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忌み嫌われ諦めていた【占いの館 ネムノキ】の魔女の扉を開いたのは、強面の騎士でした。  作者:


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11/17

11 お店とお店の間の道で


 

  「送っていこう」

 クラウン様は、私のことを心配して言って下さった。ルルさんも頷いていた。

 でも……。


 「いえ。大丈夫……です。また明日、準備……に来ます」

 「えっ」


 「ありがとう、御座いました」

 私は頭を下げて逃げるように走り出した。

 クラウン様とルルさんの声が聞こえたが、振り返らずに走った。


 やっぱり魔女は嫌われていた。分かっていたこと。

 でもクラウン様やルルさんのように、好意的に接してくださる人もいた。

 だから少し勇気を出そうと思う。


 

 次の日も、街へお祭りの準備の為に出かけた。


 街に行くと何人か、ひそひそとこちらを見て話していたのが目に入った。

 「おはよう、ございます」

 ペコリと頭を下げて挨拶をしてみた。


 「え、あ! おはようございます」

 「お、おはよう」

 私が挨拶したので驚いていたが、挨拶を返してくれた。まだ笑顔は作れないけれど、挨拶から頑張ってしてみようと思った。


 たぶんぎこちない笑顔になると思うけれど、挨拶から笑顔へ自然にできるようにしたい。


 「あ、リサさ――ん! お早う御座います!」

 自分の出店の前まで行くと、昨日会った騎士のルルさんとジルさんがいた。


 「お早う、御座います。昨日は……。ありがとう……御座いました」

 頭を下げて挨拶をした。

 ルルさんは笑顔で頷いてくれた。ジルさんは腕組みをして顔を背けた。


 「頑張って準備しましょうね!」

 ルルさんは明るくて元気だ。

 私もルルさんのように……は、なれないけれどルルさんのように笑顔で挨拶をしたい。


 「クラウン副隊長は、今日仕事で来られないと連絡があったわ。リサさんへ伝えて欲しいって頼まれていたの」

 昨日は一人で帰ってしまったので、クラウン様が来られないことは聞いてなかった。

 

 「残念よね~。力仕事を任せたかったのに」

 ルルさんはクラウン様に、力仕事をしてもらいたかったようだ。ペロッと舌を出して笑った。

 

 「ルルさん! 早くこちらを手伝いなさい!」

 「あ、いけない! リサさん、またね! 何かわからないことがあったら聞いてね?」

 そう言って、ルルさんたちの出店の中へ入っていってしまった。

 お互い手を振って別れた。


 「……私も準備をしないと」

 ただ……どんなふうなお店にしたらよいか、悩んでしまった。

 また街の中へ行って、お店を見て来ようか……。


 「よ、よし……!」

 握りこぶしをして勇気を出した。私は街へ向かって歩いた。


 通常のお店はもう開いていて、賑わっていた。

 お祭りの出店の場所は割り振られ決まっていて、通常のお店の邪魔にならないように考慮されている。


 他の地域から観光客が来ていて、それなりに込み合っていた。

 ローブを被ったまま来てしまったけれど、旅人でローブを着ている人がいるので皆、気にしていなかった。

 お祭りでは色々な出店が出るので、それを目当てにお祭りが始まる前に来る人たちが多い。


 街の中を一人で歩いている。まさかこんな日が来るなんて、嬉しい。


 ドン!

 「きゃっ!」

 「あ、ごめんよ!」

 背の高い大きな人にぶつかった。進むのが大変になってきたので横道に逸れた。


 「ふぅ……」

 道にたくさんの人が行き来している。

 初めてのことなので慣れてないから疲れてしまった。どこかで休みたい……。


 お店とお店の間の道。そこで休んでいた。

 街の中の細い道。

 あまり奥の方へ行かない方がいい……と昔、おばあちゃんに言われたことがある。

 奥に行けば行くほど暗く、複雑になっていて治安が悪いらしい。


 『人さらいがいるからね』

 そう言われたときは怖くて眠れなかった。


 もう大きくなって魔法も使えるようになったから怖くは無くなってけれど、変な人と関わりたくないので好奇心に釣られて行かない。


 「……飲み物を、買ってこようか」

 喉が渇いたので、どこかで飲み物を売っている所を探しへ行こうとした。


 「――! ……助けて!」

 「え?」


 細くなっている道の奥の方から、悲鳴と助けを呼ぶ声が聞こえた。

 空耳……じゃないよね?


 街の中心の通りを見たけれど皆、忙しそうに歩いていて声をかけても止まってくれなさそうだ。

 間に合わないかもしれない。私は声の聞こえた方へ走った。


 道はだんだん狭くなって、店と店の間の道から民家と民家の間の道になった。

 くねくねと曲がり、途中で分岐路がいくつもあって複雑な裏道。


 走りながら無事に、元の道へ帰れるか心配になってきた。

 「聞き違いだったなら良いのだけれど……!」


 前方に真っ黒なローブを着た怪しい数人が、子供を担いでいるのが見えてきた。

 これ……、誘拐では!?


 走っていたのをとめて、息を整えた。怪しい数人は、まだ私に気が付いていないようだ。

 壁からそっと様子を探った。


 「……これで三人。昨日(さら)ってきた二人で計五人。あと五人は欲しいな」

 「金になるだろう……」

 「取引が……」

 ぼそぼそと話していたのでよく聞こえなかったけれど、攫ってきたとハッキリ聞こえた。


 担ぎながら移動を始めたので、黒いローブの怪しい人達の後を追った。


 裏道の細い通りを、子供を担ぎながら速足で進んで行く黒いローブの怪しい人達。

 離れないよう静かに追っている。――途中で大きな通りが右側に見えた。


 あれ? あの見覚えのある大きな人は……。

 私はまだ前にいる、速足で進んで行く黒いローブの怪しい人達が遠くへ離れないうちに右の道へ進んだ。

 大通りにいた人物の元へ、走って近づいた。

 

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