第53「ロイズの休日」
俺はモーティと待ち合わせをしローズの街のギルドへとやってきた。
「すみません、冒険者登録したくて。料理人ギルドの方のギルド証明ならあるみたいなのですが。」
「畏まりました。これから登録する方の所属予定のパーティはありますか?」
受付のキビキビした狼の獣人の男は俺を見た。
「はい、登録するのは後ろにいるこのモーティというもので所属するのは俺のパーティになるんですが。」
「畏まりました。ではお客様のギルドカードとお連れ様の料理人ギルドのギルドカードをご提示ください。」
「はい。」
モーティから料理人ギルドのギルドカードを受け取ると俺は自分のギルドカードと一緒に男へ渡した。
「ダイゴ・マツカゼ様のパーティにモーティ・シャンガフ様が所属するということですね。お間違いないですか?」
「はい。」
「ちなみに、パーティ名未登録となっておりますがお決まりになっていたら今お伺いいたします。如何しますか?」
「ファタリテドゥデステンでお願いします。」
だいぶ臭い感じなのだが俺は仲間を運命を共にできるものだと考えている。
こいつらが助けを求めるなら全力で助けるし逆も然りだと思う。
「変わった言語ですね。」
「ええ、共通語とは全く違うものなになるのですが古語を勉強することが好きなので...。」
受付の一言にヒヤッとして適当なことを言って誤魔化したがほじくり返せばこの世界にも共通語に統一される前にはフランス語っぽい言語があったかも?
「ありがとうございます。チーム登録できました。続いてステータスを測っていきます。こちらのモーティさん水晶へ手をかざしてください。」
「はい。」
モーティは大きな手を推奨にかざす。
内側は白く外側が青い彼の肌が光に照らされて輝くと、おなじみのステータス画面が出てきた。
ちなみに登録済ギルドカードに手をがさても同じように自分のステータスが見れるよ。
モーティのステータスは
Lv 39
HP 1200
MP 426
体力 650
攻撃 300
防御 100
魔力 115
素早さ 85
だいぶタンクっぽいステータスだな。
職業はエレメンタルウォーリアーとなっており平たく言うと丈夫な魔法戦士だな。
属性攻撃なんかを得意としてて自分の魔法を武器や既に付与したり相手の耐性を下げたりなんかが得意な職種だ。
「おぉ!思ったより体力あるなぁ。」
「あはは!俺は経営者だったからな。後でアルスさんのステータスも覗いてやろうぜ。」
「そりゃあいい!俺より弱かったらしっぺだしっぺ。」
「ンンッ。」
俺らがふざけていると受付が咳払いする。
「おっとすみません。続けてください。」
「はい、登録の方は以上になります。ただいまギルドカードを発行してまいりますので少々お待ちください。」
しばらくして男が戻ってくるとモーティの料理人ギルドのカードに冒険者ギルドの機能が付与されたものが帰ってきた。
運転免許みたいにチェック項目があってランクの横の冒険者、料理人、トレジャーという欄があるがその冒険者の欄にチェックが入ったようだ。
その後は寒さに弱いモーティの寒さ耐性のアクセサリーを買ったりラーメンがあるとの事で食べに行ったりサウナに行ったり...。
すげぇ楽しい一日だったぜ。
最後は都度払いジムに行って汗をさらに流し温泉に行き、風呂に入った。
ジムではモーティはサメならではの大きなしっぽを振りながら筋トレに勤しんでいて迫力があった。
この世界のジムは魔法コーナーがあったりして魔道具やら魔力を高めるための器具があるので俺はそっちをメインにやった。
体が資本ということでレッグプレスやら軽めのベンチやらもモーティに教えて貰いながらやったが容赦がないためすぐヘロヘロになった。
今度シャルも連れてこよう。
「よーし!風呂も入ったしそろそろ帰るかー!」
「おう!そうすっか!明日からよろしくな!」
「あぁ!こちらこそよろしくな!」
歯を見せてニカーッと笑うモーティ。
俺も負けじとニカーッと笑いかえした。
モーティと解散したあとは転移で商会まで戻りみんなのお茶会に参加した。
「ねえねえ、ダイゴ!このローブ可愛いでしょ!アルスがプレゼントしてくれたの!防寒なんだって!」
「ダイゴー!俺も鎧新しくしたぜ!聖騎士用のやつは古くなっちまってたし...な。心新たにプラチナメイルだぜ!」
美味しいクッキーには目もくれず二人は装備品を俺に見せびらかしてきたが、俺は目の前の美味しすぎるクッキーに気を取られて生返事をしていた。
「おう!すげーな!」
「ちょっと聞いてるぅ?」 「きいてんのかぁ?」
「それより食ってみろよ。このクッキー...マカダミアとピスタチオかな?香ばしくてたまんねー。」
「お前は食いもんばっかだな!...どれどれ...うっま!なにこれ!ちょマカフィお前も食えよ。」
「えー?そんなに美味しいの!?...う!美味しい!なにこれ!」
「ハルートも装備貰ったのか?」
俺がテーブルの上のクッキーを皿ごとハルートに差し出すとハルートは一枚それを手に取り食べながら答える。
「私はベールとローブとその下履くスパッツなんかを頂きました....って本当に美味しいですねこのクッキー。」
「いいなぁ!俺はまだ何も貰ってねぇよ!アルスは?」
「買い物に出かけましたよ。ダイゴの分も用意していたみたいですから大丈夫ですよ。」
「アベルは?」
「明日からは留守番になるからと早めに休んだようです。」
「ほーん、クッキー食ったかな?」
「クッキーの心配でしたか。」
あははとハルートは笑っているがこれ普通じゃない。
甘く焦げたマカダミアと香ばしく歯ごたえのあるピスタチオがふんだんに使われなによりクッキー自体もバターの香り強く硬すぎず柔らかすぎずサックサクで甘さはちょうどよくナッツの甘みとバターの奥にある砂糖の甘みが合わさり調和の取れた味なのだ。
全く!こんなもんバリバリ食うもんじゃないぞ!
