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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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15 街のお祭り


 

  準備期間が終わって、街のお祭りが始まった。

 街中の家の窓に花が飾られたり、出店の看板が出ていたりいつもと違う街の風景になっていた。

 子供達は、いつもより良い服を着せてもらって嬉しそうだ。


 たくさんの観光客も訪れていているようだ。賑やかで、街全体が活気に溢れている。

 私はライザになって占いをする。

 振る舞いや声を変えて、自信に満ちた態度で行わなければならない。


 一度、移動魔法陣で屋敷へ戻って支度をする。

 化粧は真っ赤な口紅とアイライン。まつ毛を上向きに。

 爪や髪の色を魔法で赤く染める。ローブをライザ用に着替えてまた出店へ。

 魔女ライザでお客さんを待つ。


 噂の魔女の占い。

 興味を持った人たちが、並んでいた。

 リサの姿で開店前に整理券を配っていたので、混乱は無かった。


 『どうぞ。お入りになって下さい』

 ()()()()()の声で出迎えた。


 「失礼します……」

 中へ入って来たのは二十代くらいの女性。緊張気味だ。

 『お座りになって。今日は何のご相談かしら?』

 ニッコリと妖艶に微笑んで話しかけた。女性は促されて座った。


 「あの……。やりたいことお仕事が二つあって、どちらの方向へ進んでいいか悩んでいます」

 どうやら職業選択について、悩んでいるようだ。

 『決められないと……、いうことでしょうか?』

 「はい」


 『そうですか。……ではタロットで占ってみましょうか』

 「お願いします!」


 一人に占う時間は決まっている。オーバーしないように占う。

 占う方法は色々ある。

 出店ではタロットをメインに占って行こうと決めた。


 カードをシャッフルしている時に少し触れてもらって、テーブルへ並べていく。

 現在・過去・未来……。その他のカードを見て、考えていく。


 『……二つのお仕事。現在は、選択の迷いがやはり出ています』

 次々と相手へ、カードの意味を伝えていく。

 『過去は、……どなたかに背中を押してもらった感じですか? とても頼りがいのある方』

 カードを読みながらお客さんに聞いた。


 「そうです!」

 お客さんの顔が輝いた。親しい人の事だろうか。

 『続けます。……周りの協力もあると出ています。一つに絞らなくてもいいと、結果が出ていますね』


 「え? 両方、ですか?」

 お客さんは驚いていた。

『占いはアドバイスで、選択するのはお客様自身です。ただ最終的に、両方の職業をやった方が総合的に良いと出ました』


 「それは……、思っても見ませんでした。でもその方が、将来的に良いかも」

 戸惑っていたけれど、私の方を向いて微笑んだ。

『協力してくれる方もいるようなので、大丈夫そうですよ』


 とたんに、初めに中へ入って来た時よりも笑顔になった。

 「やってみます! ありがとう御座いました!」


 軽い足取りでお客さんは帰っていった。占いのお金はその場で支払いだ。

 遠慮をしたが、少し多めにお金を払ってくれた。

 それから次々とお客さんが、占いのお店に来てくれた。


 一日に占う人を限定二十人にしたけれど、なかなか大変だった。

 愚痴を誰かに聞いて欲しくていらっしゃった方もいたけれど、話を聞いて行くと原因があった。

 良いようへ行くようにアドバイスしたら、喜ばれたので良かった。


 そろそろ最後のお客さんかな……と思った。

 「俺で最後だ」

 そう言い、中へ入って来たのはクラウン様。


 手のけがの手当てをした後、整理券を配っていた。最後に並んだのはクラウン様だった。

 驚いたけれど、占って欲しいことがあると言われれば断れない。

 

 ただ、事件性のないこと・個人的な事を聞いてこないこと・個人名を言わないことは皆と同じ条件だったので引き受けた。

 

 『どうぞ』

 最後なので順番が来そうな時に並んだと思うけれど、騎士服のままで大丈夫だったのか……。

 「よろしく」

 少し緊張しているのか顔が怖い……いえ、強張っていた。


 『どんな事を占いたいか、おっしゃって下さい』

 クラウン様は、強張った顔のまま私に答えた。

 「……だ」


 声が小さくて、よく聞こえなかった。

 『声が小さくて聞こえないわ。もう一度おっしゃって?』

 手の指がモジモジと動いている。よほど言いにくいことだろうか?


 『ここで話されたことは、口外いたしません。安心して下さい』

 トラブルの元なので、占いで得たことは他の人に話さないしお客さんにも約束している。


 「あ……、ああ。……()()()()()がいる」

 下を向いて恥ずかしそうに言うクラウン様を見て、目の前が真っ暗になった。

 「その人が笑顔で過ごせるようになるには、俺がどうしたらいいか教えて欲しい」


 女の人、だろうか? 笑顔で過ごせるように……。

 あまり占い師の方も個人的な事は聞けない。――これは仕事だ。

 今は【占いの館 ネムノキ】の魔女 ライザだ。自分に言い聞かせて顔を上げた。


 『わかりました。占ってみます』

 タロットカードを並べていく。私情は入れていけない。

 クラウン様と、どなたかは分からないけれど占っていく。


 『……クラウン様は、その方を大切に想っていらっしゃるのですね』

 ビクンと体が動いた。……気になる人とは、クラウン様の好きな人なのかと思った。

 

 カードをめくっていく。

 あら……? 

 『……占うのが、難しい方ですね。珍しい』

 入れてないはずなのに、なぜか紛れ込んだ真っ白の予備のカードを並べてしまった。こんなことは初めてだった。

 不思議に思いながら、相手の事ではなくクラウン様のことを占うことにした。

 

 読んで下さってありがとう御座います!

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