北に向かって旅に出ます!
「はい!お仕事お疲れ様です!」
ギルドで、依頼を済ませて手続き?をしている。
いくつかの依頼をこなしていたら、もう日も傾いて夜。
もうヘトヘト。
ただね!弓がなかなかすごかった。
百発百中!
背中に弓を背負ってあたしは大満足!
「あらぁ。ゆあ様、弓を装備なさったんですねぇ。可愛い⋯⋯」
ひ!
ギルドの受付のお姉さんがあたしの上から下まで舐めるように見つめる。
やっぱり怖い⋯⋯
よ⋯⋯ヨダレでてる⋯ヨダレ⋯⋯
あたしはカークさんの後ろにサッと隠れる。
「さて。報酬ももらったことだし。宿に戻ろう」
ガイさんが手続きを終えて振り返る。
「ゆあ、疲れたでしょ?」
カークさんがあたしを見る。
「はい⋯⋯疲れました⋯⋯」
あたしがそう言うと
「修行は始まったばかりだ!」
ガイさんってばよー
なんかスポ根になってんじゃん?
あたしは大きくため息をついた⋯⋯
たくさん動いたので今日は本当にご飯が美味しくて⋯⋯
あたしはいつもより沢山食べて、そして、さっさと部屋へ戻り。
大爆睡した⋯⋯
明日の朝は北の最果て向かって出発するんだって言ってた。
「北へは、ここからは馬車は出てないんだ。歩いて向かうことになるけど⋯⋯」
カークさんがあたしを見る。
そうなんだ⋯⋯がんばろうあたし⋯⋯
疲れない靴とかないかなぁ⋯⋯
「疲れたら言え。無理をして向かうことはない」
ガイさんはそう言ってあたしを見た。
「この町を出て北へ向かうんだけど、途中にたくさん村や町があるからね。大きな国もあるよ〜!結構楽しいから!楽しいことは楽しもう!!美味しい物も食べよう!」
カークさんがあたしを見てニッコリ笑う。
「はい!」
あたしは頷いた。
そうだよね!楽しいことは楽しまなきゃ!
町を抜けると、目の前にはどこまでも続く大きな街道と、青々とした草原が広がっていた。
「うわぁ〜広ーい!」
思わず声を上げると、カークさんが
「いい眺めでしょ〜?」
と嬉しそうに目を細めた。
「まずはここから2日ほど歩いたところにある『ルノワの村』を目指す。街道沿いなら強い魔物は出ないが、油断はするなよ」
ガイさんが前を歩きながら、引き締まった声で言う。
「はーい!」
あたしは運動靴の底でしっかり地面を蹴りながら、ふたりの後ろをついていく。
お気に入りのスニーカーは、こちらの世界の石畳や舗装されていない土の道でも、キュッキュッと頼もしく踏みしめられた。
元の世界から履いてきて本当に良かった⋯⋯!
「ゆあの履いている靴は変わった靴だね?」
カークさんがあたしの靴を見てそう言った。
「はい!運動靴なんですけど。クッションついてるんで、足の疲れが軽減されるんですよ」
履き慣れたお気に入りの運動靴。
あたしは靴を見てそう答えた。
「うんどうぐつ?へー」
カークさんは感心したようにあたしの靴を見た。
歩き始めて1時間ほど経った頃。
街道の脇の草むらが、ガサガサッと揺れた。
「ひッ!?」
あたしが思わず身構えると、草かげからぴょんと飛び出してきたのは、前に見た『つの生えウサギ』!
わ!角が太いやつだ!
「ゆあ、弓で仕留めてみろ」
ガイさんが足を止め、あたしを見る。
「え、あ、はい!」
あたしは慌てて、つの生えうさぎを見つめ⋯⋯
『ゆあ専用弓で一撃で死ぬ。一撃で倒せば、ルビーに変わる』
え⋯⋯
ルビーって宝石の?
あたしは背中から『死神カラスの魔弓』を構える。
すると――
カチッ⋯⋯ポンッ
手元に矢がないのに、弦を引いた瞬間に光る矢が勝手に現れ⋯⋯
弓自体があたしの腕をぐぐぐっと引っ張るみたいに動き、逃げようとするウサギに勝手に狙いを定める。
「 ロックオン!」
手を離すと、光の矢は綺麗な描線を描いて一直線に飛んでいき――
チュドンッ!!
「ギャッ!?」
ウサギは見事に一発で撃破され、砂になって消えた。
「すごーい!! 百発百中だぁぁ!」
「おお〜! 本当に自動で狙ってくれるんだねぇ。何度見てもすごい!ゆあちゃん、カッコいいよ〜!」
カークさんがパチパチと拍手してくれる。
運動神経ポンコツのあたしでも、これなら戦える!!
「フン、武器の力に頼りきるなよ。だが⋯⋯まあ、悪くない手応えだな」
ガイさんも少しだけ満足そうに鼻を鳴らした。
そして、つの生えウサギが消えた場所を見る。
「あれ?なんかあるぞ?」
カークさんがそういってそれを拾い上げる。
「あの⋯⋯ゆあ専用弓で一撃で倒すと、ルビーが出るって書いてありました⋯⋯」
あたしが答えると。
「まじかー!ルビーは高価だよぉー!」
カークさんはびっくりしたようにルビーを見つめた。
あたしの北への大冒険は、なんだか幸先のいいスタートを切ったみたい?
「よし!角ウサギが出たらゆあが仕留めろ!ルビー狩りだ!」
ガイさんが張り切って歩き出した⋯⋯
うん⋯⋯役に立ってるあたし!




