第69話「イゴちゃんモーちゃん」
「ふぁ〜あ。」
風呂から帰ってきた俺は出発の時間まで寝かせてもらった。
体を起こし顔を洗い着替えを済ませて魔法カバンに荷物を詰めていく。
「...ハルートに頼りきりだったんだな。」
こういう荷物の類は知らぬ間にやつが終わらせていた。
一人でやるのは久々でここでもハルートがいないことを実感させられる。
「...はぁ!みっともねぇ!」
俺は顔をパンとたたき小さなマズルの天辺を人差し指で擦り気合を入れた。
「ダイゴぉ!まだ気持ちわりーんだよ!直してくれぇ。」
下に降りると二日酔いのシャルに絡まれる。
「はいはい。ルメイリス!フィール!」
もはや頼れるみんなのお医者さん!
て感じに慣れてきたので中解毒と体力回復の魔法をかけてやりマカフィーにも同じようにしてエーテルを飲ませた。
「ふぁ〜寝たりね〜!船に行ったら寝酒して寝よう。」
息をするように中級魔法を使う様もみんなにはどうやら当たり前になってきたようでこうやって便利屋になることが日に日にどんどん増えていく。
ったくよぉ!テレポートおじさんだったり頼れるお医者さんだったり俺は本当は料理人なんだからなぁ。
「ねー!ダイゴさん!ごめんね!ちょ〜ッくら街で荒稼ぎしたらね!淋クラもらっちゃって...喉も痛いし、直して貰えますか?」
「はぁ...薬飲んだら?」
やっと落ち着いて時間までアベルの淹れてくれたお茶を飲んでいたら今度はルカが馬鹿なことを言うので俺はため息をつく。
「飲んだんだけどすぐに治らないから船で商売できないの!占いだけだとたいした稼ぎにならないし。」
「はいはい...!ルメイリオン!フィーラルド!」
めんどくさいので上級魔術をかけて即直してやった。
本当は徐々にやった方が副作用が出にくいが腹立つしこいつなんにも反省してないから少しお灸を据えるつもりで強烈に即治療を行う。
「あひ...っ!ちょっ!患部熱いし!喉も痛い!熱っぽいよ!いたいよ〜。」
当然だ。
無理やり細胞を活性させて毒を抜いてるわけでそれなりに本来ならそれをカバーするためにもう少しゆっくりとマナを調節しながら回復させていく。
この出る先になっていきなり自業自得とも呼べる類の病気を直せと言われたら少しくらい仕返ししてもいいかなぁと思ってしまった。
こいつ常習犯だし懲りてないし...。
飲みすぎは俺もたまにやってしまうからいいけど...性病はね違うでしょ!
「ったく。俺は便利屋じゃねぇぞ。
その点アベルは偉いなぁ。商売上そういうのが必要な瞬間もあるだろうに...俺のところにそういうことで来ないもんなぁ。」
「あはは...僕は必要とあらばすぐ下ろせるくらいの魔薬を持っていますから...もしなってしまっても副作用はかなり強烈ですがそれで直せますし。
もし治療中体を使わないといけない場面になってしまったらそれなりに転換するすべもありますので。」
す、すげぇなぁ本当に斜め上の答えが帰ってきたよ。
「はえ〜!ルカも馬鹿の一つ覚えみたいに体売ってないでアベルを見習ってここぞと言う時に売れよ。そりゃなったら直してやるけど子供できたら俺にはどうにも出来ないんだからな。」
「...はぁい。」
「お!みんな揃っとるな?そろそろ行くでぇ。」
そこへ丁度アルスが降りてきた。
「ダイゴくん!みんなまとめて港に頼めるかぁ?」
あ、はーいどうやら今度はテレポートおじさんの出番のようです。
「...みんな俺の近くに集まってくれるか?準備できてないやついないかー?」
みんなが口を揃えて大丈夫と言うので俺は港までフープルした。
ったく...こいつらといると落ち込む暇もありゃしねぇや。
そんな瞬間に救われてんだけどな。
乗船の手続きを済ませると俺は部屋に荷物を置いた。
荷物を運んでて思ったけどめんどくさいからこの暇な時間を期にストックの魔法を習得することにした。
部屋はモーティと相部屋。
シャルとマカフィーとルカは三人の相部屋で、アルス、アベルも相部屋だ。
途中部屋をシャッフルしても面白いねとマカフィーが言い出したので恐らく明日はまた違う部屋になると思う。
「はぁ〜シャッフルしないでお前と二人だとらくでいいのになぁ!女の子と相部屋じゃ落ち着かねぇし煩悩にまみれそうで嫌だぜ。」
俺が思わず愚痴をこぼすとモーティはがははとわらう。
「全くだぜ!お前とならずっと酒飲んで笑ってりゃあ済むけど女の子とは何話したらいい変わりゃしねぇ。」
「とくに俺アベルはダメ!可愛くてドキドキしちゃうんだよ!シャルはところ構わず脱ぐからそれもヒヤヒヤするしさ!マカフィーはなんだかんだあわへてくれそうだからいいんだけど!
