表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/50

26 報酬

 鉱山の事故の対応から数日が経った。


 受付にいたソラは魔導具でチョウに呼び出された。

 ソラは階段を上がり、チョウの部屋のドアをノックする。


「ソラです。失礼します」


 挨拶して、チョウの部屋に入る。


「ああ、座ってや」


 チョウの指示に従って、ソラはソファに座った。

 チョウはソラの向かいに座り、ソラの顔を見て口を開く。


「先日の鉱山の件なんやけど、今のところソラの見込み通りや。ええ感じに進んでるで」


 ソラは、それはよかったです、と応えた。

 チョウは続けて言う。


「それでな、ソラに臨時ボーナス出そうと思うんやけど」


 チョウの申し出を聞いて、ソラは思案する。


 ――金銭をもらってもいいけど、もっと大きな仕事をしてみたいな。師匠は何て言うかな?意見を聞いてみたいなあ。


 ソラがそう考えた瞬間、突然、頭の中で声が響く。


「坊や。何か用かのお」


 ソラは、突然の体験に取り乱して、あ~、と変な声を上げてしまう。

 チョウは不審そうな表情をして、ソラに話しかける。


「ソラ、どないしたん?」


 ソラは、すみません、ちょっとお待ちください、とチョウに返した。


 ソラは、頭の中でジンに語り掛けるように、もしもし、とつぶやいた。


「念話は初めてかのお。偽装のネックレスの機能じゃ。本を黙読するようなイメージで、言いたいことをはっきりとした言葉にして思い浮かべてみい」


 ソラは、ジンの助言を頼りに、こうでしょうか、という言葉を心に描いた。


「そうそう。で、要件は何じゃ?」


 ソラは、これならなんとか会話できそうだ、と安堵し、ジンに状況を説明する。


「先日の鉱山事故でコストの再見積もりをしたのですが、チョウさんからその報酬をもらえることになりました。金銭でもいいのですが、そろそろもっと大きな仕事をしてみたいと思っています。師匠の意見を伺いたいと考えたら、突然、念話が繋がってびっくりしました」


「鉱山の件はよくやった。報酬として、独立して会社を作るのはどうじゃ? 商業ギルドの子会社にすればチョウも納得するじゃろう。準備で一か月休職。オフィス賃料三か月持ちで交渉せい」


 ソラは、分かりました、ありがとうございました、とジンに返した。


 ソラは、チョウを見て口を開く。


「お騒がせしました。ジン様に念話で報酬の件を相談していました」

「さよか。でどうすんの?」


 チョウに促され、ソラは希望する報酬を述べる。


「報酬として、金銭でなく商業ギルドの子会社がほしいです。それと、準備で一か月休職。オフィスの賃料三か月分負担をお願いしたいです」


 チョウは、ジンが同意しているとなると反対するわけにもいかず、しぶしぶ応じる。


「分かった。ただ今後も、うちの相談に乗ってくれるやろか」


 ソラは、もちろんです、と答えた。


 チョウはオフィスについて付け加える。


「商業ギルドの隣の建物の三階が空いてるから、オフィスとして使えるで。家賃は魔石代込みで月40万円。五か月目からソラが払うことになるわ。それでええんやな」


 ソラは、家賃ってそんなにするんだ、と思いつつ、はい、と同意した。


「今、お借りている寮は一か月休職中、荷物置き場にしていいですか?」


 ソラの問いかけに、チョウは、ええで、と返答した。

 ソラは、ソファから立ち上がった。チョウも立ち上がり、お互いに向き合った。


「短い間ですが、チョウさんには大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いいたします」

「ああ、鉱山の件は助かったわ。今後もよろしゅうに」


 ソラは挨拶を終えると、失礼します、といってチョウの部屋を出た。


 ソラは受付に戻ると、テルに向かって話しかける。


「テルさん、ちょっといいですか。ボクは今日で商業ギルドを辞めることになりました。短い間ですが、大変お世話になりました」


 ソラの挨拶に対して、テルは驚きの声を上げる。


「え、ソラちゃん、いきなりどうしたの?」


 ソラは、さっき決まったことをテルに説明した。

 テルは安堵したように言う。


「いなくなるわけじゃなくて、一か月休んだ後、隣の建物に移るのね。それなら、また会えるわね」

「はい。また食事でもご一緒させてください」


 ソラの返答を聞き、テルは立ち上がってソラを抱きしめた。

 ソラは、照れながら、あわてて周りを見回す。


 ――お客さんはいないけど、ネタさんが、すごい目つきでこっちをにらんでいる。揉める前に辞めることになってよかった。


 ソラは、では、失礼しますと言って、お辞儀をしてテルから離れ、ネタに挨拶して、三階の自室に戻った。


 ――師匠に報告しないと。


 ソラがそう考えた瞬間、再び、頭の中でジンの声が響いた。


「坊やか?」

「はい、師匠。チョウさんに了解いただきました。この後、どうしましょうか?」

「キイに迎えにいかせる。商業ギルド前で待っておれ」


 ソラは、急いで美少女服から普段着に着替え、荷物をバックに詰めた。


 ――ここには二週間しかいなかったけど、テルさんは親切だったし、現実世界のいろいろな課題を解決できたし、楽しかったな。


 ソラは、この二週間のできごとを振り返り、それから部屋を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