規格外なようです
「なんだ!魔力∞って!!!」
カークさんが大声を出す。
え? 声でかいなぁもう〜。
「どういうことですか?」
あたしもカードを覗き込んだ。
『体力100
魔力∞
装備 短剣(ゆあ専用)
使用魔法 一般生活魔法 治癒 他』
って書いてあって⋯⋯。
「何このカード!この間もらったときには書いてなかったのに?!」
びっくりして大声を出してしまったあたし⋯⋯。
「ん、説明してなかった? このカードは持ち主が身につけることによって、持ち主の力を分析っていうのかなあ? それをして、どんな能力があるか書き出してくれるんだよ」
えええええ、すっげ!
すっごいじゃんこのカード! 何でできてんの?!
「例えば僕ならこんな感じ」
カークさんのをみると、
『体力930
魔力400
使用魔法 一般的生活魔法 火
装備 剣』
おおおお、ステータスだ!!ステータス!!
でもすごいかはわかんない。
でも、一般的なあたしが100なら、900ってすごいよねぇ?
きっと上になるほど上がりにくくて、500以上から爆発的にすげーとかなんだろうな⋯⋯ゲームみたく。
「僕は基本は剣で魔法を使う感じだね! 自分の情報がみんな出るからあまり他人には見せるもんじゃないんだよ?」
へー。
「パンツ前後逆とかは書いてないんですね⋯⋯」
あたしがぽそっというと、
「書いてないよ! 分かるのはゆあだけだからね?」
カークさんは吹き出した。
「俺のはこんな感じだな」
ガイさんのも見せてくれた。
『体力1000
魔力350
装備 剣
使用魔法 一般的生活魔法 風 水』
おおー、2人ともきっとすごい!
お腹ピーピーは書いてないね⋯⋯。
「だから、ゆあの∞ってすごいっていうか、なんなの?! なんだよ! あと、使用魔法のとこ『他』って!! そんなこと普通出ないからね?」
カークさんが驚いたようにつぶやいた。
えーすごい! 私⋯⋯。
「でも体力がそれだとダメだな、少し鍛えよう。」
ガイさんはそう言ってあたしをニヤリと見る。
えーやだー、なんかスパルタそう。
「ゆあ、カードはなくしたら駄目だから、これに入れて首から下げて洋服の中に入れとくんだよ?」
カークさんが、紐付きのカードホルダーみたいなのをあたしにくれた。
あたしは、カードをしまうと、首から下げて服の中へ。
「カードは落としたら、再発行もお金かかるし、悪用されたら大変だからね。大切にしまうこと。」
「はーい」
その後、ガイさんが「つま先立ちで歩け!」とか⋯⋯「走れ!」とか⋯⋯わけわかんないスパルタをやりだして、あたしはヘトヘト⋯⋯。
夕方村に着く頃にはもう目が回りそうだった⋯⋯。
1日少しやったくらいじゃ変わんないからね!
⋯⋯毎日はいや!!
『体力+300』とかのゆあ専用アイテムください!!!
「ここはさ、小さめの村ではあるんだけど、温泉地なんだ。だから、大きな町への馬車も出てるんだよ」
カークさんがそう言うと、
「明日乗合馬車に乗って、大きな町へ行こう。でもひとまず温泉だな」
え? 温泉!
あたしは目を輝かせてしまった!
「わー! 温泉行きたい!」
「ゆあの国にも温泉あるの?」
カークさんがあたしを見て尋ねた。
「ありますよー! 気持ちいいんですよ!」
嬉しそうに答えるあたしを見て、ガイさんが微笑むと、
「汗もかいたしな。先に温泉だな。ゆあ、明日も鍛えないとな。馬車の中で空気椅子だ!」
まじでバカこいつ。
1人でやってろなんだけど!
「絶対嫌です!」
あたしはニッコリ笑って答えた。
温泉は、露天だったの。
とっても雰囲気良くて〜、気持ちよかった!!
人もほとんどいなかったから貸切状態で!
