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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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8 強面騎士のお迎え


 

  「あれ? 新しい靴?」

 次の日。

 迎えに来てくれたクラウン様は、私の新しく購入した靴に気が付いて話しかけてきた。


 ラウンジの扉を開けて、中へ入ってもらったとたんに言われたのでびっくりした。

 やっぱり気になるほど、靴が痛んでいたのだろうか?

 「あ……はい。新しい靴、です」

 恥ずかしくて、下を向いた。


 「森の中を歩くと、靴が傷む。俺は剣の稽古で、すぐにダメになる」

 クラウン様が明るく言ってくれたので、恥ずかしさが消えた。


 「今日は出店の組み立てだから、品物は持っていかなくて大丈夫だ」

 説明書にも書いてあったのを思い出した。

 「はい」


 クラウン様の後に続いて外へ出た。鍵を厳重にかけて、最後にドアへ手のひらで触れた。

『……、……』

 静かに結界を張った。


 振り向いてみたら、クラウン様が馬の手綱を引いて歩いてきた。

 「馬に乗ったことは?」

 歩いて街へ行くと思っていたけれど、もしかして……。

 

 「い、いいえ……」

 行商人さん達は馬や馬車でやって来るから、お世話などするけれど……乗ったことはない。

 それに騎士団の馬は大きい。


 クラウン様のお馬さんは、黒毛のカッコイイ子だった。

 「怖がらなくても、大丈夫だ」

 そっと近寄ると首を動かして、頭をすり寄せてくれた。


 「わ……」

 私の顔へスリスリと、寄せてきた。

 「俺の愛馬のキングだ。リサさんに、撫でて欲しいって」


 黒い瞳が可愛い。

 「こんにちは……、キング」

 私はそっとキングを撫でた。嫌がってないので良かった。


 「キングは人の好き嫌いが激しいのに、リサさんは好きみたいだな」

 「えっ……。嬉しい」

 キングに好かれていると言ってもらえて、嬉しい。

 

 「そろそろ行こうか」

 「はい」

 私は、クラウン様の愛馬に乗せてもらって街へ向かった。


 普段より目線が高くて、景色が流れていくのが早くて……。

 怖かったけれど。

 クラウン様が私の後ろでキングを上手に操ってくれたので、落ちずにすぐ街へ着いた。

 

 街に入る手前で馬から降ろしてくれた時は、足が震えていた。

 「いつもよりゆっくり走ったけれど……。早かったみたいだな。すまん!」

 キングがブルルル……! と鼻を鳴らして、クラウン様の背中を小突いた。


 「い、いえ。送って下さって……。ありがとう、御座い……ました」

 私は頭を下げた。

 それから歩いて、街の中を歩いていった。


 街中、お祭りの準備で大勢の人が忙しそうにしていた。

 看板を取りつけていたり、出店の組み立てをしていたりと楽しそうだった。


 「活気が……、あります、ね」

 私は深く被ったフードを少し持ち上げて、周りを見た。

 「年に一度の【女神様への感謝のお祭り】だからな」


 「その他にもお祭りはあるけれど、一番大きな街のお祭りだから街の人は楽しみにしている」

 馬を引いて私とクラウン様は、歩きながら会話をしていた。


 まだ準備期間なので、出店は出来てない。大きな街の通りの左右に出店が並ぶようだ。

 前に一人で街のお祭りを見に来た時は、入り口でそっと覗いただけだった。

 こうして街の中を歩けるのは嬉しい。


 しばらく歩いていくと、お城の門まで来た。

 「俺はこいつ(馬のキング)を預けてくる」

 「はい」

 クラウン様は、キングを預けるためにお城の中へ入っていった。


 騎士服を着た女性たちが門の近くで、出店を組み立てていた。

 挨拶をしたほうが、いいわよね……?

 昨日、眠る前に色々考えていた。街の人達に会ったら、ちゃんと挨拶をしよう……と。

 

 私は忙しく働いている騎士さん達の邪魔にならないように、タイミングを見て声をかけた。

 「あ、あの……」

 両手をギュッと握って、頑張って声をかけた。


 「あら? もしかしてあなた、クラウン様が招待した【占いの館 ネムノキ】の人じゃない?」

 赤毛の明るい感じの女性が、私に気が付いて話しかけてくれた。

 「あ……、はい。【占いの館 ネムノキ】の、リサと申します。よろしく……、お願いいたします」

 頭を下げた。


 何とか……挨拶できた?

 顔をあげて見ると、にっこりと人懐っこい笑顔で私に近寄ってきた。


 「クラウン様から、聞いてるわ! 私はルル! よろしく!」

 赤毛のショートカットの女性は、ルルと名前を教えてくれた。

 「よ、よろしくお願い、します」

 手を握って、ブンブンと上下に握手をしてくれた。


 「年も近いようだし、お友達になれたら嬉しいわ」

 ルルさんは好意的に言ってくれた。――私とお友達に?


 「う……」

 「う?」

 嬉しすぎて、言葉がなかなか出てこなかった。

 「嬉しいです……」

 自然に口角が、上がったのが分かった。


 「えっ、可愛い……!」

 ルルさんは手を握ったまま、覗き込むように私の顔を見た。

 「え?」

 ルルさんの方が、おしゃれで数倍可愛いのに……。


 「ああ。あなたが、クラウン様が招待した【占いの館 ネムノキ】の人ね?」

 ルルさんの後ろから、年上らしい女性騎士がこちらへやってきた。

 何となく……、睨まれているような気がした。


 「ジル先輩」

 ルルさんが私の手を離して、後ろを振り返った。


 きれいな女性だった。腕組みして私を睨んでいる……。

 「ずいぶんあなた、優遇されているのね。調子に乗らないように」

 注意……、されてしまった?

 

 「ちょっと、ジル先輩! そんな言い方しなくても、いいじゃないですか?」

 ルルさんが私を庇ってくれた。

 「クラウン様のために、忠告しておかないと」

 ジルさん……は、私を見下ろしながら言った。


 クラウン様は騎士団の副団長。私のような者は、気軽に話してはいけない雲の上の人。

 分かっている……。

 ルルさんが私に声をかけようとしたところへ、クラウン様が戻ってきた。

 

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