第20話
王都フォカリオ。ここはリュフ王国の首都である。煌びやかな王城が中心にそびえ立ち、その周囲に大規模な街が存在する都市だ。
ナギナを拾って2日、彼女に合わせて少しペースを落とした分到着が遅れたが、このフォカリオに到着した。
衛兵による検問があったが、クレアもナギナもギルドカードで身分を証明し、入都税として合わせて100リュフ、大銀貨1枚を支払った。(ナギナの分は立て替えた。)
ナギナがギルドカードを持っているとは思わなかったが、なんでも冒険者としてのギルドカードは東国でも共通のシステムらしく、よほど未開の地でもない限りは使用できるそうだ。冒険者制度、そして冒険者ギルドという組織の巨大さが少し分かる話だった。
「フォカリオには入れましたが、これからはどうしますか?」
ナギナがこちらを見上げるように聞いてきた。
「まずは宿だな。それから冒険者ギルドに行こう。こっちに来る時に終わらせた依頼の報告も残ってるしな」
とクレアが答える。
「冒険者ギルドですね。こちらの大陸のギルドには行った事なかったので楽しみです」
「ん?ここに来るまではギルドに寄らなかったのか?東国から海を渡って来たならそっちの国のギルドがあっただろう?」
クレアが訝しむように聞くと、ナギナは少し慌てたような顔をしながら、
「ちょ、ちょっと色々あってギルドには寄らなかったんですよ。さぁ、衛兵さんの言っていた宿に行きましょう。さっきお手頃でサービスもそこそこらしい宿を聞いておきましたから」
と話を打ち切り、ナギナが先導するように歩き始めた。
クレアは軽くため息を吐き、
「いつの間に聞いたんだ?まぁ一応彼女に任せてみるか」
と付いて行った。
彼女に付いて行くと、その宿は大通りから路地に入った所にあり、「蒼炎の女神亭」と書いてあった。店に入ると店内は綺麗にしてあり、ナギナがカウンターにいる店の女将と話している所だった。
「あ、クレアさん。なんとか大丈夫みたいですよ。2人部屋を1泊銀貨5枚で2食付き、火魔法でお湯が沸かせるならシャワーを銀貨1枚で借りられるそうです」
満面の笑みで交渉成果を話して来るナギナ。一般的に2人部屋で2食付きだと銀貨7枚~大銀貨1枚程度は掛かり、更に王都ならもう少し高いそうなので、これは破格と言える安さらしい。
「安いな。それならとりあえず1泊と食事を頼む。シャワーは欲しいが私は火魔法が使えな「私が使えますよ?」ん?」
ナギナがにっこりと笑ったまま、
「火魔法なら私が使えます。旅で使用した道具から考えて、クレアさんが火魔法の適性が無いだろうとは思っていましたから、その位はさせて下さい」
と売り込んできた。
「それならシャワーも頼もう。銀貨6枚だな」
女将に銀貨を渡し、鍵を貰う。すると女将が笑顔で言った。
「それではナギナさんもお連れの方もゆっくりとなさってください」
「はい、女将さん今日はよろしくお願いします」
こちらが何かを言う前にナギナが言い、俺たちは押されるように部屋に行った。先に店に入っていたし、ナギナはたぶん自己紹介をしてたのだろう。
部屋に入り、少しくつろぐ。やはりベットがあるのは寝心地が違う。少し俺もクレアも寝そうになるが、ナギナがそこに
「クレアさん、一緒にギルドに行きませんか?奢ってもらってばかりも心苦しいので、仕事を受けたいです」
と声をかけてくる。
「あぁ。そうだな。私も少し旅の補給が必要だろうし、それも兼ねて何か仕事を受けよう」
クレアも賛同し、俺たちとナギナは冒険者ギルドに向かった。




