第44話「スパイ活動」
「...うーん。」
俺がどう動くべきかと頭を捻っているとマカフィーから電話が来た。
「ごめん、今から会える?君たちの部屋に行くからシャルも連れて、少し待ってて。」
「わかった。」
しばらくすると部屋をノックする音が聞こえてマカフィーが中へと入ってきた。
「...僕も僕なりに内部調査をしてみたんだけどダイゴがアルスさんから聞いた通り信仰広める広報チームの一部と聖騎士団の一部...そして騎士団長も悪に手を染めてることがわかった。些細なことの積み重ねなんだけど証拠の資料やらボイスなんかをハッキングしてきたからダイゴのスマホ送っておくね。怪しいお金の動きについての資料も取ってこれたから。
..ただ今回動きすぎて少しみんなに怪しまれたかもしれない。
君たちも多分怪しまれてるから少しの間この部屋で大人しくしていた方がいいよ。」
「すまないな...お前は父親と話して自分のやりたいことを伝えその先どうするかを決めることが目的なのに俺とアルスのことに巻き込んじまって。」
「何言ってんの?客船いた時金持ちの信者に出会って既に気なくささはあったでしょ?多分あれはまだ善良な方で教団の中に信者を騙してるやつやそれを手助けしてる団員がいるんだよ。そういうの仮にも僕が法皇になるかもしれなかったわけだし...。放っておけないよ。善良な人達の為にもね。」
「ありがとう。シャルお前はなにかわかったかい?」
「...騎士団長が奴隷賭博を...しているかもという噂を掴んだ。あくまで噂だけど...。」
「...そうか。」
「...俺の実の父ちゃんだぜ?はは笑えるだろ?」
俺はシャルのその言葉に何も返すことができなかった。
しばらく沈黙が走りだいぶ気まずい状況だったが思い切って俺は聞いてみることにした。
「...なぁごめん改めて聞くんだけどマカフィーやシャルはどうしたい?」
「俺は...わかんないや。俺たちさえ良ければ!って思ってたけれど...噂は噂だけど実際、オヤジの行動に疑念を抱いてたり、それで反乱を起こそうとして拷問にあった仲間がいるという事実で...そんなもん見ちまったら俺がどうにかしてやらないとこの場にいてみんなを守ってやれたら...と思っちまった。俺が団長になればみんなを守れる。」
「僕はやっぱり教団からは離れたい。もちろんね、このまま逃げるつもりはないよ。明日父上が帰ってきたらダイゴも含めて話そうと思う。そしてこの問題を解決の方向へ持って行けたら...その時僕は僕の行きたい道を見つける。」
...。
「なんだか真逆になっちゃったね、シャル。」
「...。」
シャルは複雑な顔をして俯いてしまった。
「大丈夫...いざとなったらアルスも味方になってくれるはずだ。みんなで帰ろう。」
俺にはそれしか言えなかった。
「あぁ。」
「ごめんダイゴ。そろそろ戻るよ。消灯の時間までに寮に居ないとまずいんだ。今夜は疲れたろ?ゆっくり休んで。」
いつもふわふわしてるマカフィーが前のようにシャキッとした喋り方になったのを見て言葉には表せなかったけれど少し胸の奥が痛い気がした。
「わかったよ。ありがとう。気をつけて戻れよ。明日また連絡くれ。」
「うん、おやすみ。ダイゴ、ハルート、ベル!行くよシャル。」
「おう、みんなまたな。」
「おやすみ!シャル、マカフィー。」
二人が帰ると俺たちは事の深刻さに重苦しい雰囲気になった。
とりあえず今日は寝ようということになりベッドに入った瞬間アルスから電話がかかってきた。
「やあやあやあそっちはどうや?上手くやってるかいな?」
調子の良い間の抜けた声に少々腹が立った。
「うまくもなにも!アベルをここに置くのは危険だろ!何考えてんだよアンタ。」
