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僕はドナにかみつくように言った。
「うるさい! 今、タコスの話なんかするな! ゲロなんて言葉を使うな!」
ショウが小声で言った。
「お前も言ってるよ」
だが、ドナがそう言うのも無理はなかった。誰だって、そういうことを考えてしまう。
後方では、ショウのことなど意にも介さず、女子たちが何食わぬ顔で騒いでいる。
「もうあきらめなさい」
「ブスはなにやったってブスなんだから」
「いつまで夢見てんのよ」
ドナはその声の方へ、ちらりと視線を投げた。
そして、その騒ぎから切り離されたように、リザの声がした。
「つらくて我慢できないなら、吐いてもいいよ」
ブロンドの髪に白い肌。白い短いソックスに、薄いブルーのワンピース。
リザがこっちに近づいてくるにつれ、バスの中の空気が変わった。
リザはハンカチを取り出し、黙ってショウに差し出した。
僕は言葉を失い、その光景を見つめるしかなかった。
胸の奥で、心臓だけが激しく脈打っていた。
運転席から先生が声をあげた。
「ショウ! 次の出口で降りるぞ! 我慢できるか?」
ショウはリザに礼を言ってハンカチを受け取り、それを口にあてると、シートの背もたれに背中を預けた。
しばらくして、ショウは背中を丸め、前かがみになった。ハンカチを口にあてたまま、じっと俯いている。
なぜか、そんなショウを見ていると腹が立った。
だが、その姿を見ているうちに、僕は席を立った。
リザが入れ替わるように、そこへ座った。
リザはショウを覗き込み、背中をさすりながら声をかけていた。
その姿を見ていると、まるで天使が降りてきたようだった。
やがて、ハイウェイを降りたバスは、ショウを下ろすために緑の公園の前で停車した。
ドアが開いた。




