ゆあ専用アイテムなるものを見つけました
「はぁ〜⋯⋯なんか眠れない⋯⋯」
あたしはベッドに横になる。
あれから冒険者の支度をして、カークさんたちがあたしの分も手配してくれて、今部屋にいる。
なんでも冒険者は一人部屋で各自休むのが普通で、ツインとかの部屋はないんだって。
あと驚いたのが!お風呂がない!シャワーとかもないの!
そしたら体はどうするの?でしょ?トイレとかはあるのよ?普通の水洗トイレ!
で、冒険者はみんな『洗浄』っていう基礎魔法を使えるんだって。
それを使って体の汚れを落とすらしい。
でも、お風呂っていうものの存在自体はあるんだって。
温泉地とかそういう場所もあるみたい。
あたしはそんな魔法使えないので⋯⋯ガイさんがその魔法をかけてくれて、今体はピカピカのツルツルなわけ。
それで!すごいことに気がついたの。
あたしの頭の上に出る文字なんだけどね!
常に出ててすごく嫌じゃない?
嫌だなあと思ったら消えたの!それでね!ジーーーと目を凝らすと出てくるように変化したの!
すごくない?!
これで、四六時中人のパンツ事情とか見なくて済むわけ!でも気になるから見ちゃうんだけどね!
「はあ〜なんか疲れたかも⋯⋯」
明日からはひとまずカークさんとガイさんと世界を見て回ることになった。
どこか落ち着ける場所があればそこまで。
元の世界に帰れる当てがあればそこまで。
このままここに放置してすぐ死なれるくらいならついてこいって言ってもらえて、あたしはついてるよね⋯⋯
2人は良い人なんだなぁ。
そして、ウトウトと⋯⋯眠くなってしまった⋯⋯
「カークさん⋯⋯なんで今日もパンツ前後逆なんですか?!」
翌朝、目の前の金髪イケメンに向かってつぶやく。
朝支度をして顔を合わせると、じっと見たら頭の上に
『今日もパンツ前後逆だけど、ゆあに見つかるかなぁー?』
って書いてあるの!
バカにしてない?!
「あは。まさか見つかるわけないって思ってたんだけど、本当すごいね!それ!!」
カークさんは顔を引きつらせた。
信じてなかったんだね!
「お前たちうるさいぞ」
後ろからガイさんの声。
「おは⋯⋯え?!下痢ですか?!」
ガイさんの頭の上。
『今日はおなかピーピー』
お腹壊しちゃったの?!
しかも、ピーピーって!
可愛い⋯⋯
「⋯⋯なんで⋯⋯そうか⋯⋯本当にわかるんだな⋯⋯」
ガイさんは少し顔色が悪い。
「ガイは、お腹弱いんだよね⋯⋯」
えー可哀想。
「よくあることだから気にするな」
ガイさんはそう言って頷いた。
ガイさんはお腹をすぐ壊すんだけど、もう慣れっこでたいしたことないって言う。でも心配だよねぇ。
なにかお腹に効く薬とかあればいいのになぁ⋯⋯
「ガイさん、白湯飲んでお腹あまり冷やさないでくださいね⋯⋯」
あたしが言うと、
「なんで白湯を飲むんだ?栄養のある肉をガンガン食うんだろ?普通」
え⋯⋯
え?!なにそれ!
「そ、それは逆効果ですよ?!あったかい野菜スープあたりにしてください!」
「えー?!お腹壊したときは栄養ある肉食べるのかと思ってた」
カークさんも横でそう言ってきた。
「⋯⋯それで今まで治りました?」
あたしが聞くと、
ガイさんは小さく首を振り、
「うーん、確かになかなか治らない」
⋯⋯当たり前!!
おかしいってこの2人!
