第45話 初めての給料キター
いつもいつも更新が不定期で申し訳ありません。
こんな私の作品でも楽しみにしてくれる方がいる限り、どうにかこうにか書き続けていこうと思っていますので、応援してくれたら嬉しいです。
ルウが水浄を使える様になった事で、用水路の掃除がかなり捗るようになった。
なにせ、服も身体も一瞬で綺麗に戻るから、汚れを気にしないで作業に集中出来るのと、浄化槽に運ばなくても浄化出来る様になった事で、おじさんと2人がかりで用水路の掃除が出来たからだ。
ただ一つ、残念なのは……。
水浄で綺麗にされるから、ルウのお昼のア〜ンが無くなった事だ!
たしかに恥ずかしくて死にそうだけど、あれはあれで良かった!
もっと恋人っぽい事したいよ!
とは言っても、自分からルウに触ったりとか出来ないし、妄想するばっかで実行出来ないのが現実ですが……。
話しは戻るけど、流石に俺も、2日3日と経つにつれ臭いに耐性が出来てきたし、作業にも慣れて来ていた。
だから、本来の依頼を超えて、あれもこれも、あそこもここもと、幅広く掃除していた。
清掃のおじさんからも太鼓判を押され、このまま清掃員にならないかとお誘いを受ける程になったし、もう立派な清掃員としてやっていけそうだ。
……ん? あれぇ?
俺はいつから清掃員を目指す様になった!? 清掃員になってどうする! 俺がなりたいのは冒険者だろ!!
あぶないあぶない……、もう少しで目的を忘れて清掃員になってしまうところだったわ。
この俺に目的を忘れさせるとは、なかなかやるな清掃のおじさん……。
しかし……、もう一週間程、用水路の掃除をしているけど、綺麗にした先から汚されて、詰まらされるから、やってもやってもキリが無いし、イタチごっこが続いてる……。
これは、もう根本から解決しないと、どうにもならない問題だと思う。
帝都から流れて来た大量の避難民が、街中で野宿している所為で、トイレも無いから、用水路をトイレ代わりに使ってしまってる。
これを解決するなら、避難民に用水路をトイレ代わりにするなと言い聞かせて止めさせた上で、簡易でも良いからトイレを用意するしか無いと思う。
でも実際には、避難民達は放置され、各々が勝手きままに、自分達の事だけを考え行動している状態だ。
これだけ大きな街なのに、役所や政府は何をしているんだか……。
まぁ、そのおかげで、俺は仕事にあぶれる事も無く、毎日清掃している訳だし、なんだかんだと一週間経って、それなりに報酬が貯まってる頃合いだ。
というのも、初日に依頼を受けてから、毎日掃除に明け暮れて、あれから一度も冒険者組合に顔を出していないからだ。
清掃のおじさんは、『こっちで冒険者組合に依頼の報告しとくし、ちゃぁんと日当で報酬ツケといてもらうから、にぃちゃんは報酬貰いたくなった時にでも行けば良いようにしとくんで、こっちの仕事に集中してくれてかまわんからなぁ』って感じで言ってくれたので、わざわざ1時間近く歩いて冒険者組合に行くのも面倒で貯まるに任せてた。
だから、あれから一週間経っているし、そろそろ良い感じの金額になってるかなぁって思って、受け取りに行こうと考えてる頃合いだ。
報酬、どうなってるかなぁ。会社の初任給を思い出すなぁ、このドキドキ感!
あぁ、考えてたら報酬待ちきれなくなってきた。さっそくだけど冒険者組合に向けて出発だ!
********
やって来ました、一週間ぶりの冒険者組合です。
いやぁ、報酬、楽しみですねぇ。いったいいくら貰えるんですかねー。
意気揚揚とやって来たハルトは、さっそく窓口に巨乳ちゃんの姿が無いか探し始めるが、皆の視線は、あいも変わらずハルトの後ろにいる、ルウに釘付けになっていた。
ハルトは巨乳ちゃんを探しつつも、皆の視線がルウを追うのを意識し、この前みたいな変な輩がルウに絡んで来ないか警戒していた。
また前みたいな変な奴が絡んで来る前に、用事だけ済まして早く帰ろう。
巨乳ちゃん巨乳ちゃん、巨乳ちゃんはどこだ?
いつもなら窓口に居るのに、今日は何処にも見当たらない……。
ずっと巨乳ちゃんに対応してもらってたから、他の職員には何か話しかけ辛くて躊躇してしまう。
巨乳ちゃん、居ないみたいだな……。
どうしよっか? 出直した方が良いかなぁ。
そう考えていると、奥の職員用の扉が開き、中から巨乳ちゃんが出て来た。
おっと、いたいた。さっそく巨乳ちゃんに報酬貰うとしよう。
「お〜い、きょッ……! じゃないわ、……えーと、えーと? あれ?」
あ、アレ? 名前……なんだったっけ?? ……えっと、名前、名前……、巨乳ちゃんの、名前……。
………………ダメだッ!!
