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12/21

町中探索です!①

『ゆあが描いたクマさんとうさぎさん可愛い』

⋯⋯ガイさん⋯⋯

朝っぱらからそんなこと⋯⋯

そんなに気に入ってくれたんだね⋯⋯

また消えたら描いてあげるからね!


翌朝、

あたしを部屋まで起こしに来てくれたガイさんをジっと見ると

頭にその文字。

『クマさんいいなぁ僕にも描いてほしいって頼んだら嫌われるかな⋯⋯昨日頼めばよかった⋯⋯』

隣のカークさん。

⋯⋯

あたしはカバンの中からボールペンを取り出して手の甲に黒でクマさんを黙って描いた。

本当に2人は⋯⋯

ろくなこと考えないね!!

しかもクマ!!

おかしくてつい笑みがこぼれる。

でも、変なことを考えたりする人より全然いいのかなぁ。


「ゆあ!ああ⋯⋯ありがとう〜」

カークさんが嬉しそうに笑う。

「どういたしまして!」


「さて、朝食を食べよう。ゆあ、荷物は必ず身につけること。この世界は油断するな」

ガイさんがあたしにそう言った。

⋯⋯確かに!

貴重品とか?は身につけるけど、他のは部屋ならいいかとか思うかも。

カードは肌身離さず、カークさんにもらったカードホルダーを首から下げてる。

それ以外の貴重品はないようなもんだけどね。

渋谷から穴に落ちたときにカバンも何もかもどっかいっちゃって、身一つできたもんだから⋯⋯

お財布すらないんだあたし⋯⋯

あたしは袋を背負ってカークさんとガイさんと食堂へ向かった。



食堂の席につくと、さっそく運ばれてきた朝食。

焼きたてのパンと、お肉と野菜がごろっと入った温かいスープ。

うわぁ⋯⋯めちゃくちゃ美味しそう!

口に運ぶとやっぱりとっても美味しかった!


「あ、そうだ。ゆあ」

ガイさんが懐から小さな革の袋を取り出して、テーブルの上に置いた。

チャリン、と重みのある音がする。

「え?なんですかこれ?」

「お小遣いだ。手ぶらで来たんだろう?お財布もないと言っていたしな。これ使え」

「ええっ!そんな、もらうわけには⋯⋯!」

「いいから取っておきな〜?俺からも半分入ってるからさ。女の子なんだから、可愛いものとか買いなよ。ここは色々なもの持ってるからね〜」

カークさんもニコニコしながら言ってくる。


「⋯⋯ありがとうございます!大切に使います!」

あたしは革袋をギュッと抱きしめた。

朝食を済ませて宿を出る。


「さっそく町中を見て回ろう」


大きな町に足を踏み入れると、そこはあたしの知らない活気で溢れていた。

この間までいた町とはまた全然違って、こっちは本当に賑やか。

辺りをキョロキョロ見回してしまう。

石畳の道路の両脇には、カラフルな布の屋根を広げた露店がズラリと並んでいる。

焼き肉の香ばしい匂いや、見たこともない果物の甘い香りが風に乗って漂ってきて、歩いているだけでお腹が鳴りそう。

「へえ、今日は果物屋が多いね〜」

カークさんが珍しそうにキョロキョロ見渡す。

「馬車や人が行き交うからな。足元とスリには気をつけろよ」

ガイさんは周りを警戒しつつ、あたしがはぐれないように少し歩幅を合わせてくれている。

飛び交う威勢のいい商人たちの声、馬車の車輪が石畳を鳴らすゴトゴトという音、沢山の人の話し声。

本当に知らない国に来たんだなぁ⋯⋯って、あたしは圧倒されっぱなしだった。


「欲しいものがあれば言ってね?大して支度してあげれなかったからさ」

カークさんがあたしにそう言ってくれた。

「はい!」

と、ふっと横を見ると⋯⋯

あれぇ?

ここは⋯⋯洋服とか売ってるのかなぁ?

キラキラしたお店だ⋯⋯

雑貨とか、カバンとか、服がところ狭しと並んでいる。

ん??

「あ、あの⋯⋯あの服⋯⋯」

沢山の服の中⋯⋯

「どうした?ゆあ?」

ガイさんが私の隣に並ぶ。

「あの服⋯⋯『ゆあ専用装備』って⋯⋯」

「えー?ほんとー?」

カークさんが驚いた声を出す。

『ゆあ専用装備 ダメージ軽減 ただし、ゆあ以外が着ると死ぬ』

⋯⋯だからさぁ⋯⋯

極端なのよ!

「これは⋯⋯あたしが着ないと被害者が出ます⋯⋯」

あたしが呟くと

「え?」

カークさんが首を傾げた。


「お嬢ちゃん〜気に入ったのあったー?安くしとくよー!」

店主があたしに声をかけてきた。

店主をじっと見つめると

『この呪いの服誰かに売りつけたい⋯⋯』

ええええ⋯⋯

あたし専用服⋯⋯邪魔物になってる!!

あたしは、ゆあ専用装備を手に取る。

うーん

普通の服だよ?

色はピンク。

あたしは今、カークさんにもらった青いポンチョみたいのを着てるのね。

下は黒いズボン。

そのズボンの上にちょうどいい感じの長めのチュニックワンピ!

あたし好きだなぁこういうの。

「おおおお客さん!!その服!!!お気に入りですか?!それねぇー!もう格安!100ゴールド!今ならこの、髪飾りもつけちゃう!」

店主が、可愛い蝶の髪飾りをあたしに渡す。

可愛い⋯⋯

てか、100?!100円じゃん!

しかも!髪飾りつき⋯⋯

「ガイさん、カークさん、この服買っていいですか?」

あたしが服を手に持って2人に聞くと。

「もちろん」

そう言って頷いた。


「どどどどどーぞ!良かったら奥で着替えていただいて!今着ている服は良かったら引き取りますよ?!」

あたしは奥で着替えさせてもらった。


服はあたしにピッタリ。

ほら、今着ていた服は、あたしの形に縮んだんだけど。これは、最初からあたしにジャストサイズ。

あたしのためのサイズって感じ。



着替えて出てきたあたしを見て。

店主は拍手

「ピッタリ!!!よくお似合いで!!かわいいですな!あ!返却はしないでくださいね〜!!」

⋯⋯

あたし専用アイテム⋯⋯

結構邪魔物扱いされてるんだけどー!

「着ていた服はもう着ないから引き取ってもらえる?」

横からカークさんが口を出す。

「へいへい!もちろん!これは、一般的な上着ですが⋯⋯サービスで!1000ゴールドでお引き取りしますね!」

あたしの専用装備⋯⋯そんなに厄介者だったのね⋯⋯



店を出て歩き出す。

「ゆあ!よく似合ってるよ!で、その専用装備は効果はなんなの?」

カークさんがあたしにコソコソ聞く。

「え?ああ、ダメージ軽減らしいです。でも⋯⋯あたし以外が着ると⋯⋯良くないみたいです⋯⋯」

さすがに死ぬって言うのは伏せておこう⋯⋯

「え⋯⋯だからあんなに安かったのか⋯⋯」

カークさんとガイさんが納得したように頷いた。

「ゆあの専用装備だから特別ってことなのかもな。まぁ、似合ってるからいいんじゃないか」

ガイさんはあたしの服をみてぽそっと言った。

「それに、さらっと言ってたけど、ダメージ軽減の服なんか⋯⋯そんな珍しい服聞いたことないからね!」

カークさんはコソコソ私の耳元で答えた。


そうなんだ⋯⋯

あたし専用アイテムは⋯⋯

ちょこちょこあるもんなんだね⋯⋯

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