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仮面舞踏会 国王の帰還

仮面舞踏会で初めてあった男はこれからの王妃の人生を左右する人物となる。


彼は何者なのか?

誰に伴われてやってきたのだろう。

そして今私の中で蠢く危機感と不安、そして気鬱さの正体がわからない。

まるで砂漠にさ迷い込んで途方にくれる巡礼者のように不安の砂嵐が体中に舞い散っているかのようだった。


男性と踊りを終えると、マルグレーテが引きつった顔を隠さずに小足で私の元にやってくるのが見えた。


「何もございませんでしたか?」

少し息を乱しながら心配そうに尋ねる。


「ええ。  

 大丈夫よ。

 ある程度で退出するわ。

 なんだか疲れました」

少し悲しげに微笑んでそう答える。


「はい」


退出する為に出口に向かう扉を目をやると、見覚えのある男達の集団が目に入ってくるのが見えた。


息を飲む。

呆気に取られて言葉が出ない。

ゴクリとツバを飲み込む。


そう予想だにしない出来事だった。

いるはずのない人物がそこにいたから。


ホルク伯爵、メンシンマン男爵、ランツァウ伯爵、ベルンストルフ大臣。

そして夫クリスチャンⅦ世だ。

えっ?


まだ帰国したとは聞いていないわよ。

いったい何故?


彼彼廷臣達に囲まれて機嫌がよさそう。

しかも珍しく酔っぱらっていないようだわ。

足元がしっかりして、遠目からでも血色がよさそうだった。

談笑している姿は威厳さえ感じる。

違和感のない笑顔だわ。


病んでいる時の彼の笑い顔は狂気じみていたから、今宵はなんだか調子抜け。


でもランツァウ伯爵が取り巻きに加わったのは驚きね。

何せホルク伯爵達がよってたかって、宮廷から追放したのだから。

外遊中に何かあったのかしら?


えっ!!

ちょっと待って。

私は幻をみているのかしら?

夫が私のところにやってくるわ。

ドンドンと近づいてくる!


ちょっと心の準備が!

待ってよ。

瞬間的に瞼をギュッと閉じてしまった。

だってアンヌの事件以来初めて向き合うのよ!


あぁぁぁ!

でもちょっと待って!

そうそう今宵は仮面舞踏会。

流石に王も節度を守るはず。

あ!まともなら。


「令嬢。

 今宵は楽しんでいますか」


夫のひと言は意外なものだった。


「え…!

 ええ…」

令嬢って夫に言われるとむず痒い。


「良かった。

 十分に楽しんでください。

 機会があればお会いしましょう」


そう言って私の手の甲にキスを落とした。


何があったのかしら!?

気持ち悪いわ!!


今宵はいろんな事があって本当に疲れたわ。


本当に明日からまた……。


**********************************************


挿絵(By みてみん)

昨日の疲れからか今日寝台から起き上がったのは昼少し前だった。

昨夜は皆朝方まで遊び続けたので、下級貴族と召使い、下働きの者以外はまだ勤務に就いていない。

午後の予定もないし、寝坊をしても咎める者はいない。


そうは言ってもこのままでは流石にまずい。

枕元のマチルダの部屋と繋げる呼び出しのベルがついた紐を引こうとした時だった。


バン!!


耳を裂くほどの扉が開く音。


「王妃様!

 王妃様!

 ご存知でしたか?

 国王陛下の連れてきたストルーエンセ医

 師をご覧になられましたか?

 なんて素敵な方でしょうか。

 先ほど国王陛下付きの侍女に伴われたこっ

 そり新しい宮廷医師を見にいきましたら。

 すごく素敵。

 知的で優しそうで。

 今流行りの啓蒙主義について熱心にランツ

 ァウ伯爵と話しておられましたわ。

 高位の貴族と対等にお話されるなんてなん

 て!

 あんな方と生涯を共に出来たらどんなにか

 幸せでしょうか?

 奥様はおいででしょうね。

 そういらっしゃるわよね。

 陛下は王妃様にも紹介されるかしら?

 そしたら私にも……」


マチルダの饒舌に語る姿を初めて見て、女らしい一面にクスッと笑ってしまったわ。


だってあの子ったら堅物っで、恋愛とは小説の中しか知らないから。


「そうね。

 そうかもしれないわね」


「はぁ〜待ち遠しいわ」


「そんなに素敵だったの?」


「えぇ。なんでもプロイセン王国からいらいたのだとか。

 大変優秀でハレの牧師様の子息で、医学を学ばれた優秀なお医者様。

 今は啓蒙主義の学問まで身につけられて。高位貴族の方との親しいのですって。

 廷臣達にも信頼され、今や国王陛下の顧問官で宮廷医師っでいらっしゃるのですって。

 なんだか新時代を感じませんか?

 宮廷が変わるかもしれません。

 王妃様の処遇も改善されますわ!

 きっと素晴らしいんでしょうか!」


そうね。

そのうち宮廷で顔を合わせるだろう。

そんな事より。

紅潮した頬がなんだか可愛らしいなって思う。

年も近いけど、息子が生まれてからなんだか夢見がちな事からは遠ざかっているから。

新鮮だわ。


「そうね…」

私は上の空でマチルダの話を聞いていた。


そんな事より早くキュー商会に行きたい。

皆の無事な姿をこの目で確かめたいの。



国王の主治医は何者か?

これからどう王妃と関わるのか?


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