...ルカだと寝かせて貰えなさそうだし一生料理の議論してしまいそう。」
「あははは!わかるぜ!俺はシャルみたいな子がタイプだからなぁ。脱がれると勃っちまいそうで...仲間にそういう気持ちになりたくねぇからひっしにきもちを抑えててもあいつらにはわかんねんだろうなぁ。」
...ハルートはこういう下世話な話には乗ってくれないからなぁ。
こういう時モーティはありがたいね。
「はぁ〜!それにしても部屋綺麗だなぁ。アクアベリーから乗った客船雑居房スタートで途中から高級部屋だったからこういう普通でシックな部屋最高だぁ。」
「あはは!ロイズ~マリジャナル間は船の数が違うし距離も近いからな!使うやつ多いしカジュアルやスタンダードでもこういう部屋になるんだぜ。」
「まじぃ!?そりゃいいなぁ。帰りはフープルしないで船で帰ろうかしら。」
「あはは!ちなみに料理もそれなりに美味いぞ!ビュッフェ形式で魚メインさ!」
「オサカナサン...ジュルリンチョ。」
「なんじゃその顔!変な顔だなぁ!あはははは!」
俺がヨダレを垂らして猫のポーズをするとモーティは爆笑した。
あぁこうやってハルートにも笑われてたな。
「げっ!」
そんなことをしていたらアルスから電話がかかってきた。
「ダイゴくぅん?なぁ!スマン!アベちゃんが女の子の日なってしもてん!船酔も込みでダウン中やねんけどシャルちゃんかマカフィーちゃんに上手いこと言って薬とナプキン持ってきてもらえるか?」
「ハァ?なんでそれを俺にいうの?」
「そりゃ君から言われんのと俺から言われんのとじゃキモさの度合いがちゃうやろ!すまんけど頼むわぁ。ストックの中にもあらへんかった!コンドームとヘルペス薬はアホみたいにあんのにな!ガハハ!」
「...はいはーい。わかりましたぁ。」
俺は電話を切ってそれとなぁくマカフィーにメッセージを送っておいた。
彼女なら信仰魔法もあるしなんかいい感じにしてくれるだろ。
つーかこっちは早速ハルートが見つかった電話かと思って焦ったわ。ったく、アルスめ!
俺は夕飯のオサカナサンのことで頭がいっぱいなんだからァ!邪魔すんなよな!
「大丈夫か?電話。」
「あぁ、スマン。アルスからアベルが体調崩しちゃったからマカフィーに薬を持ってくるように頼んでくれって内容だった。なんか看病してるみたい。」
「あちゃ〜!線が細そうな子だもんなぁ。直してやらんのか?」
「あぁ、ちょっとデリケートな内容だからな。女の子同士のがいいと思って。」
「あ〜なるほどな!心配だな。」
「まぁ、マカフィーがいれば大丈夫だろ!それよりさ!船内少し歩いてみないか?」
「おぉ!いいな!」
モーティは尻尾をぶんと振るとタンクトップの上にアロハシャツを着た。
「何それ!めっちゃ似合う。」
赤とオレンジのそれはモーティの蒼い素肌に意外と合っていて南国感マシマシだった。
「あはは!だろ!!これはマカフィーが買ってきてくれたんだ!モーちゃんに似合うって!」
「へー!てか、モーちゃん!?何それ!あはははは。」
「な!俺も最初言われた時わらっちまったよ!」
「俺もそう呼んでいい?」
「あはははは!いいぞ!じゃあお前をダイって呼ぶわ!俺。」
「おう!イゴじゃなくて良かったァ。」
「アハハハハハハハハ!イゴって!」
俺たちはイゴにしばらくツボったあと着いてそうそう俺も脱ぎ散らかしていたので身なりを少々整えて出かけることにした。




