13 お手柄
「リサさん!」
お茶をいただいていたらドアが、バンッ! と勢いよく開けられた。
「きゃっ……!」
「クラウン様! ドアは静かに開けて下さい!」
ルルさんがクラウン様へ注意した。勢い良すぎてドアが壊れそうだった。
「す、すまん!」
大きな体を小さくして謝罪した。
「あ……、クラウン様。お怪我は、ないでしょうか? それに、子供達は……」
私は立ち上がってクラウン様に話しかけた。
「ああ。俺は大丈夫だし、子供達も無事に助け出した」
クラウン様は、ニカッ! と笑った。
「良かった……です」
ケガが無くて安心した。
子供達も無事で良かった。
たまたま偶然子供が連れ去られるのを見たから、とっさに後をつけたけれど……。
カツカツ……とクラウン様が私の前まで来て両肩を掴んだ。
「リサさん。もう危険な所へ行かないと、誓ってくれ」
「えっ……」
クラウン様が近い……。そして真剣な顔をして私に言った。
「寿命が縮むかと思った……」
はぁ……と深く息をはいて、私の肩を掴んだまま下を向いた。少し手が震えているようだ。
クラウン様は、私が魔法を使えることを知らない。だから心配してくれているみたいだ。
「リサさん。私も心配しました。あんな危ない所に近づくなんて……」
ルルさんも青い顔をしていた。
「ごめん、なさい……」
二人は本気で、心配してくれているようだ。私は二人に謝った。
「……副団長。そこで抱きしめないと」
ルルさんが爆弾発言をした。抱きしめて……?
「……、……!」
自分で顔が真っ赤になるのが分かった。ルルさん!?
「えっ!? 抱きしめる……?」
クラウン様は、掴んでいた両手をパッと離した。一度ルルさんを見て、私を見た。
かぁぁぁぁ……とクラウン様の顔が、真っ赤になった。
「い、いや。それはもっと、親しい間柄にならないと……!」
ワタワタ……! と手をバタバタ動かして、焦った様子のクラウン様。
私は思わず笑ってしまった。
副団長で偉い人。怖い顔で皆に恐れられているクラウン様。
なのに、取り乱して焦っているなんて。こんな姿は見られないだろう。ちょっと可愛いなんて思ってしまった。
「可愛い……」
「リサさん、可愛い」
クラウン様とルルさんがほぼ同時に言った。
「え? ええ……っ?」
私は困惑した。
「あ、コホン! すまないが、詳しく話を聞きたいから別室へ来てくれないか?」
クラウン様は咳払いをして気を取り直し、私を別室へ案内した。
最近、子供達の攫われる事件が他の国でも増えているそうだ。
街でも何人かの子供がいなくなって、探していたところだったらしい。
「いなくなった子供たちは皆、無事に家へ帰れた。リサさんのおかげだ」
「いえ……。私はただ偶然見て……、お知らせ出来ただけです。でも、無事にお家へ……帰れてよかった」
何人かの騎士さん達が別室にいて、私の話したことを聞いたり、紙に記録していたりしていた。
その中で、クラウン様よりも煌びやかな騎士様が話しかけてきた。
「近いうちに感謝状が贈られるだろう。本当に助かった」
頭を下げられて困った。たぶん偉い方で、貴族の方だろう。
「私は騎士団団長のレオニールというものだ。礼を言う」
レオニール……と言えば、レオニール公爵家の方……だったような。
「い、い、い……いえ!」
私は恐れ多くてブルブルと震えた。
「団長。もう彼女を帰してあげても、良いのでは?」
クラウン様が震える私に気が付いてくれたのか、団長様に言ってくれた。
「そうだな。クラウン、彼女を送ってあげたまえ」
「はい」
私は団長さんからの命令で、クラウン様に送ってもらえることになった。
「お疲れ様。行こうか」
詳しい話は時間がかかって、もう夕方になってしまっていた。
騎士団へ行商人さん達経由で、照明弾やポーションなどの商品を卸している。
作っているのが私だと分かると、騎士の皆さんにお礼を言われた。役に立っているようで良かった。
騎士団本部から門を出て行くと、人だかりが出来ていた。
なんだろう? と思っていたらクラウン様が守るように私の前へ出てくれた。
「あなたが、リサさんかい!?」
おかあさん達が近寄って聞いてきた。
「何の用だ?」
クラウン様が怖い顔で、おかあさん達の前に出た。
「もう! その娘に、お礼を言いに来たんだよ!」
「そうだよ!」
「そうよ!」
門番も警戒していたが、おかあさんたちの話を聞いて持ち場に戻った。
「お礼……?」
戸惑いながら私は、クラウン様の背中の後ろから顔を出した。
「そうだよ。いなくなった子供達を見つけてくれたんだろう? ありがとうね!」
「ありがとう!」
「うちの子も無事に帰ってきたよ!」
目頭を押さえるおかあさんたち。無事に子供達が帰ってきて嬉しいだろう。
「お子さんたちが……、無事に帰って、本当によかった……です」
フードを少し上げて、返事をした。
私は偶然見て、騎士さん達へ知らせただけ……。――ついて行ってしまったけれど。
「なによ……。魔女は怖いって誰かが言っていたけれど、可愛らしいお嬢さんじゃないかい!」
「本当ね! 私の方の腕が太いくらいだわ!」
「彼女は助けてくれた!」
集まっていた人々は、私に次々とお礼を言ってくれた。
こんなに大勢の人に、お礼を言われたのは初めて。
私は嬉しくなった。
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