あ!体をね、一般生活魔法ってやつの洗浄?でやってみたのね。ピッカピカ!もうさっらさら!
その後温泉に入りました〜!サイコー!
ちゃんと男女分かれててホッとした!
のんびり温泉に入って、出口でみんなで待ち合わせする。
『これからルークの嫁と逢引』
⋯⋯温泉に入ってのんびりして出たら、気が抜けたんだよね。
じっと見ないと出てこないんだけど、たまたま見えてしまった。
その男の人の頭の上のテンプレ⋯⋯
わ! 不倫だ不倫!!
最低!しかも友達の嫁っぽくない?!
目の前に立つ若い男の顔を見る。
「ゆーあ。何見てるの? 好み?」
耳元で声。振り返るとカークさん。
「ん? あーあのですね。あの方、これから友人の奥様と逢引らしいんです」
コソッとつぶやくと、
「えー、しんじらんなーい」
カークさんはその男を見つめた。
ねー、よくないよね。
「何してるんだ? 行くぞ」
ガイさんに呼ばれ、私達は本日泊まる宿に向かった。
「部屋はもうガイがとってあるんだよ。宿の一階が食堂になってるからさ。なんか美味しいものを食べよう〜」
カークさんがニコニコと教えてくれた。
え! ガイさん! 最高です!
「明日は朝イチの馬車に乗るぞ。早く食って寝るんだ」
ガイさんお母さんみたいだね!
でも、お腹ピーピー大丈夫かなぁ?
「なんだ? ゆあ」
「ガイさんお腹大丈夫なんですか? あ、そういえば、お腹ピーピーにヒールって効くのかな?」
あたしはガイさんのお腹に手を当てて、
「ヒール? お腹よくなりますように!」
すると⋯⋯ガイさんのお腹に光が当たり⋯⋯。
「お? なんか体が軽い⋯⋯」
ガイさんがお腹をさすった。
へー、そういうのも直せるんだ〜。
「ちょっと待って! まじで待って! ゆあ! こっち! ガイ、まず部屋!」
キョロキョロしながらカークさんはあたしの手を掴む。
「ちょっとーどうしたんですか? お腹空いてるのに〜」
慌てて宿の部屋に連れてこられたあたし。
カークさんはあたしの顔をじっと見ると、
「ガイ、お腹どう?」
ガイさんはお腹をさすりながら、
「お腹すごく痛かったんだ、ずっと。おさまった。むしろ調子いい。驚いた」
え?! ずっと痛かったの?!
筋トレして歩いてたくせに?!
超人じゃん⋯⋯。
感心してガイさんを見ていると
「やっぱりすごすぎる⋯⋯ゆあ! ヒールは、人目につくところでやったら駄目!」
え?! いきなり?
カークさんがあたしの顔をじっと見て言うからびっくり。
「え? なんかあるんですか?」
「ヒールでお腹の調子治すとか聞いたことないから! ケガを治すものだよ、あれは」
?! え? そうなの?
「でも、下痢もお腹のケガみたいなものじゃない?」
あたしが恐る恐る言うと、
「でも聞いたことないんだ!」
カークさんがあたしに言った。
そうなんだ⋯⋯
「お腹の下痢も治癒なんか聞いたことないよ!ゆあ!やっぱり特別なんだよ!」
えーそうなの?!
「確かに聞いたことないな⋯⋯ゆあ⋯⋯ともう少し気をつけろ」
え?
私がポカーンと2人を見ると
「そんな特別な力があることが他人にわかったら、さらわれちゃうよ!」
ええええ
「奇跡の治癒だっていって、まず金持ちに売られるな」
ガイさん⋯⋯言い方⋯⋯
「そうなんですか?!」
私はオロオロしてしまった。
「ごめんね。驚かせて。さっきたまたま、人気がなかったからよかったけど⋯⋯これからは気をつけて?」
カークさんが私にそう言った。
「はい⋯⋯」
カークさんもお母さんみたいだ⋯⋯




