも細部な彫刻を施してある。

招待客は目に見える内装にため息と共に驚嘆と賞賛のちょっとした嵐が巻き起こる。


「まあ素敵。

 中もギリシャ風でかの時代にタイムスリップしたかのようですわ」


「流石はサロンドゥキューのお披露目式のティーパーティー会場ですわ」


「今のトレンドを見事に再現されていますわ」


「では貴女様もギリシャへ旅行に?」


「当然ですわ。

 パルテノン神殿の素晴らしさと言ったら。

 まだ再建には至りませんがそれがまた想像力を掻き立てると申しましょうか」


「まあ~~私もですわ」


「本当にまさにパルテノン神殿の再現と申しましょうか。

 流石はキャロン様ですわ。

 いらっしゃらないのにこれほどのもてなしが出来るなんて」


「ええ。

 いらっしゃらなくてもちゃんと彼女の美意識はキュー商会にちゃんとございますわね」


「………今日は素晴らしいひと時になるでしょう」


「本当に…楽しみです」


「でもティーパーティーですのに。

 カップもお皿も何にもないなんて?」


「ですわね。

 丸テーブルにあるのは季節の花束を生けた

 ギリシャ風の磁器の花瓶だけなんて」


「皆様。

 あのキャロン様の主催ですわよ。

 あっと驚く演出を期待いたしましょう」


あちらこちらで聞こえていた会話は広報の大きな扉が開く重厚な音で、ピタリと静まりかえった。 

かわりに聞こえてきたのは何か打たれたように聞こえる吐息だった。


と同時に中央のやや高くなったステージの脇から美しい立琴の調べが聞こえてきたと思えば、ゆっくりと演奏者が登場し後方で演奏を続ける。


扉の向こうからは多くの給餌達が高々と銀のトレイを掲げ進んできた。


そのトレイにはいくつものティーポット、シュガー入れ、砂糖入れが置かれ、しかもその磁器の絵柄は見たことのない異国の柄が彩色美しく描かれていた。


「まぁ〜なんて素敵なティーセットかしら?」


「ご覧になってあれこそ東洋に名高い磁器では?

 あのブルーやレッドイエロー色とりどりな色彩の絵柄。

 なんて花かしら?

 見たこともない大きな花。

 蝶々が停まっているわ。

 それに何かしらあの塔の建物に見たこともない衣装を着た不思議な人の絵を見たことございませんわ」


「まぁ〜次の給仕達は見たこともない大皿にこれまた見たことのない果物が沢山~~」


「その後にはまぁ〜沢山のお菓子がお花に見立てて飾られているわ。

 その後ろに美しい花籠に見立てた時期に高々と盛られているわ。

 マカロン?サブレ?見て!!タルトまで?」


「あら〜続きはサンドイッチですわ。

 まぁ〜揚げたお肉や卵やハムに。

 フルーツが入っているわよ」


「おなかがすいてまいりましてね」


「丁度昼下がりは軽い食事くらい宜しいわね。

 どうせディナーではマナーマナーマナー!で食べた心地はしませんし」


「流石キュー商会主催のティーパーティー」


「まぁあのカップとお皿!

 素敵っ!」



「こんなに珍しい器は見た事がないですわ」


「本当にこんな器で紅茶を頂けたらどんなにか素敵かしら」


招待客が興奮する中、それらはテーブルの所狭しと並べらていく。

人々の瞳はキラキラと輝き紅茶を注がれたカップに恐る恐る感動のあまり震える手を伸ばす。


真っ白な磁器外側にきれいな色彩が描かれたそれはまさに絵画のような芸術品を愛でた後に壇上に人の気配を感じて皆視線を移す。


中央の高くなったステージにラファイエルが壇上に立っていた。


「初めまして私はキュー商会と取引をしております。

 フランス商人のラファイエル・ドゥルジュールでございます。

 主な取引は紅茶とスパイスを売買しております。

 始めに皆様の前に注がれている紅茶は東インド会社が清国から特別に取り寄せた珍しい茶葉でございます。

 入手困難ではありましたが、この度のパーティー用に入手いたしました。

 またご希望の方々には後ほどお求めいただける様にいたしますので、私にお声がけをくださいませ。      

 新しいサロンドゥキューの門出を皆様と共有出来誠に幸せです。

 素晴らしいサロンドゥキューの新しい経営者アルベール・ザハッドワグナーです。

 皆様大きな拍手でお出迎えくださいませ」


招待客はラファイエルのかざした手の先に視線を向け、一斉に拍手し始める。


すると爽やかな風が吹いているかのような空気が会場を包み込む。





壇上に現れたアルベールは?

ティーパーティーがもたらすサロンの次なる事業は?

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