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中に入ると、木張りの階段の踊り場に、柱に掛けられた振り子時計があった。規則正しく刻む音だけが、静まり返った家の中に響いている。
僕はウィンドブレーカーのジッパーをゆっくり下ろし、靴を脱いでリュックサックに詰め込んだ。階段は頑丈で、足を乗せてもほとんど音がしない。その静けさが、かえって不気味だった。
薄暗い家の中には、月明かりがわずかに差し込んでいた。歩くには困らない。それでも、どこか落ち着かなかった。
二階に上がると、静けさはさらに深くなった。
三つある部屋のうち、一つのドアをそっと開け、中を覗き込む。暗い部屋には、カバンや洋服、靴が散らばっていた。
僕は息をひそめ、部屋の中へ入った。リザの持ち物かどうか確かめるため、机の引き出しを慎重に開ける。
中にはマリファナのタバコがあった。
手に取って匂いをかいでみたが、それがリザのものだと判断できる手がかりにはならなかった。引き出しに戻し、部屋の中を調べたが、リザのものと思われる品は見つからなかった。
僕はそこにあった靴を履き、部屋を出た。
隣の部屋へ向かう。
廊下を進み、バスルームの前にある部屋に入った。中を探していると、リザのイニシャルが刻まれたペンダントが目に入った。
さらに、口紅や下着も見つかった。
心臓が高鳴った。
それらがリザのものだと思うと、僕は手に取り、匂いをかいだ。口紅を手にすると、唇に引いてみた。
その瞬間、僕は自分がリザになったような錯覚に浸っていた。
パニックに陥ったのは、そのときだった。
不意に、下の玄関で鍵の開く音がした。
続いて、人の声が聞こえてくる。
――三人だ。
さっき僕が入ってきた階段の小窓は、玄関を見下ろせる位置にあった。外へ出るには、その窓しかない。
二階から飛び降りるのは無理だった。
最悪だった。
逃げ場がない。
そう悟った。
息を詰めていると、階段を誰かが上がってくる音が聞こえた。