「んふ〜、まぁその件な。それなんやけど君らなら上手くやる思ってな〜。実際どうにかなってんのやろ?それにこういうときアベルは役に立つで〜。」
「はぁ...。で?そっちはどうなの?」
「あぁ、俺らのほうな。おばちゃんとは上手く話ついてどうにかはなったで。タダ、で多分の損益は君ら込みで依頼で取り返すことになってもうた。ちゅーわけで、すまん教団との決着がついたらいくつか依頼をこなして欲しいねん。」
「...片付くも何もまだなんにも話が進んでない。法皇は留守だし黒い噂は広がってるしシャルの決意までにぶり出す始末だよ。」
「は〜そうかぁ。あ、この電話終わったらメールで送りたい資料があんねん。多分少し役に立つはずやから見てな。おばちゃんグレイス教団と上手いこと繋がってて聞き出すのにも大枚はたいてもうたが俺が君に頼んだ騎士団のリストやらは手に入ったで。」
口だけじゃなく行動で固めてくるこの男に対して俺は色々文句があるのにも言うに言えないを作り出してくる。
実に厄介だぜ。
「そうか...ちなみに布教チームに関することはなにかわかったか?」
「あぁその件な。こっちでも色々動いたんやけどいや〜な感じで金が動いとって流行病みたいにいい人と悪いやつがごちゃ混ぜなってんねん。精査するのに時間かかりそうできみらが法皇と話つける方が早いと思うで。」
「...わかった。」
「騎士団でちょっとヤバい感じのことに手を染めてるやつにはマーカー引いといたさかいそいつらには注意してみてな。恐らく俺らが動いてるってのはまだバレてへんけど...。
教団はそいつらの言うことの方を信じるやろうしもし君らがなんかで炙り出されたらここまでの先入が水の泡や。」
「あぁ、わかってる。」
「んじゃ〜あとはええ感じに頼むわ。これからモーティはんとおばちゃんの接待せなあかんねん。緊急の時は飛んでいく境に電話でもなんでもかけてや。」
「あぁ。」
「それじゃあおやすみ〜ダイゴ君。ええ夢見てな〜。」
「はいはい、おやすみ。」
...ていうかさ、俺ってシェフ目指してんだよなこれじゃまるでスパイだ。
まぁすべての道はローマに通ずってことでまずは目の前のことを解決していくしかないか。
はぁ...レストランを開くのはいつになることやら、ルカになんて言おうかね。
「ダイゴ...落ち着いて聞いて欲しいのですが。」
部屋を暗くした後、ハルートは眠りと現実の狭間でぼーっとする俺にそっと話しかけた。
「ん?どした?」
「おそらく...この部屋盗聴の魔法がかけられています。」
うぇっ!?一気に目が覚めて血の気が引いた。
「でも大丈夫です。部屋に入った時点で気がついたので盗聴した内容が教団にとって都合の良い言葉になるよう変換する仕掛けをしておきました。しかし...私の魔力がもう限界で私が眠ってしまったらそれは解けます。
すみませんが私が眠ったら探知をして魔法をかけ直してください。」
「...わかった。教えてくれてサンキューな。ゆっくり休んでくれ。」
....どうもキナ臭いな。
やり方がえげつない。この盗聴になんの意味が?シンプルに信仰しているかどうかを確かめるためだけ...とかでは無さそうだよな。
そうなってくると敵はだいぶ身近にいるのかも。
アルスとの電話は盗聴されないよう商会の暗号魔法がかけられているのでそこは大丈夫だと思うのだが...。
ハルートが寝息を立て始めたのを確認した俺はハルートがかけてくれた魔法の履歴を遡り同じような魔法で常時発動する仕組みにプログラムを書き換えた。
一応、履歴を遡りどんなやつが魔法をかけたのか確認しようとしたが上手くいなかった。
そしてアルスからのメールをチェックし、騎士団のリストにも一応目を通した。
名前と獣種と特徴が載っていたのでそれらをある程度暗記しておいた。
は〜めんどくさ...。まぁいいやもう寝よ。