ブランデーかとびきりうまいコーヒーで食べたいな。
ひとまず箱が落ちていたのでその箱を写真に収めておいた。
あぁ..これをさらに出す前にどんなふうに入ってたのか知りたかった。
開けた時の香りは?知りたい...買いたい。
常備しておきたい。
皿に載ってた分も食べ終わってしまい何も無くなった箱の匂いを嗅いでいたらまたみんなに笑われた。
だってこれ!すげーんだって!
箱にまでこんなに匂いが残るんだぜ!?
お菓子ってのは料理よりもっとごまかしが効かないんだ!
あぁ〜これを作ったパティシエを俺のレストランに引き込みたい。
そこからしばらくアベルを待ったが戻ってこないので俺たちはとっとと眠りにつくことにした。
次の朝、まだみんなが眠る中一人だけ準備を終えた俺が下に降りると意外な人物が居た。
「久しぶりです!ダイゴさん!」
「お!ルカじゃん!どうしたの!」
「実はダイゴさんの飼い主に昨日アクアベリーで会ったんです!
アナタのことで意気投合してうちで飲み直そうや〜もしなら多分帰りはダイゴくん送ってくれるさかいにと言われて遊びに来ました。あ、大丈夫ですよ、手は出されてないです。」
「んー?待って、飼い主ってアルスのこと?勘弁してよ。」
「あははははは!すみません、ダイゴさんにそう言ったら面白いよってアルスさんが言うのでつい。あ、送って欲しいのはそうなんですがその前にお願いしたいことがあって。ハルートさんが起きる前にお願いしたいです。」
ルカは相変わらず抜群のスタイルに美しい水色の毛並みと整った顔立ちをこちらに向けオネダリをしてきた。
「はぁ...なんだ?まさかソープでなんか貰ったから治せってんじゃねーだろうな。」
「えぇ!なんで分かるんですか!ガンジタとコンジローマ食らっちゃって出勤停止中なんです。見ます?」
...見たい!というのは置いといて...はぁ...こいつもかよ。
「いい。キモそうだから。カリフラワーみたいになるんでしょ?」
「ええそりゃあもう!見事なカリフラワーです!マリネしてもいいほどに!」
「お前!キモイこと言うなよ!マジで。はぁ....。」
「あ、忘れてました!レストランの件で少し進展があってお伝えしたいこともあるのでそれもあって来たんです。」
「それを先に言えよ!」
「じゃあ先に治してください。」
「はぁ...医者にいけよ。それか自分でやれ。」
「あ、私お医者さんに行くと基本家族に居場所バレちゃうんで自力か違法な薬で直してます!それに回復魔法ほぼ使えないんです。というか魔法は中級程度までしか会得してません!その分料理スキルを磨いてカバーしてます!