「じゃー温かい野菜スープをまず飲んでくださいね!」
あたしはガイさんにそう伝えた。
「なんか、野菜スープいいみたいだ」
あの後食事をしたんだけど、あたしの言った通り野菜スープを飲んでくれて体調がいいみたい。
いやー良かった⋯⋯
お腹壊してお肉とか聞いたことないもんね。本当。
「じゃーこれから外に出るわけだから、ちょっとバザー寄って、必要なものを買ってから行こう」
カークさんとガイさんに連れられてバザー⋯⋯露店が並んでいる場所へ行った。
そこは⋯⋯沢山の店。
わぁすごい!沢山!!
「ゆあ!人が多いからね!ちゃんとついてきてね?」
「あ、はーい」
2人のあとを見失わないようについていくと、
ふっと小さな露店が目につく。
え?
「どうしたの?」
カークさんがあたしが立ち止まったのに気がついて横に立つ。
「なんだ?何かあったか?」
ガイさんも立ち止まった。
「あ⋯⋯あの⋯⋯あの腕輪⋯⋯『ゆあ専用アイテム』って書いてあるんですけど⋯⋯」
『はぁ?』
ガイさんとカークさんの声がこだました。
ふっと顔を上げて店主の頭を見ると、
『9割ガラクタ1割レアアイテム!(多分)』
はぁ?!
あたしがずっとその店主を見つめると、
「ん?おじょーちゃん?何か御用かな?うちは良心的なお店だよ〜!」
ほとんどガラクタを売ってる店のくせに?!
「で、その、ゆあ専用アイテムってなに?」
カークさんがコソコソ尋ねる。
あたしは腕輪を手に取る。
「うーん」
ジーと見つめると⋯⋯
『ゆあ専用アイテム
左腕に付けると冒険に必要な魔法(生活魔法)取得。ただし右手につけると死ぬ』
は?!
なにこれこわっ!!!
「なんか、左手につけると一般生活?魔法が使えるみたいなんですけど⋯⋯」
あたしがつぶやくと、
「えー?店主ーこれいくら?!」
カークさんが尋ねる。
店主はチラッと腕輪をみて、
「うーん1000ゴールドかな?」
高いの?安いの?
「9割ガラクタ売ってるのに⋯⋯?」
つい声が出たあたし。
「ひぃぃぃーなぜそれを!!!!」
店主は真っ青な顔してあたしを見る。
「9割ガラクタだと?」
ガイさんが店主を睨みつける。
「あ、あぁ!!100ゴールドで!いいです!!」
店主はそう言って頭を下げた。
どうも、宿1泊が5000ゴールドくらいなんだって。1部屋の安いやつが。
だから、トイレとベッドしかない部屋だし食事もないでしょ?だいたい五千円としたら日本円と同じくらいかなあ?
だから⋯⋯この腕輪は100円?
あたしはカークさんに腕輪を買ってもらうと『左腕』につけた。右腕だと死ぬって書いてあるから⋯⋯
大きな腕輪なんだけど、腕にはめた瞬間⋯⋯
えええええ?!
シュルシュルとサイズが縮んで⋯⋯
腕にピタッとハマる。
簡単に外せない?感じに⋯⋯
「えーどういうこと?」
あたしが左腕をみて声を上げると、
「へーそんな腕輪はじめてみたぞ。本当にゆあ専用なんじゃないの?」
カークさんは感心してあたしの腕を見つめた。
「で、一般生活魔法が使えるのか?」
ガイさんが胡散臭そうに腕輪を見る。
「一般生活魔法って何ですか?」
あたしが聞くと、
カークさんが答えた。
「んー昨日やってあげた『洗浄』でしょ?あとは水が出る『飲水』、あとー小さな明かりを出す『ライト』?あとなにかなあ?」
横からガイさんが、
「あとは⋯お湯を沸かす『煮沸』じゃないか?」
「ゆあちょっとやってみて?」
カークさんがその辺に落ちてた瓶をわたす。
「え⋯⋯えっと、『飲水!』」
瓶を握ってそういうと、
わ!!
綺麗な水が瓶になみなみ現れた。
わ!すごい!
「おおおーそれをお湯にできる?」
え?
「うーんと、『煮沸!』」
すると瓶の中の水が⋯⋯
「わあ!!お湯になった!!!」
すすすすすごい!!!!
すごい!!!




