金策してます!
「ひぇぇ〜」
あたしは情けない声を出す。
「ゆあ!そのままつっこめ!」
ガイさんの声
「ひゃぁぁぁーい!!」
情けない声を出しながら、目の前の魔物の目をナイフで一突きする!
『ギャァァァ』
叫び声を上げて、魔物は砂のように崩れ去った⋯⋯
「うん!いいね!」
カークさんがあたしの隣に立つ。
今、何をしているかというと⋯⋯
あれから、北の最果てへ向かおうって話になったでしょ?
そしたらガイさんが⋯⋯
「ゆあを少し鍛えて、かつ、金策だ!」
とか⋯⋯言い出した訳⋯⋯
なにするの?って思うよね?!
そしたらね!
「これから長い旅になる。女の子を連れて行くんだし、あまり不自由させられないから〜お金貯めとこうね!」
って、カークさん
「あと、少し実戦でお前を鍛える!」
が、ガイさん
と、言うわけで、ギルドにある、魔物退治とかのいくつかの依頼を請け負ってるってわけ。
初めは簡単なやつだって、ウサギにつの生えた可愛くない奴を何匹か倒すとかね。
そういうのだったの。
でも!簡単とか言ってもそういう経験ないもの〜!
あ、でもね、魔物を見ると、倒し方とかが出るの!それがあらためて分かった。
もしかしたら!それがあたしの本当の能力なんじゃない?!
「よし!次はこの森の中の死神カラスだ!」
えー名前が怖いんだけど〜
名前からして強そう。
ガイさんに腕を引っ張られ森の中へ。
「大丈夫だよ〜その魔物も大したことないから〜少し強めなくらいだからさ!」
後からカークさんがのんびり答える。
「やっぱり短剣は至近距離からだから、ゆあみたいな臆病者は弓とかのがいいのかもな」
むぅ〜⋯⋯
臆病者とか言っちゃって!
あたしのいた世界はそういう野蛮なことはしないんです!!
それに!!
ガイさんって王子様なのに!結構野蛮!
王子様って箱入りじゃないの?!
まぁ、口に出すと怒られそうだから言わないけど!
森を進んで行くと、
目の前に大きな何かがいる。
「カラス⋯⋯?」
目の前に真っ黒なカラス!
大きいの!
こっちを睨みつけてる。
じっとカラスを見つめると
「⋯⋯死神カラス 背中を一差しすると絶命。ゆあ専用アイテムで刺した場合、レアアイテム入手⋯⋯」
呟くと⋯⋯
「ほう⋯⋯」
横でガイさんがあたしを見て呟いた。
「魔物の倒し方が見えるなんてほんと便利だよねぇ」
カークさんは感心したように呟いた。
「よし!ゆあ!やれ!」
やだー!!
命令だけは、王様じゃん!!!
やっぱ王子じゃんこいつ!!!!
「前で引きつけるから!後ろに回りな!」
カークさんの優しい声。
わーん!ありがとうー!!!
あたしは
2人に任せると、離れたところへ⋯⋯
そしておそるおそるカラスの背後へ回る。
カラスは
ガイさんとカークさんを見つめている。
「ガァァァァッ!」
死神カラスが巨大な翼を広げ、不気味な鳴き声を上げて舞い上がった。鋭い鉤爪が、一直線にガイさんへと迫る!
「フン、遅い」
ガイさんは最短の動きで剣を引き抜き、正面からその大爪を受け止めた。ガキィィン!と重く鋭い金属音が森の中に響き渡る。衝撃波で周りの葉っぱが勢いよく舞い散った。凄まじい力だ。
「僕を忘れてもらっちゃ困るよ~!」
間髪入れずに、カークさんが風を切って飛び出す。
手にした剣がしなやかな軌道を描き、死神カラスの視界を遮るように目まぐるしく閃いた。カラスは苛立ったように翼を羽ばたかせ、ふたりに意識を完全に奪われている。
い、今!背中ガラ空き!!
ででででも!!!
あいつ飛んでんじゃん!!
届かないよ!!!
でも近づかなきゃ!!
あたしは生唾をゴクリと飲み込み、足音を殺して死神カラスの真後ろへと忍び寄った。
心臓がバクバクといって、持っているナイフを握る手が汗で滑りそうになる。
「ゆあ!今だっ!」
ガイさんの声がした瞬間!
カークさんが剣の腹でカラスの巨体を強力に押し込み、その体勢を完全に崩させた。隙だらけの真っ黒な背中が、あたしの目の前に晒される!
「ひゃあぁぁーーーい!当たれーーー!」
あたしは半泣きで目を固く瞑りながら、手にしたナイフを全力でカラスの背中へと突き立てた!
ドスッ!
「ガァ⋯⋯ッ!?」
カラスが短く悲鳴を上げると、その巨体が眩い光に包まれる。
そして、次の瞬間
眩しい光に包まれたカラスは⋯⋯
金色に輝く弓に姿を変えた。
そして、あたしの足元にコロンと、落ちた。
⋯⋯
え?弓?
あたしはポカンと口を開けたまま、目の前のピカピカ輝く弓を見つめた。
砂になって消えるんじゃなくて、カラス自体が武器に変化したの!?
「ほう……! まさか魔物が直接変化するとはな」
ガイさんが剣を鞘に収めながら歩み寄ってきて、感心したように顎をさすった。
「すごいじゃないゆあ! さっきガイが『弓がいいかも』って言ってたの、バッチリ回収しちゃったねぇ!」
カークさんも目を丸くして、楽しそうにあたしの頭を撫でてくれる。
おそるおそる手にとってみると、驚くほど軽くてあたしの手にしっくり馴染む。
その瞬間、弓に、例の文字が浮かんできた。
『死神カラスの魔弓:矢を構えると自動で狙いを定め、初心者でも絶対に外さない。
ゆあ専用装備
なお、弓矢は構えると自動で出る※無限
ただし、ゆあ以外が使うと爆発する』
すごい!無限だって!
しかもオートロックオン機能付き!?
あたしみたいな運動神経ポンコツへの配慮がすごすぎる!
でも⋯⋯なんでよ
なんでいちいち変なのが入ってるの?!
あたし以外か使うと爆発するの?!こわっ!!
「ゆあ〜貸して!貸してー!」
カークさんが、ニコニコして弓を触ろうとする。
「わわわわわ!!だめです!!あたし以外が使うと、爆発するらしいです!」
『え⋯⋯こわ⋯⋯』
ガイさんとカークさんの声⋯⋯
仲いいなぁ本当⋯⋯




