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国王の宮廷医師 小さな改革の前進Ⅱ 

突然国王の私室に呼び出された王妃は?

公娼の件だろうか?

しかし夫の口から出た言葉は?

挿絵(By みてみん)

こ……これはどういう状況なの?

前触れもなく突然に夫に呼び出されて、国王の私室を訪問したの。

夫は上機嫌で私を出向かえて、抱きしめすらしたわ。

仮面舞踏会以来の夫は比較的初めてあのアンヌの事件から見るくらい安定して穏やかな表情と顔色もよかった。


突然抱きつかれた私は驚きのあまり身体は硬直!!

夫はそんな私を置き去りにするように次から次へと喋り出す。

どんな話しなのか頭に入ってこない。

まるで壊れた時計の様に、秒針がグルグル回り出した。

正直なにを言っているのか??だった。


辛うじて聞き取れた話は多分2つ。


私の体調が思わしくないから、宮廷医に健康状態を見てもらう様に告げた。


体調が悪いというより、外出出来ないストレスで水腫が出来ただけ。

その瞳は鋭く心配しているというより、まるで王命でも告げている様な素振り。


次に息子フレデリック王太子への天然痘の種痘の実施を薦める話よ。


天然痘は貴賤の区別なく何度もパンデミックを繰り返し、死亡率が高くしかも後遺症に悩まされる厄介な感染症よ。

でもこの感染症は軽い天然痘を患った患者の皮膚の一部を健康な人に植え付ける事で体内に免疫をつけさせて病を防ぐ予防が出来たのよ。

でも絶対安全ではなかったから稀に重症化して後遺症や死亡する事もあったの。

実施には勇気がいるわね。


でも急にどうしてそんな話をするんだろう?

そんな不思議そうに夫の顔を凝視している彼は私に思ってもいない言葉を口にし始めた。


「それと僕は構わないけど、皆が言うの

 で…。

 君のお気に入りの役者ラトゥールって言っ

 たっけ?

 もうコペンハーゲンを去ったよ。

 皆が追放すべきだって聞かないから。

 悪いね。

 王妃……君の恋を邪魔するつもりはないん

 だけど…皆が聞かないから……。

 ぁあぁ…それと。

 私の専属医に見てもらいなさい。

 フレデリックは診察済だよ。

 彼と今後のあの子の事を話し合いなさい。

 彼は素晴らしい医師としても、臣下として

 も。

 君にとても良いと思うよ」


にこやかに微笑んで私の肩をなで、これから国務会議らしく部屋を出ていった。


私は彼の言動をどう理解したらいいかわからなかった。

ラトゥールが私のお気に入り?

私がラトゥールに恋してる?

はぁ??


医師に見てもらったらいい?


私は豪華で広い部屋にポツンと残され、夫から訳のわからない話をされて放心状態。


なんなの?

ラトゥールを追放?

あの強引さ?

私に無関心だったのに?

お気に入りを追放?

そもそもラトゥールとはそんな関係じゃない。


医者…?

診察…?


置かれた状況もわからないまま呆然とする中衛兵の低い声が耳を突く。


「ストルーエンセ国務顧問官殿

 お越し」


ギィ〜〜〜。


開かれた扉の前に立つ1人の男。


「貴方がストルーエンセ医師?」

彼を見た時に脳内にあの夜の出来事が鮮明に浮かび上がった。


そうあの仮面舞踏会で踊った男が彼だと気が付いた。

今日は私が王妃だとわかっているから幾分緊張しているようで、微かに手が震えている。

お辞儀も優雅に腰を降ろしている様子はあの夜と同じだった。

でもあの夜の話はしないのがマナー。


声をかけない訳にいかない。


「陛下から私の診察を頼まれたと聞きまし

 た。ストルーエンセ国務顧問官」


まだ顔を上げきらないうちに言葉をかける。


一瞬彼の身体が小刻みに震えて、押し殺して泣き声が部屋に微かに反響してくる。


「ストルーエンセ?

 どうしたのですか?」


***************************************




私は始めブリギッテに公娼候補辞退と関係解消から王妃を抱え込むために妻との関係改善するよう王を説得した。


今のままではイギリスとの外交関係が悪化する可能性がある事。

なにより私達の理想の国家作りに支障が出る事。

それによってなんの後ろ盾や地位も持たない平民の私が保守派の反啓蒙主義達から追放どころか、殺されてしまう可能性がある事を。


王は改革には興味がないそぶりだったが、私が宮廷去るどころか殺されると言った言動に激しく動揺した様子を見せた。


そして王妃との関係を改善すると約束したのだ。

そうあくまで改革の達成の為の接近だ。


なのに……その人を目にすると脳裏に鮮やかに蘇る。

そう言えば国王陛下から無理やり誘われた仮面舞踏会で踊ったのは彼女だ。

ぁぁあ〜〜神は私に希望を与えてくれた。


私達は出会う為に生まれてきたのだと。

そう思っただけでこの世に生まれた意義と目的が鮮明になり、身体の奥底に眠っていた熱が湧き上がって身を焦がす。


自分でも止める事が出来ない。

かってに涙が流れて、全てを吐き出すかの様に嗚咽し、その場に倒れ込むしかするすべがなかったのだ。


愛しい貴方が私の前に現れたのだから。


「愛しい貴女。

 私です。

 あぁ〜おわかりにならないなど悲しい限り

 です。

 フィリップ・クリフトス・フォン・ケーニヒスマルクです」


前世の恋人だと自白した国王の宮廷医にキャロライン・マチルダは?

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