ていうかガンジタは繰り返すので本当に困ってて。お客さんにはヨーグルトメーカーなんて呼ばれるんですあはははははははは。」
グフッそりゃちょっと面白い。
「いいか!ヨーグルトメーカー!直したらさっさと教えてくれよ。」
「ちょっとお!そんな尊厳を傷つけるような呼び方しないでください!」
「ご、ごめん。」
「冗談ですよ!レストランでもソープでもお客さんから散々カスハラ受けてますから。あはは、さっお願いします。」
幹部が見えないのはちょっと厄介だがカリフラワーは見たくないので下着になってもらいその上から治すことにした。
それだけでも充分刺激的で...なんつーかその下半身が反応しちまったけど悔しいぜ。
「...ルメイリス...ディスパル...フィーラル。」
基本はアルスにやったのと同じ事だが、解毒の魔法をかけた後、今回はガンジタなので...菌の増殖を抑えるために痺れを治す魔法を応用して少し改変を加えてかけてみた。
それから免疫向上のために内臓機能を回復のため超級の回復魔法を使用する。
全く朝から何させとんねん。
「終わったぞ。見てみろ。」
ルカはその場でパンツの中身を確認する。
「わぁ!凄い!治ってる!コンジローマほんとに厄介で困ってたんです。ありがとうございます。」
「で?直したんだからさっさと教えろ。」
「それがですね...うちの親が経営するレストランで従業員を募集し始めたんです。」
「...それと俺たちの計画になんの関係が?」
「鈍いんですか?チャンスってことですよ。一応この世界で一番おいしいと呼ばれてるメルディアンなわけです。ダイゴさん目線でどこが至らないのかを見てくるチャンスって言ってるんです。それにアルスさんを通して料理人ギルド経由で依頼を受けたことにすればハルートさんや新しいお仲間モーティさんでしたっけ?のような方も一緒に連れていけばAランクとSSランクの料理人ですしダイゴさんも紛れこめるって話ですよ。活躍によってはダイゴさんもSランクまでは一気に行けるわけです。」
「おぉ...なるほど。一石二鳥なわけね。」
「ルコニアまで行く必要はありますが...。」
「おっと...ルコニアか、もしかしたらハルートは出入りできんかもしれないな。」
「そうですよ...ね。そこが問題だと思います。」
「それに今はアルスから頼まれた依頼もこなさないとだし...どうしたものか。」
「チャンスは今しかないのでこちらを優先させてもらった方がいいのでは?」
「恐らく...それは難しい。アルスはグレイスランド代表のシェリーさんと契約をなにやら交わしていたようだし今日出発していつまでにキメて帰ってくるという予定も立てていると思う。」
「んーー...そうですか。」
「...まぁ仕方ねぇ。レストランに関してはまたチャンスがあるさ。それにお前が出してくれると言っていた資金だがな自分で集めてみたいと思ったよ。まずはこの世界中を回って仲間になって冒険してくれるかつ将来レストランをやってくれる奴らを見極めて集めるのもありかもしんねぇと思った。それにフープルできる先は世界中にあった方が料理に関しては有利だと思うしな。」
「それって...だいぶ遠回りじゃありませんか?」
「かもしれんな。だが俺が納得する形で進めたいんだよ。せっかくなら世界の食文化ももっと知り尽くしたいしな。」
「そう...ですか。ダイゴさんがそれで良いのなで私は応援します。」
「すまねぇな...だいぶかかっちまうかもしれんねーけどお前に追いつくからお前も料理の腕落とさねぇようにな。
この後はソープ戻んの?」
「...その事なのですが良かったらせっかくなので私も旅に連れてってくれませんか?」
「ん?まじ?」
「大マジです!今決めました!昨日アルスさんからダイゴさんの料理についても聞きました。私も食べたい、ていうか私がいれば料理人ギルドの方の依頼も高倍率の物を紹介できますし...なんならお料理勝負の件そこで決着をつけてもいいです。その後どっちがシェフになるか決めておいてもいいです!」
相変わらず俺が比にならないほど猪突猛進な性格だな。
「あぁ...まぁお前がそれでいいならいいけどよ。この後おそらくすぐ冒険出るぞ。」
「もちろんそれにもついて行きます!」
「時差ボケとかないの?アクアベリー今頃が夜でしょ?」
「あはは!昨日アクアベリーで昼飲みしてる時にアルスさんに声をかけられてそっから起きてますけど全然よゆーです!ソープ嬢の体力舐めないでください!」
「別になめちゃないけど...そんなんで途中でバテないか?足手まといになるんだったら考えるぞ。」
「やだなぁ〜ダイゴさん?その時はあなたがいるじゃないですか〜。」
「はぁ...ダメって言っても着いてくんだろ?もういいよ。死んでも知らんからな。」
「あははは〜そん時はそん時ですって。」
「...お前は本気でそう言ってそうで突っ込む気にもならんな。ていうかいいのか店は?」
「あぁ、大丈夫です!電話ひとつで辞めれるんで。また復帰したくなったら復帰しますし。そういう業界なのでそこは気にしないでください。女の子は沢山いますからね。」
「そういうもんなのか。つーかみんなにも聞かないとな。ハルートのことは黙っててやるから大人しくしとけよ。」
「はい!もちろんです!盗聴器もあなたたちがアクアベリーを出る前には外しました!」
「つーか、ハルートって魔法のこと詳しいのによく気が付かれなかったな。」
「あは...それは私がトリックスターなのでそれなりに色んな方法があります。魔法以外にも...。」
「まぁその辺は詳しく言う必要は無いよ。」
ったく...アルスめこいつがこう言い出すのもどうせ読んでるんだろうな。
そんなこと会話をしているうちにみんなが起きてきた。