ぜんっぜん思い出せない! うわっ、どうしよ。名前まったく思い出せないわ……。
くっそぉ、『今更名前なんだっけ?』なんて失礼な事聞けないし!
こうなったら仕方ない……、社会人の切札、奥の手を使うしかないか……。
名付けて! 『必殺、名前が分からないなら名前に触れずに会話を成立させる会話術、要件だけヨロシク!』だ! 無駄に長いな……。
兎に角、今はこれで急場を凌ごう、誰かが巨乳ちゃんの名前を呼ぶまで耐え凌ぐのだ!
「やぁ、久しぶり。窓口に居ないから帰ろうかと思ったんだけど、居てくれて良かったよ」
「おはようございます。一週間ぶりくらいですね、ハルト様。今日は報酬の受取りでしょうか?」
「そうなんだ、報酬貰えるかな?」
「かしこまりました。それでは手続きしますので、そちらの窓口まで来てください」
巨乳ちゃんはそう言いながら、窓口へと移動し、俺も後に続いた。
俺が窓口で国家証を渡すと、巨乳ちゃんは少し席を離れる断りを入れ、手続きをしに奥の部屋へと向かって行った。
しかし、マズイなぁ……。
昔から人の名前を覚えるのが苦手だったから、会社でもよく名前忘れて苦労したんだけど……。
まさか、巨乳ちゃんの名前が分からなくなるなんて迂闊だった。
会社みたいに、ネームプレートとか座席表とかで調べる事も出来ないし……。
誰でも良いから、巨乳ちゃんの名前呼んでくれないかなぁ。
なんて考えてる間に、奥の部屋から巨乳ちゃんが戻って来た。
「お待たせしました。こちらが更新された国家証と、今回の依頼の報酬になります。内訳としましては、1日2ポイントの依頼を7日分、合計14ポイントの名声値を、記載の−2ポイントに合算し、現在12ポイントとなっています。さらに、1日賎貨3枚を7日分で、合計21賎貨となっています。どうぞお受取りください」
「おぉ、初めての給料キター! それに、名声値も12ポイント! あと残り88ポイントだ、やっと先が見えてきたぞ」
まだ、100日近く猶予があるし、これなら何とかやっていけるかもしれないな!
それに、初めて貰った異世界のお金。賎貨? とか言ったっけ、どれくらいの額になるのか見当もつかないけど、流石に衆人環視の中でお金の価値教えてとか恥ずかしくて聞けないし、こっちは帰ったらクリスティーナさんに聞いてみるか。
あとは……、この先、依頼の方をどうしていくか考えないといけないな。
今のところ、用水路の掃除が無くなる様子もないし、一応、このまま続けていくってのもアリだとは思うんだよね。
でも、レベルも5までは上げないといけないし、用水路の掃除ばっかやってても、レベルが上がる気がしないんだよね……。
んー、そこら辺も踏まえて、ダメ元で巨乳ちゃんに話してみるか。
「ちょっと依頼の事で、少し相談しても構わないかな?」
「はい、大丈夫ですよ。どういったご相談ですか?」
「俺がEランクになるには、名声値以外に、レベルも5まで上げる必要があるよね?」
「そうですね」
「それで、レベルを上げたいんだけど、何かレベルも上げれる様な依頼って無いのかな? あッ、もちろん俺でも何とかなりそうなヤツって事になるけど!」
「そうですね……。ハルト様は、何故かレベルが1なんですよね……。……少し、いえ、数日、お時間頂いてもよろしいでしょうか?」
? 何故か1って、どういう意味だ?
っと、そっちも気にはなるけど返事しないとな。
「あ、あぁ。大丈夫、こっちも無理言ってると思うし、出来ればーー出来れば、で良いから」
「私も、出来る限り頑張らせて頂きますね!」
何故かヤル気満々で、そう言う巨乳ちゃんが可愛いかったが、俺がデレっと鼻の下を伸ばす前に、周囲の男共からの鋭い視線が背中に突き刺さって冷汗をかいた。
若干1名、隣の薄藍色の髪の女の子の視線も冷たい気がしたが、こっちは多分気のせいだろう……、いや、気のせいだと思いたい。
あんまり巨乳ちゃんと仲良くしてたら、いつか誰かに刺されそうで怖いな……、ヤレヤレ。
混乱したら申し訳ないので補足します。
ハルトは最初から巨乳ちゃんの名前を知りません。
何度も話してるから、名前をどっかで聞いて忘れてしまったと思ってます。




